JR西日本・湖西線
JR湖西線の概要
湖西線(こせいせん)は、滋賀県長浜市の近江塩津駅から琵琶湖の西岸を経由して京都府京都市山科区の山科駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(幹線)である。
本路線の区間表記は、国土交通省鉄道局監修の『鉄道要覧』では「近江塩津,山科」とあり、近江塩津駅を起点、山科駅を終点としているが、JR西日本が発行している『データで見るJR西日本』では、「湖西線 山科〜近江塩津」との記載であり、市販の時刻表は「北陸本線・湖西線 下り 大阪・米原-金沢」(湖西線区間は山科駅→近江塩津駅の順に駅が記載)、「北陸本線・湖西線 上り 金沢-米原・大阪」(湖西線区間は近江塩津駅→山科駅の順に駅が記載)と記載されている。

概要

JR湖西線 路線データ
管轄(事業種別)  西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
 日本貨物鉄道(第二種鉄道事業者)
路線距離(営業キロ)   近江塩津駅- 山科駅間 74.1km
軌間  1,067mm
駅数  21駅(起終点駅含む)
複線区間  全線複線
電化区間  全線直流1,500V 架空電車線方式
閉塞方式  自動閉塞式
保安装置   ATS-PおよびATS-SW(拠点P)
運転指令所   大阪総合指令所
最高速度  130km/h
IC乗車カード対応区間   ICOCAエリア:全線
 全線 PiTaPaポストペイサービス対象区間
223系2000番台
223系2000番台

223系とサンダーバード 117系
223系とサンダーバード 117系
琵琶湖の西岸、湖西地区を通るため湖西線と命名された。近江塩津駅を起点、山科駅を終点とする路線であるが、山科駅からはすべての列車が東海道本線(琵琶湖線)に乗り入れて京都駅まで直通している。
JR西日本のアーバンネットワークに含まれる。全区間がJR西日本の近畿統括本部の管轄であるほか、旅客営業規則の定める大都市近郊区間の「大阪近郊区間」および、IC乗車カード「ICOCA」エリア にそれぞれ含まれている。路線記号は B 。
また、北陸本線やIRいしかわ鉄道線、あいの風とやま鉄道線、えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン、東日本旅客鉄道(JR東日本)の信越本線・羽越本線・奥羽本線とともに日本海縦貫線を構成している。
琵琶湖東岸の琵琶湖線(東海道本線・北陸本線)経由と比べて距離が短く所要時間も短縮されることから、関西と北陸地方を結ぶ特急列車「サンダーバード」や、西日本と日本海側の各地や北海道とを結ぶ日本貨物鉄道(JR貨物)の貨物列車などが当路線を経由している。また、新快速を中心にJR京都線やJR神戸線と直通運転を行っており、特に南部を中心に沿線から京阪神方面への通勤・通学路線ともなっている。近江今津駅では西日本JRバスの若江線と接続しており、京阪神と小浜市を最速・最短で結ぶルートを形成している。
比良山地東麓に吹く比良おろしと呼ばれる局地風が発生するため、明かり区間のほとんどが切土、盛土、橋梁、高架などの立体構造で、真風を受ける当路線は減速運転や運休、琵琶湖線への迂回運転が年間20日以上発生している。過去には徐行中の転覆落下事故や停車中の横転事故も発生した。そのためJR西日本は沿線山側に防風柵を設置するなど、強風対策を行っている。
北陸新幹線の敦賀駅以南(以西)は小浜市を経由して京都市内へ南下する「小浜・京都ルート」が与党内で正式決定されている。整備新幹線規定と米原経由のバイパス目的終了、特急廃止による赤字路線化で、JR西日本は並行在来線として当線の経営分離を検討しているが、経営負担の懸念から滋賀県および沿線自治体は反対している。当線が経営分離された場合、大都市近郊区間内で並行在来線が経営分離される初めてのケースとなる。

正式な起点駅・終点

本路線は、国鉄時代に制定された日本国有鉄道線路名称では山科駅が起点で、近江塩津駅を終点としていたが、1987年(昭和62)年4月1日からの国鉄分割民営化により、本路線をJR西日本が承継した際に近江塩津駅が起点、山科駅が終点と国鉄時代とは起点駅・終点駅が逆になった。これは、民営化当時の運輸省に提出された「事業基本計画」によるもので、そこには「近江塩津から山科まで」と記載されている。
ただし、前出の『データで見るJR西日本』やJR各社が公示している「JR線路名称公告」では山科駅が起点で、近江塩津駅が終点となっており、また鉄道趣味誌や書籍は、国鉄時代の表記に倣い湖西線を「山科〜近江塩津間」、「山科駅から近江塩津駅まで」などと記載しているため、役所の提出書類と一般向けの書籍などでは、起点駅・終点駅の表記が逆になっている現象が起きている。
鉄道路線の正式な区間や営業キロなどは、冒頭の『鉄道要覧』や前述の「事業基本計画」の記載を基にすれば、起点駅は近江塩津駅、終点駅は山科駅となる。

歴史

  • 湖西線は大阪と北陸方面を結ぶ短絡線として日本鉄道建設公団により大都市交通線(D線)として建設された。そのため、湖西線の鉄道施設はかつて日本鉄道建設公団およびその業務を承継した鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が保有しており、国鉄およびJR西日本は貸付料を支払っていたが、2014年に貸付料の支払いが終了し、鉄道施設はJR西日本に有償で譲渡された。
  • 元々、浜大津駅 - 近江今津駅間に地元資本による江若鉄道が開業しており、路線計画時にほぼ並行する形のこの江若鉄道の扱いが問題となった。最終的に江若鉄道は廃止し、その路盤を買い上げて転用することで決着したが、競合路線の買い上げ救済が真の目的であって実際の転用率は低かった。江若鉄道は1969年10月限りで鉄道事業を廃止後、江若交通に社名変更している。
  • 開業前には堅田駅と近江今津駅で貨物営業を行う計画がありそのための用地買収にも至ったが、沿線での貨物需要が相当量に達しないと判断され行わないよう計画変更された。開業後は貨物列車は全駅通過か運転停車のみで運転されている。貨物側線用地は保守用基地などに利用されている。計画時は東海道本線の線路容量が限界になるとの予測により、山科駅から奈良線木幡駅・新田駅、片町線長尾駅・鳥飼を経由して吹田操車場に至る42.1 kmの新線計画があり、貨物列車を新設の長尾操車場に運転する計画であった。そのため、山科駅は西側も分岐できる構造になっている。しかし新線は国鉄の財政事情悪化により計画が中止された。
  • 関西対北陸の優等列車の湖西線経由への移行は開業翌年の1975年3月10日となったが、これは湖西線の開業当時山陽新幹線がまだ岡山駅までしか開業しておらず、翌年の博多駅への延伸開業まで移行を見合わせていたためである。最終的に急行「きたぐに」と「ゆのくに」を残し、あとはすべて湖西線経由へ移行した。
  • 2006年には交直セクションがあった永原駅 - 近江塩津駅間の直流化工事が完成して、湖西線内は全て直流電化となり、湖西線を経由する新快速の運転区間が敦賀駅まで延長された。
  • 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で、直流電動機に使用している電動機用黒鉛ブラシを製作しているメーカーが被災して製造の見通しが立たず、使用できない車両が発生する恐れが生じた。このため、同年4月11日から日中の一部の京都駅 - 堅田駅・近江舞子駅間の普通の運転を取り止める予定と発表されたが、部品調達の目処が立ったのでこの措置は行われず、4月11日以降も通常のダイヤで運転されることになった。

湖西線の開業まで

  • 1922年(大正11年)4月11日:浜大津 - 三宅(現在の小浜線上中駅)間が国鉄予定線に編入。
  • 1962年(昭和37年)5月31日:浜大津 - 塩津間が国鉄調査線となる。
  • 1964年(昭和39年)6月25日:鉄道建設審議会にて山科 - 沓掛間を工事線に編入すると答申。
  • 1966年(昭和41年)12月28日:山科 - (仮称)北大津(現在の大津京駅)間、近江今津 - 近江塩津間が第一次認可。
  • 1967年(昭和42年)1月12日:皇子山総合運動公園で湖西線起工式を開催。
  • 1969年(昭和44年)11月1日:江若鉄道線浜大津駅 - 近江今津駅間が廃止。
  • 1974年(昭和49年)6月13日:列車集中制御装置 (CTC) が導入。

湖西線開業後

  • 1974年(昭和49年)
    • 7月20日:山科駅 - 近江塩津駅間 (74.1 km) が開業。新快速が堅田駅まで9往復、普通が23往復、臨時列車が12往復、近江今津駅 - 敦賀駅間で3往復。ほかに臨時列車として新快速が近江今津駅まで延長される日や、大阪駅から近江今津駅までの快速が運行される日もあった。
    • 10月1日:湖西線で貨物列車が運転開始。
  • 1975年(昭和50年)3月10日:大阪駅 - 北陸・東北間の特急と急行「立山」が湖西線経由となる。
  • 1985年(昭和60年)11月26日:381系電車による高速試験で日本の在来線の最高速度記録である179.5 km/hを記録。これは現在も破られていない。
  • 1986年(昭和61年)11月1日:新快速が線内各駅停車になり、近江舞子駅まで定期列車としての運転区間を延長。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が承継。日本貨物鉄道が全線の第二種鉄道事業者となる。
  • 1988年(昭和63年)12月4日:小野駅開業。
  • 1989年(平成元年)3月11日:新快速の近江今津駅への臨時延長運転がいったん廃止。京都寄りでは113系4両編成による普通列車が増え、近江今津駅 - 永原駅間で3往復増発。
  • 1991年(平成3年)9月14日:北陸本線米原駅 - 長浜駅間直流電化に伴う車両運用変更により、永原駅 - 近江塩津駅間を跨ぐ普通列車が気動車から交直両用電車に変更。近江今津駅 - 近江塩津駅間を平均約10分短縮したほか、近江塩津駅構内配線変更により長浜方面との直通列車が運転開始。
  • 1994年(平成6年)9月4日:叡山駅が比叡山坂本駅に改称。
  • 1996年(平成8年)3月16日:新快速を再び京都駅 - 近江舞子駅間で快速運転に戻し、近江今津駅(1往復のみ永原駅)まで運転区間を延長。朝ラッシュ時に敦賀発近江今津行きの普通と接続する同駅始発大阪行き快速を1本新設し、こちらは新快速よりさらに停車駅を削減。そのため臨時延長運転以来長く続けられてきた比良駅と志賀駅が通常の新快速停車駅から外される。207系電車が湖西線に初めて乗り入れる(同年7月20日で廃止)。
  • 1997年(平成9年)3月8日:夕方18時台の京都発永原行き普通1本が快速(停車駅は新快速と同じ)に変更され、大阪方面からの新快速と接続。
  • 1999年(平成11年)2月26日:山科駅 - 小野駅の各駅が「Jスルーカード」の利用エリアになる。
  • 2002年(平成14年)
    • 3月23日:和邇駅 - 近江舞子駅の各駅が「Jスルーカード」の利用エリアになる。雄琴駅(現在のおごと温泉駅)が快速の停車駅になる。
    • 12月2日:女性専用車が導入される。
  • 2003年(平成15年)
    • 10月1日:コンコースの喫煙コーナーが廃止。
    • 11月1日:山科駅 - 近江舞子駅の各駅でICカード「ICOCA」導入。
  • 2004年(平成16年)10月16日:朝の新快速1往復が永原駅まで運転区間を延長、これで永原駅発着の新快速は2往復となる。
  • 2006年(平成18年)
    • 9月24日:永原駅 - 近江塩津駅間が交流電化から直流電化に変更。
    • 10月21日:新快速・快速が敦賀駅まで延長(1往復のみ近江今津発着)され湖西線全区間運転となる。北小松駅 - 近江塩津駅の各駅でICカード「ICOCA」が利用可能になる。
    • 12月21日:滋賀電車内駅構内連続強姦事件が発生。
  • 2008年(平成20年)3月15日:西大津駅が大津京駅に、雄琴駅がおごと温泉駅に改称。
  • 2009年(平成21年)7月1日:山科駅 - 永原駅間の各駅でホーム上の喫煙コーナーが廃止されて全面禁煙化。
  • 2010年(平成22年)12月1日:組織改正により、京都支社の管轄から近畿統括本部の管轄に変更。
  • 2011年(平成23年)
    • 1月27日:永原駅構内で折返し列車が積雪のため脱線。
    • 3月12日:ダイヤ改正で新旭駅のホーム有効長が12両対応に延伸。同時に新快速が12両での運行開始。以前から12両で運行していた新旭駅・近江高島駅・北小松駅を通過の大阪方面行き快速が、敦賀行きと同様に近江舞子駅までの各駅に停車となる。
    • 3月16日:近江塩津駅構内でATS-Pが使用開始。
    • 3月19日:北小松駅 - 永原駅間でATS-Pが使用開始。
    • 3月23日:山科駅 - 北小松駅間でATS-Pが使用開始。
    • 4月18日:女性専用車が毎日、終日設定される。
  • 2014年(平成26年)
    • 7月:貸付期間経過に伴い、湖西線は鉄道・運輸機構からJR西日本に譲渡
    • 7月20日:開業40周年を迎え、DD51形ディーゼル機関車牽引の「サロンカーなにわ」による記念列車を京都駅 - 敦賀駅間で運行[39]。
  • 2015年(平成27年)3月14日:路線記号が本格導入開始。
  • 2016年(平成28年)3月26日:ダイヤ改正に伴い、緩行電車の直通が終了。
  • 2017年(平成29年)10月23日:平成29年台風第21号の強風により比良駅 - 近江舞子駅間で架線柱9本が折損、翌24日は堅田駅 - 近江今津駅間で運休し、特急は一部運休の上、米原経由で運転。25日始発から運転再開。
  • 2018年(平成30年)3月17日:各駅に駅ナンバリングが導入され、使用を開始する。
  • 2019年(平成31年)2月:山科駅 - 近江塩津駅間に列車運行管理システムを順次導入。
  • 2023年(令和5年)
  • 3月18日:223系2500番台が運用開始。
  • 4月1日:113系・117系が運用終了。

運行形態

旅客列車

山科駅が路線としての起点であるが、全列車が東海道本線(琵琶湖線)経由で京都駅に乗り入れており、さらに特急・新快速を中心に大阪方面へ直通している。終点の近江塩津駅からも一部の列車が敦賀駅へ乗り入れている。事故・各種トラブルでダイヤが乱れた場合や大雪・強風などで乱れが見込まれる場合は、近江今津駅で運転を打ち切り、JR神戸線・JR京都線方面 - 近江今津駅間と近江今津駅 - 敦賀駅間とで別の編成で運転することがある。
国鉄時代、途中で交流電化に変わる永原駅 - 近江塩津駅間の普通列車は1日3本ときわめて少ない本数であった。2006年10月に直流区間が敦賀駅まで延長されたことに伴い、永原駅からさらに近江塩津・敦賀方面に直通する列車の本数が増加した。
なお、琵琶湖線直通の列車は厳密には湖西線区間を一切走行しないが、山科駅 - 京都駅間では走行区間が重複する。また、琵琶湖線と分岐する山科駅から近江塩津駅へは琵琶湖線を経由する一部の新快速も乗り入れている。

特急

関西と北陸方面を結ぶ優等列車として、特急「サンダーバード」が湖西線を経由しており、朝夕の一部列車が堅田駅・近江今津駅に停車する。この区間ではe5489によりチケットレス特急券で普通車指定席を割安に利用することができる。2003年10月1日から、近江今津駅・堅田駅 - 京都駅・新大阪駅・大阪駅間で利用可能で、通勤・通学定期券・回数券・昼間特割きっぷと併用して特急列車の普通車自由席に乗車できる「湖西通勤回数特急券」を発売していたが、2020年3月31日までに発売終了となった。

新快速・快速

新快速は日中1時間に1本運行されている。山科駅 - 近江舞子駅間では途中、大津京駅・比叡山坂本駅・堅田駅に停車し、近江舞子駅 - 敦賀駅間は各駅に停車する。朝の上りと夕方下りの各1本は湖西線内は快速に種別変更され、おごと温泉駅にも停車する。土曜・休日夕方の京都発敦賀行き快速1本を除き、大阪方面に直通する。普通との緩急接続は、日中以外の近江今津行き・敦賀行きは大津京駅で行い、京都・大阪方面は堅田駅で行われている。なお、日中は普通電車の本数削減に伴い近江今津方面行きの大津京駅での緩急接続はなく、京都・大阪方面に至っても堅田駅始発となっておりホームが変更されている。さらに、上りの敦賀行きは近江塩津駅で、同駅始発の琵琶湖線米原駅経由の新快速と片接続を行う。
1974年の湖西線開業時から日中に1時間に1本の新快速が大阪方面から堅田駅まで直通するようになった。1986年11月1日には近江舞子駅まで延長される一方で湖西線内は各駅停車となるが、1996年3月16日には近江今津駅まで延長されるとともに湖西線内での通過運転が復活した。1996年3月16日から朝に上り快速が、1997年3月8日から夕方に下り快速がそれぞれ1本設定された。
敦賀駅の4番のりばの有効長が4両分であるため、近江今津駅で列車の連結・切り離しが行われている(朝時間帯の敦賀行き1本は京都駅で切り離し)。そのため近江今津駅の2番のりばには誘導信号機が設置された。その作業のため停車時間が長めに取られており、その間に特急「サンダーバード」の通過待ちを行う列車がある。2011年3月11日までは京都駅で切り離しを行う列車で湖西線は
新快速、琵琶湖線では普通列車になる運用があった。

普通

運行区間内のすべての駅に停車する。平日朝に大阪行き(高槻駅からは茨木駅・新大阪駅のみ停車の快速)が1本設定されているが、その他は京都駅発着である。
日中は1時間に京都駅を起点として堅田行きが1本、近江舞子行きが30分間隔で2本設定されており、山科駅 - 堅田駅間は1時間に計3本ある。朝晩には永原駅・近江塩津駅・敦賀駅を発着する列車があるほか、近江今津発米原行き、長浜発近江今津行きが各1本設定されている。
京都駅では3番のりばに発着する列車が多い。6 - 7番のりばに到着し、吹田総合車両所京都支所または引き上げ線へ回送される列車もある。
過去には4扉ロングシートの通勤形電車(207系・321系)で運行されるJR京都線・JR神戸線・JR宝塚線の各駅停車(京阪神緩行線)の直通運転もあり、2015年3月14日ダイヤ改正時点では朝と平日夜に西明石駅発着、土曜・休日夜に新三田駅発の列車が設定されていた。これらの列車には5号車に女性専用車の設定があった。2016年3月26日のダイヤ改正でこれらの列車は京都駅発着の普通となり、JR神戸線・JR京都線の各駅停車の直通運転はなくなっている。

列車番号

普通列車の列車番号は、堅田駅・近江舞子駅発着の列車は2800番台、近江今津駅・永原駅・近江塩津駅・敦賀駅を発着する列車は1800番台として区別している。ただし、近江今津駅 - 近江塩津駅 - 敦賀駅間を運行する列車は4800番台を与えることを基本としている。敦賀駅発着の新快速・快速は近江今津駅で列車番号が変わる。
近江今津駅を発着する北陸線方面の列車と新快速および京都駅から直通する普通との間で列車番号の奇数・偶数が逆転している。

臨時列車

開業当初から琵琶湖や比良山系へのレジャー客輸送に臨時列車が設定されている。初期の頃は堅田駅までの定期新快速を近江今津駅まで延長するものや、朝夕の網干駅 - 大阪駅間の快速を湖西線に延長するものであった。臨時列車では夏冬に運用がない修学旅行用車(155系)を利用したものもあり、宮原電車区(現在の網干総合車両所宮原支所)に所属する車両はこの時に耐寒耐雪工事を受けている。
また、新快速の敦賀駅直通にともない定期運用で4両編成化された列車の多客時の救済列車が2006年秋以降定番化しており、特にマキノ駅を最寄りとする海津大崎の花見客輸送では敦賀行きを分割する編成が本編成に先行して救済する臨時列車として運転されているが、2015年度以降は設定されていない。また観光シーズンには琵琶湖一周列車が団体貸切の形で運転されている。

スキーびわこホリデー号

沿線には京阪神から箱館山スキー場・びわ湖バレイ・国境スキー場など京阪神地区から日帰りで行けるスキー場があり、姫路駅 - 永原駅間、和歌山駅 - 近江今津駅間で快速「スキーびわこホリデー号」を運転し、現在快速が停車していない志賀駅・比良駅にも停車していた。

湖水浴近江舞子号

1985年頃の夏には近江舞子浜への臨時列車として、当時日根野電車区に配置されていた485系電車を使用して大阪駅 - 近江舞子駅間に運転されていた。

湖西レジャー号

定期列車の増発が進み臨時列車の運転は減っており、土休日ダイヤの新快速で朝の近江今津・敦賀方面行きの4本と、午後の敦賀駅からの4本を志賀駅に臨時停車する「湖西レジャー号」と呼んで区別していたが、2015年度以降は設定されていない。1997年春は比良駅に臨時停車する新快速を「湖西レジャー号」としていた。また、2002年頃は志賀駅と比良駅の双方に臨時停車する新快速を「湖西レジャー号」としていた。

大晦日終夜運転

かつては、大晦日深夜から元旦にかけて、JR京都線京都駅 - 山科駅 - 堅田駅間で普通のみ約60分間隔で終夜運転が実施されていたことがあったが、2000年代半ば頃には既に取り止められ、代わりに終電後に京都発堅田行き臨時列車を1本運転していたが、のちにそれも廃止されている。

貨物列車

貨物列車は、北陸方面に8本(このうち、休日運休が1本、日曜日運休が2本)と、京都方面に8本(このうち、休日運休が1本、日曜日運休が1本)運転されており、すべてコンテナ車で編成されている。湖西線区間には貨物の積み降ろしを扱う駅はないが、一部列車が旅客列車の待避のため一部駅に停車する。

使用車両

特急列車

  • 電車
    • 681系・683系 - 特急「サンダーバード」
  • 普通列車(新快速・快速・普通)
    • すべて電車で運転されており、所属や車両性能の違いもあって運用上は221系と223系6000番台・2500番台のグループ、223系1000番台・2000番台と225系0番台・100番台のグループ、521系のみのグループに大別される。
  • 221系
    • 221系登場と同時に網干電車区(現在の網干総合車両所)に配置された車両により新快速での湖西線運用が始まり、新快速が223系に置き換えられてからは普通列車の一部にも使われていたが、2006年10月改正で撤退し、しばらく221系の湖西線運用はなかった。その後2008年3月15日より新たに吹田総合車両所京都支所所属車両により湖西線での運用が復活した。また2015年3月14日より117系6両編成での運用を置き換えるかたちで網干総合車両所所属の6両編成の運用が復活した。2023年3月現在では、主に京都支所所属の4両・6両編成または4両編成を2編成つないだ8両編成が、山科側から永原駅までの区間で運用されている。2020年頃までは網干総合車両所所属の8両貫通編成も同年時点で平日朝に上り普通1本に限って運用されていたが、同所の225系100番代3次車増備により置き換えられた。223系6000番台および2500番台と共通運用で、混結編成も見られる。
  • 223系1000番台・2000番台
    • 網干総合車両所所属の車両が湖西線内の快速・新快速で原則8両+4両の12両編成(一部は4両編成または8両編成)で全列車に使用されているほか、一部の線内普通列車でも4両編成または8両編成で全区間で運用されている(ただし8両編成で運転されるのは山科側から永原駅までで、近江塩津駅・敦賀駅に乗り入れる列車は4両編成のみ)。225系0番台および100番台と共通運用で、混結編成も見られる。なお2000番台には6両編成も存在するが湖西線では運用されていない。
  • 2500番台・6000番台
    • いずれも吹田総合車両所京都支所所属で、6000番台は網干総合車両所(2000番台から改番)や同宮原支所から転属した4両・6両編成が2021年から、2500番台は吹田総合車両所日根野支所から転属した4両編成が2023年から山科側から永原駅までの普通列車として運用されている。座席配置は6000番台が2列+2列、2500番台が2列+1列と異なっているが、両番台とも運用されている4両編成は座席配置による区別なく共通運用されており、当該列車では同一列車番号でも日によって座席配置が異なるということが起こる。221系とも共通運用で、いずれも車両性能は221系と揃えられている。一部は4両編成を2編成繋いだ8両編成で運転されており、6000番台・2500番台・221系のうち2編成による混結編成も見られる。
  • 225系(0番台・100番台)
    • 網干総合車両所所属の223系1000番台・2000番台と同様、湖西線内の快速・新快速で原則8両+4両の12両編成(一部は4両編成または8両編成)で全列車に使用されているほか、一部の線内普通列車でも4両編成または8両編成で全区間で運用されている(ただし8両編成で運転されるのは山科側から永原駅までで、近江塩津駅・敦賀駅に乗り入れる列車は4両編成のみ)。223系1000番台および2000番台と共通運用で、混結編成も見られる。
  • 521系
    • 北陸本線・湖西線の敦賀駅までの直流化の際に投入された形式。近江今津駅 - 近江塩津駅・敦賀駅間の列車に2両編成で使用されている。近江塩津駅・敦賀駅に乗り入れる普通列車は、223系・225系とこの車両のみで運転されている。ATS-Pを搭載する初期に製造された1次車E編成の5編成のみが湖西線で運用される。

貨物列車

  • 電気機関車
    • EF510形


JR湖西線 駅一覧


駅No 駅名 駅間キロ

キロ
快速
快速
接続路線 所在地




JR-B31 京都駅 - 5.5 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR京都線:JR-A31)
・山陰本線(嵯峨野線:JR-E01)・奈良線(JR-D01)
東海旅客鉄道:東海道新幹線近畿日本鉄道:B京都線(B01)京都市営地下鉄:烏丸線(K11)


下京区
JR-B30 山科駅 5.5 0.0 西日本旅客鉄道:東海道本線(琵琶湖線:JR-A30)
京都市営地下鉄:東西線(T07)京阪電気鉄道:
京津線(大津線) ⇒京阪山科駅(OT31)
山科区

西
JR-B29 大津京駅 5.4 5.4 京阪電気鉄道:石山坂本線(大津線)
京阪大津京駅(OT15)


大津市
JR-B28 唐崎駅 3.1 8.5
JR-B27 比叡山坂本駅 2.6 11.1
JR-B26 おごと温泉駅 3.4 14.5
JR-B25 堅田駅 3.2 17.7
JR-B24 小野駅 2.1 19.8
JR-B23 和邇駅 2.7 22.5
JR-B22 蓬萊駅 2.4 24.9
JR-B21 志賀駅 2.4 27.3
JR-B20 比良駅 2.7 30.0
JR-B19 近江舞子駅 2.2 32.2
JR-B18 北小松駅 2.3 34.5
JR-B17 近江高島駅 6.4 40.9 高島市
JR-B16 安曇川駅 4.1 45.0
JR-B15 新旭駅 3.3 48.3
JR-B14 近江今津駅 4.9 53.2
JR-B13 近江中庄駅 4.8 58.0
JR-B12 マキノ駅 3.2 61.2
JR-B11 永原駅 7.1 68.3 長浜市
JR-B10 近江塩津駅 5.8 74.1 西日本旅客鉄道:北陸本線(米原方面 :JR-A03)



JR-B09 新疋田駅 7.8 81.9

敦賀市
JR-B08 敦賀駅 6.7 88.6 西日本旅客鉄道:北陸本線(武生方面 :JR-A01)・小浜線
快速・新快速…●印の駅は停車、|印の駅は通過、※印の駅は「湖西レジャー号」のみ臨時停車
JR湖西線 路線マップ
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