えちぜん鉄道三国芦原線 |
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えちぜん鉄道三国駅 |
えちぜん鉄道三国芦原線は、福井口駅-三国港駅間25.2kmを結ぶ、えちぜん鉄道の鉄道路線です。
全線電化(直流600V)単線です。
1928年(昭和3年)12月30日 に三国芦原電鉄によって福井口駅-芦原駅(現在はあわら湯のまち駅)間20.0kmが開業しました。
1929年(昭和4年)1月31日には芦原駅-三国町駅(現在は三国駅)まで延伸開業、同年10月1日には京都電燈越前電気鉄道線(後の越前本線、現在は勝山永平寺線)の福井駅 - 福井口駅間に乗り入れています。
1932年(昭和7年)5月28日には電車三国駅(現在の三国駅)-東尋坊口駅間が開業しています。
1942年(昭和17年)8月1日には京福電気鉄道に合併して同社の三国芦原線となっています。
しかし三国駅-東尋坊口駅間は、不要不急線として1944年(昭和19年)1月11日に休止(後に廃止)されています。
同年10月11日には前日に休止された国鉄三国線の線路を譲り受けて電化し、三国駅-三国港駅間が開業し、現在の営業区間となっています。
そして2001年(平成13年)6月25日に越前本線で起きたあの2度にわたる列車衝突事故のため、事業改善命令が出されて(泣)、三国芦原線も休止となり、京福電気鉄道はついに撤退を決意して、2003年(平成15年)2月1日にえちぜん鉄道へ譲渡され、同年7月20日に福井口駅-西長田駅間が、8月10日には全線が運行開始されて現在に至ります。
この三国芦原線は、京福電気鉄道時代の越前本線での事故のとばっちりを受けた形で一旦は事業廃止となったわけですが、えちぜん鉄道として甦り、現在も活躍しているのは心強いことです。
平成27年9月27日には、まつもと町屋駅が開業しています。
平成28年3月27日から三国芦原線の鷲塚針原駅(ラッシュ時のみ福大前西福井駅)から田原町駅経由で福井鉄道福武線越前武生駅との間で相互直通運転を始めています。
平成29年3月25日には 全駅で駅ナンバリングを実施しています。太郎丸駅を太郎丸エンゼルランド駅に、西春江駅を西春江ハートピア駅に、西長田駅を西長田ゆりの里駅に、下兵庫駅を下兵庫こうふく駅に改称しています。
平成30年6月24日には 福井口駅が地上駅から高架駅に変更しています。 |
えちぜん鉄道三国芦原線 路線データ |
路線距離 |
福井口 - 三国港間 25.2km |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
23駅(起終点駅、臨時駅含む) |
複線区間 |
なし(全線単線) |
電化区間 |
全線電化(直流600V) |
閉塞方式 |
自動閉塞式 |
開業年月日 |
1928年(昭和3年)12月30日 |
使用車両 |
MC2101形電車
MC6101形電車
MC6001形電車
MC2201形電車
MC1101形電車
MC5001形電車 |
種別 |
快速列車(福井行きのみ)
普通列車 |
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MC5001形電車 |
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駅番
号 |
駅 名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
急
行 |
快
速 |
接続路線 |
ホーム |
駅員
配置 |
列車
交換 |
所在地 |
E3 |
福井口駅 |
- |
0.0 |
|
○ |
えちぜん鉄道勝山永平寺線 |
3面5線 |
◎ |
◇ |
福井市 |
E24 |
まつもと町屋駅 |
1.0 |
1.0 |
|
○ |
|
1面1線 |
|
| |
E25 |
西別院駅 |
1.6 |
1.6 |
|
○ |
|
2面2線 |
○ |
◇ |
E26 |
田原町駅 |
0.5 |
2.1 |
○ |
○ |
福井鉄道福武線 |
1面1線 |
◎ |
| |
E27 |
福大前西福井駅 |
0.7 |
2.8 |
○ |
○ |
|
2面2線 |
◎ |
◇ |
E28 |
日華化学前駅 |
0.8 |
3.6 |
○ |
○ |
|
1面1線 |
|
| |
E29 |
八ツ島駅 |
0.6 |
4.2 |
○ |
○ |
|
1面1線 |
|
| |
E30 |
新田塚駅 |
0.7 |
4.9 |
○ |
○ |
|
1面2線 |
◎ |
◇ |
E31 |
中角駅 |
1.0 |
5.9 |
|
※ |
|
1面1線 |
|
| |
|
(臨)仁愛グランド前駅 |
- |
- |
|
|
|
1面1線 |
|
| |
E32 |
鷲塚針原駅 |
2.2 |
8.1 |
○ |
○ |
|
1面2線 |
|
◇ |
E33 |
太郎丸エンゼルランド駅 |
1.1 |
9.2 |
|
○ |
|
1面1線 |
|
| |
坂井市 |
E34 |
西春江ハートピア駅 |
0.9 |
10.1 |
|
○ |
|
2面2線 |
|
◇ |
E35 |
西長田ゆりの里駅 |
1.6 |
11.7 |
|
○ |
京福電気鉄道丸岡線(1968年廃止) |
2面3線 |
○ |
◇ |
E36 |
下兵庫こうふく駅 |
1.9 |
13.6 |
|
△ |
|
1面1線 |
|
| |
E37 |
大関駅 |
1.8 |
15.4 |
|
△ |
|
1面2線 |
|
◇ |
E38 |
本荘駅 |
2.0 |
17.4 |
|
△ |
|
1面2線 |
|
◇ |
あわら市 |
E39 |
番田駅 |
0.9 |
18.3 |
|
|
|
1面1線 |
|
| |
E40 |
あわら湯のまち駅 |
1.7 |
20.0 |
|
○ |
国鉄三国線(1972年廃止) |
2面2線 |
◎ |
◇ |
E41 |
水居駅 |
2.0 |
22.0 |
|
|
|
1面1線 |
|
| |
坂井市 |
E42 |
三国神社駅 |
1.4 |
23.4 |
|
|
|
1面1線 |
|
| |
E43 |
三国駅 |
0.8 |
24.2 |
|
○ |
|
1面1線 |
◎ |
| |
E44 |
三国港駅 |
1.0 |
25.2 |
|
○ |
|
1面1線 |
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| |
駅員配置 注 ◎:有人駅 ○:一部時間帯のみ駅員配置 無印:無人駅
列車交換 注 ◇:列車交換可能 |:列車交換不可
快速 注 ○:快速停車 ※:普通列車の一部通過
京福電気鉄道 三国芦原線廃止区間 駅一覧 (1944年1月11日休止) |
駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
快速 |
接続路線 |
ホーム |
交換 |
駅員 |
所在地 |
宿駅 |
|
|
|
|
|
|
|
坂井市 |
東尋坊口駅 |
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三国港駅に停車する5001形電車 |
今回の体験乗車レポートは三国芦原線の終点である三国港駅から福井駅まで乗車してみましょう。
三国港駅12:39発福井駅行きの普通列車に乗車します。
この車両は、5001形電車です。しかも憧れのアテンダントさんも乗車しますので楽しみです。
三国港駅は、終点駅ですのでここから先は線路がありません。だいたいすぐそばには九頭竜川の河口があって、海がすぐそこです。今日は海がたいへん荒れていて、すごい迫力の波が打ち寄せているのです。
三国港駅を定刻に発車した普通電車は、すぐに三国駅に停車します。
この駅の方が三国港駅よりもはるかに大きい駅です。ただし、片面ホームですれ違いはできません。
駅ビルもあるのですが、実はこの駅ビルの中のテナントは空きが目立つとのこと。
以前に見た電鉄魚津駅のステーションデパートを思い出してしまいました。
12:41に三国駅を出発した普通列車は、さらに三国神社駅に到着しました。
この駅も片面ホームの小駅で、待合所があるだけですが、このあたりは官公庁が多い地域で駅前には税務署があります。
12:43には三国神社駅を出た普通電車は、すぐに水居駅に到着します。
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あわら湯のまち駅 |
この駅も片面ホームの小駅で三国神社駅と似た構造の駅です。
12:45に水居駅を出た普通列車は、さらにしばらく走り、芦原温泉街に入っていき、あわら湯のまち駅に到着しました。
この駅は全国的に有名な芦原温泉郷の玄関口にあり、絶好の位置取りなのですが、実は県外からの観光客はJR芦原温泉駅からのバスでこの駅前のバスターミナルに入るか、直接バスで訪れてしまうので、えちぜん鉄道を利用する客は少ないのが実情なのです。そりゃJR芦原温泉駅には特急列車も停車しますからね。
でも福井駅で特急を降りて三国芦原線に乗り換えることも可能なのですが、少々まどろっこしいのは事実でしょう。
あわら湯のまち駅は、相対式ホームを持っていて列車のすれ違いが可能です。
実際にこの駅で福井方面から来た電車とすれ違い、12:49に当駅を出発しました。
駅を出た線路は急に右にカーブして南の方へ向かいます。
そして田園地帯の中にポツンとある番田駅に到着します。片面ホームの小駅ですが待合所はありました。
駅のそばには踏切があり、人家もありますが、けっこう寂しい場所です。ここからはしばらく田園地帯を進みます。
12:52に番田駅を出発した普通列車は、南に向かいます。電車はすぐに本荘駅に到着しました。
この駅は島式ホームを持っていて列車のすれ違いが可能です。しかしどうも島式ホームの幅が狭いのではないかと。
これだとホーム上に待合所を設置することはできません。
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西長田駅 |
本荘駅を12:54に発車した電車は、すぐに大関駅に到着します。この駅も島式ホームで列車のすれ違いが可能ですが、それよりもなんだか変わったモニュメントが駅のそばにあります。
どうやら駐輪場と待合室を兼ねた造りになっているようですが、「TRANSTATION大関」という作品だとのことでした。
しかも第13回日本建築士会連合会賞奨励賞受賞作品ということで実はなかなかの優れものなのでした。
12:56に大関駅を出た電車は、田園地帯を走り続けます。
次の下兵庫駅は、片面ホームの小駅ですが、待合所はログハウス風の洒落た造りになっていて、けっこうなものでした。
下兵庫駅を12:59に出た電車は、県道5号線とつかず離れず走ります。
そして西長田駅に到着します。この駅は以前は丸岡線が分岐していたため、ホームが2面3線と多いのですが、3番ホームは丸岡線が廃止されたために現在は使用されていません。
ですが、さすがに分岐駅だった面影は残っていて、保線小屋も残っています。
13:02に当駅を出発した電車は西長田の集落を過ぎてさらに田園地帯を走り、磯部川を越えると西春江駅に到着します。
相対ホームを持つ駅で列車のすれ違いが可能な駅です。
実際に下り列車が反対側のホームに到着し、ここで列車交換が行われました。下り列車が出発し、こちらも13:05に西春江駅を出発しました。
しばらく走った電車はすぐに太郎丸駅に到着しました。太郎丸駅は片面ホームの小駅で待合所しかない駅です。
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堤防の上にある中角駅 |
この駅を13:07に出発した電車は、さらに田園地帯を走ります。そして次の鷲塚針原駅に到着しました。
この駅は、島式ホームを持っていて列車のすれ違いが可能です。
しかしこのときはすれ違いの列車はなく、電車はそのまま13:09に出発しました。
電車は、臨時駅となっている仁愛グランド前駅を通過します。この臨時駅は、仁愛学園グラウンドで行われる私立仁愛女子短期大学及び仁愛女子高等学校体育祭が開催される際に使用されているそうで、普段は使用されません。
駅自体も単にホームがあるだけです。
そして電車は中角駅に到着しました。
この駅は、九頭竜川橋梁の手前にあって堤防上に設置されているので客はかなり長く急な階段を上らないといけません。
駅自体は片面ホームの小駅です。
13:12に駅を出た電車はすぐに九頭竜川橋梁を通過し、福井市の市街地に入っていきます。
そして電車は新田塚に停車します。
この駅は、島式ホームを持っていますし、駅舎もなかなか立派で駅員の配置もあります。
13:14に新田塚駅を出た電車は、しばらく走るとすぐに八ツ島駅に到着します。
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田原駅に停車する福武線電車 |
この駅は、片面ホームで待合室もない小駅ですが、上屋はあります。2007年(平成19年)9月1日に開業したばかりの新駅で、地元の請願によって開設されたということです。13:15にこの駅を出た電車は、しばらく走ってすぐに次の日華化学前駅に到着します。
この駅も八ツ島駅と同日に開業となった新駅で地元の請願によって開設されたのも同様ですが、違うのは駅名を決めたのがその名のとおり日華化学であったということです。この駅名は10年間に600万円の契約で日華化学が命名権を取得して、社内アンケートにより決定したものだとのことです。
13:16にこの駅を出た電車は、市街地の中を走ります。次第に福井市の中心部に入っていきます。線路は左にカーブして、やがて福大前西福井駅に到着します。この駅は相対式ホームでホーム全体が駅ビルの中にあって少々薄暗いのです。
駅名からもわかるように駅の近くには福井大学があり、そのほかにも福井工業大学や高校もあってこの辺りは学生街なのです。
この駅で下り電車とすれ違い13:19に出発した電車は、市街地の中を走り次の田原町駅に到着します。
田原前駅は、福井鉄道福武線と接続していて乗換駅となっています。福武線は、この駅から右へ分岐してしばらく併用軌道を走るのですが、併用軌道を走るのはわずかな距離でその後は鉄道線となります。どうせなら全線LRT化してしまうとか。
13:21に田原町駅を出発した電車は、踏切を渡りしばらく走ると西別院駅に到着します。
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えちぜん鉄道福井駅 |
浄土真宗本願寺派(西本願寺)福井別院が近くにあり、駅名もそこから取ったのでしょう。
西別院駅を13:22に出た電車は左にカーブしてからしばらくすると右に大きくカーブして、北陸本線と立体交差し、やがて福井口駅に到着します。この駅は勝山永平寺線との分岐駅となっていてホームも3面5線と多く、車両基地もあり大きい駅です。勝山方面に行くにはここで乗換えとなります。三国芦原線の始発駅でもあるのですが、列車はすべて福井駅が始発となっているのでこのまま乗車します。ここからは勝山永平寺線となります。
福井口駅を13:25に出た電車は北陸本線と並行して走ります。次の新福井駅は島式ホームを持っていて、ここから福井駅までは複線となっています。勝山行きの電車が隣のホームに入りここですれ違います。13:27にこの駅を出た電車は、さらに北陸本線と並行して走り、終点の福井駅に13:28に到着します。
福井駅は、JR福井駅の駅前にありますが、どう見ても仮駅舎といった風で、新幹線が入るまでの暫定的な扱いのようです。
金沢-福井間の新幹線工事はまだ本格着工にはこぎつけていないのが実情でいつのことになるのやら。
これで三国港-福井間の旅は終わりですが、いくつか気づいたこともあります。
まず、えちぜん鉄道は列車にアテンダントを乗務させていますし、実は駅にもなるべく駅員を配置する方針でやっているようで、北陸地方の他の私鉄と比べると人と人とのふれあいを大切にする方針のようです。
経費的にはこれは苦しいとも思えるのですが、本来の鉄道の姿とも言え、これが成功すれば他社に与える影響は大きいのではないかと思います。経営的に見れば経費がかかってもそれ以上の利益があれば採算が取れるのであって、アテンダントや駅員を投入することでどれだけの客が増えるのかが問題となるでしょう。
それと三国芦原線沿線には芦原温泉や東尋坊などの観光地を抱えているのにこの路線がほとんど利用されていないと思われるのも困ったものです。観光路線としての性格は持っていないようで、実際に使用している車両もロングシートで観光向きではありません。これも何とかならないものなのか。 |
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