とさでん交通(旧・土佐電気鉄道) |
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梅ノ辻駅に停車する600型電車 |
とさでん交通株式会社(とさでんこうつう)は、高知県高知市に本社を置く軌道・バス事業者です。高知県中部を中心としたエリアで路面電車・路線バス・高速バス・貸切バスを運営しています。
軌道線に関しては、その延長キロが25.3kmと日本でも最大の規模で、列車本数も多いのです。
高知県内において軌道事業・乗合バス事業・貸切バス事業を行っていた土佐電気鉄道・高知県交通・土佐電ドリームサービスの3社の経営統合・共同新設分割方式により2014年(平成26年)10月1日に設立されました。同日付で3社が運行していた軌道・バス路線を引き継いで営業を開始しています。
とさでん交通発足にあたって設定されたコーポレートカラーはグリーンとオレンジで、グリーンは安心・安全・快適、ならびに高知の豊富な緑や発展を表し、オレンジは親しみ・楽しさ・喜び・太陽を表し、この2色を組み合わせることで地域と共に歩み、豊かな未来に貢献することを表現しているとのことです。
またグリーンは旧土佐電グループの、オレンジは旧高知県交通のシンボルカラーでもあり、長い歴史を持つ両社の伝統を受け継ぐという意味も込められています。
そもそも土佐電気鉄道と高知県交通の統合は1990年代にも持ち上がったことがありましたが、その時は資金調達の目途が立たず挫折した経緯があります。
土佐電気鉄道の竹本昭和社長が株主との面談の際に暴力団元組長らの名前を出していたことが2013年(平成25年)3月に発覚し、それを理由に竹本昭和社長が辞任しています。
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はりまや駅に停車する100型電車 |
2014年(平成26年)1月に後任として元高知県理事の片岡万知雄が土佐電気鉄道社長に就任しています。これを契機に再編へ向けた模索が始まり、2014年(平成26年)4月4日に高知県中央部の公共交通のあり方について検討を行う「中央地域公共交通再構築検討会」が土佐電気鉄道と高知県交通の統合も視野に協議する方針を高知県議会産業振興土木委員会で報告されました。
土佐電気鉄道・高知県交通の2社合計で路線バス事業は1999年(平成11年)から2013年(平成25年)までの15年間の累積赤字が合計約90億円に達していました。
そのため、国に加えて高知県と高知市が合計約43億円の補助金を支出したものの、2013年(平成25年)3月末時点で土佐電気鉄道が約14.8億円、高知県交通が約20.1億円の実質的な債務超過に陥っていました。また、借入金も土佐電気鉄道・高知県交通の2社合計で約75億円に上っていました。さらに、2007年(平成19年)の調査で、当社の運行する高知市周辺の交通手段は、自動車の割合が約59%に達するほど高い一方で、当社の運営する路面電車と路線バスはいずれも約1%に留まっていました。
そうした利用率の比率の低さに加えて今後の人口減少を加味すると、当社の運営する路面電車と路線バスの輸送人員は2010年(平成22年)の合計約1201万人から2035年には合計約969万人と約80%まで落ち込むとの見通しがなされていました。
データを見ると土地電気鉄道の平成19年度の営業係数は、104.9とさほど悪いとも思えませんが、日本でも最大規模の軌道線を持つ土佐電気鉄道が経営危機に陥っているということは、由々しき事態と考えざるを得ません。
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はりまや駅に停車する200型電車 |
こうした状況を踏まえて今後経営を維持していくのは非常に困難であるとして、公共交通を維持していくためにも、2014年(平成26年)4月28日に「中央地域公共交通再構築検討会」が、金融機関による債権放棄を行うと共に、土佐電気鉄道と高知県交通の両社を新旧会社に分離し、自治体が出資して新会社して事業を統合するのが望ましいとの報告を取りまとめています。
これを受けて、高知県と沿線市町村の協議会が開かれ、2014年(平成26年)5月27日に新会社に出資する10億円の分担割合を決定した。そこでは、同じ高知県内の土佐くろしお鉄道への支出や全国の第三セクターの事例を考慮して高知県が50%を負担することになり、残りは人口や路線の運行状況、赤字補てんの補助金実績などに応じて沿線市町村が分担することになりました。
また、並行して金融機関に債権放棄の承諾を求めて事業再生計画案の説明などを行い、2014年(平成26年)5月30日までに対象となる6金融機関が事業再生計画案を了承する回答をしています。
そして、2014年(平成26年)6月2日に開催された「中央地域公共交通再構築検討会」で、高知県と沿線12市町村の出資同意と6金融機関の債権放棄同意が報告され、土佐電気鉄道と高知県交通の株主総会や高知県と沿線12市町村の議会で経営統合や出資についての同意取り付けに進むことになりました。
それを受けて、土佐電気鉄道と高知県交通に土佐電ドリームサービスを加えた3社が、2014年(平成26年)6月3日にこの新会社を設立して経営統合することについての基本合意書に調印しています。
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梅ノ辻駅に停車する1000型電車 |
そして、2014年(平成26年)6月2日に開催された土佐電気鉄道と高知県交通の株主総会で、経営統合して第三セクターの新会社を設立する議案が承認されました。
また、高知県と沿線12市町村の議会での同意の取り付けも並行して進められ、2014年(平成26年)6月12日に開催された本山町議会で新会社をへの出資金を含む一般会計補正予算案を可決したのを皮切りに、同年7月14日に開催された南国市と香美市の両市と土佐町の議会で新会社をへの出資金を含む一般会計補正予算案を可決され、出資予定自治体すべての議決が揃って再編計画が正式に決定しました。
そこで、2014年(平成26年)7月16日に土佐電気鉄道と高知県交通が、新会社設立委員会を設置し、初会合を開催して準備作業を本格化させています。
「公共交通は県民や利用者の関心が高く、一企業だけに収まらない」ことを理由に新社名は公募で決定することになり、2014年(平成26年)7月31日締切で公募を行い、1235点の中から「とさでん交通」を選定して同年8月13日に発表しています。
そして、2014年(平成26年)10月1日に「とさでん交通」が設立され、土佐電気鉄道と高知県交通に土佐電ドリームサービスを加えた3社の事業を引き継ぎ、同日運行を開始しました。
とさでん交通は、土佐電気鉄道が2014年9月30日現在において保有していた路線・車両を継承し、総延長25.3kmの路面電車を運行しています。路線は伊野線、後免線、桟橋線の3路線で高知市・南国市・吾川郡いの町にまたがっています。
この3路線は、はりまや駅で合流していて、乗換駅となっています。
また、土佐電気鉄道時代には、安芸線(鉄道線)、新地線が存在しましたが、これらは既に廃線となっています。 |
|
とさでん交通伊野線 路線データ |
路線距離 |
11.2km |
区間 |
はりまや橋 - 伊野 |
軌間 |
1067mm |
駅数 |
34駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
はりまや橋-鏡川橋間 |
電化区間 |
全線(直流600V) |
閉塞方式 |
特殊自動閉塞式(鏡川橋-朝倉間)
通票閉塞式(朝倉-伊野間) |
とさでん交通後免線 路線データ |
路線距離 |
10.9km |
区間 |
後免町 - はりまや橋 |
軌間 |
1067mm |
駅数 |
33駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
全線(後免町停留所の終端部分を除く) |
電化区間 |
全線(直流600V) |
とさでん交通桟橋線 路線データ |
路線距離 |
3.2km |
区間 |
高知駅前 - 桟橋通五丁目 |
軌間 |
1067mm |
駅数 |
11駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
全線(桟橋通五丁目駅の終端部分を除く) |
電化区間 |
全線(直流600V) |
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土佐電気鉄道2000形電車 |
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土佐電気鉄道安芸線(廃止) 路線データ |
土佐電気鉄道新地線(廃止) 路線データ |
路線距離 |
26.8km |
路線距離 |
0.5km |
区間 |
後免町 - 安芸 |
区間 |
若松町通(現・知寄町二丁目)- 若松町 |
軌間 |
1,067mm |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
24駅(起終点駅含む) |
駅数 |
2駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
なし |
複線区間 |
なし |
電化区間 |
全線(直流600V) |
電化区間 |
全線(直流600V) |
廃止日 |
1974年(昭和49年)4月1日 |
廃止日 |
1954年(昭和29年)7月19日 |
|
土佐電気鉄道 廃止路線 駅一覧 |
路
線 |
駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
備考 |
安
芸
線 |
後免駅 |
- |
0.0 |
国鉄:土讃本線 |
|
後免町駅 |
0.9 |
0.9 |
後免線 |
|
永田駅 |
1.3 |
2.2 |
|
1944年廃止 |
立田駅 |
0.6 |
2.8 |
|
|
日章駅 |
0.5 |
3.3 |
|
|
物部川駅 |
0.3 |
3.6 |
|
1944年廃止 |
西野市駅 |
1.0 |
4.6 |
|
|
野市駅 |
1.1 |
5.7 |
|
|
遠山駅 |
1.0 |
6.7 |
|
1944年廃止 |
古川駅 |
1.1 |
7.8 |
|
|
赤岡駅 |
1.5 |
9.3 |
|
|
岸本駅 |
0.8 |
10.1 |
|
|
月見山駅 |
1.2 |
11.3 |
|
|
夜須駅 |
1.0 |
12.3 |
|
|
手結駅 |
0.4 |
12.7 |
|
|
海浜学校前駅 |
1.0 |
13.7 |
|
|
土佐住吉駅 |
0.9 |
14.6 |
|
|
長谷寄駅 |
1.7 |
16.3 |
|
|
西分駅 |
1.2 |
17.5 |
|
|
和食駅 |
1.1 |
18.6 |
|
|
赤野駅 |
1.4 |
20.0 |
|
|
八流駅 |
1.8 |
21.8 |
|
|
穴内駅 |
2.1 |
23.9 |
|
|
安芸駅 |
2.9 |
26.8 |
|
|
路線 |
駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
備考 |
新
地
線 |
若松町通(現・知寄町二丁目) |
- |
0.0 |
後免線 |
|
若松町 |
0.5 |
0.5 |
|
|
|
|
|