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JR北陸本線金沢駅 |
2009年4月時点で、石川県内の既存の鉄道路線は、JR西日本の管轄にある路線としては、まずJR北陸本線(県内部分 大聖寺-金沢間 46.4km)とJR七尾線(津幡-七尾間54.4km)、さらにJR西日本とのと鉄道の共用区間として七尾線(七尾-和倉温泉間5.1km)があります。さらにJR線から転換した第3セクター線として、北陸新幹線開業に伴い、北陸本線から第三セクター化されたIRいしかわ鉄道(金沢-倶利伽羅間17.8km)と、のと鉄道七尾線(和倉温泉-穴水間28.0km)があります。
現在のJR線及び転換された第三セクター線の在来線の総延長は、151.7kmとなります。
さらに平成27年3月14日に開業された北陸新幹線(高崎-金沢間345.5km)のうち、石川県内として約20.6km程度を持っています。
私鉄線としては、北陸鉄道浅野川線(北鉄金沢-内灘間6.8km)と北陸鉄道石川線(野町-鶴来間13.8km)があります。北陸鉄道は、以前は多数の鉄道路線を保有していたのに、現在では2路線20.6kmしか残っていません。
と言うことで、2015年12月現在、石川県内で既存の鉄道路線の総延長は、192.9kmとなります。
北陸新幹線(髙﨑-金沢間)は、石川県内の駅としては、2015年12月現在では金沢駅のみとなります。ただし、金沢以西にも延伸することが決まっていて、白山市には白山総合車両基地が供用中となっています。
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JR北陸本線森本駅の上を走る北陸新幹線の高架線 |
石川県内の北陸新幹線がすべて完成すれば、金沢駅、小松駅、加賀温泉駅の3駅に乗り入れることになります。金沢-敦賀間が開業するのは、2024年の予定です。ただし、敦賀以西に関しては、またルートが確定していません。さらに北陸新幹線が開業すると、並行する北陸本線は第3セクター化されることが決定しています。
石川県内では、金沢-大聖寺間がIRいしかわ鉄道となり、大聖寺-敦賀間は福井県で設立される新会社ハビラインふくいが管轄することになります。
JR北陸本線は、多数の特急列車が運行される全線複線電化の幹線です。現在のところ並行する北陸新幹線が全通していないため、金沢以西では、在来線特急列車が頼みとなっています。
ということで大阪行き特急「サンダーバード」、名古屋・米原行き特急「しらさぎ」など多数の特急が走っていることから北陸本線は「特急銀座」と呼ばれています。
ちょっと変わっているのは交流電化されていることで、周囲には交流電化されている路線がないので、大阪や東京など他地域に乗り入れる特急列車は交直両用電車でなくてはならないのです。
JR七尾線は、北陸本線の支線という扱いですが、北陸本線からの特急列車が乗り入れています。ただし、ここは1500V直流電化となっているので、やはり交直両用電車でなくてはいけません。また普通列車も金沢-津幡間はIRいしかわ鉄道(旧北陸本線)を経由しているので、交直両用電車でなくてはなりません。
交直両用電車は、どうしても高価な車輌となってしまうので、こうなると北陸本線の交流電化が得策だったのかどうかとなるとはなはだ疑問と言えます。
交流電化の場合、変電所などの地上施設が直流に比べて少なくてすむことと、電車自体の性能も粘着係数が高く、大容量送電が可能で高速運転にも向いているので新幹線は交流電化となっているように本来は好ましいのですが、車輌がどうしても高価になりがちなのと電圧が高いので保線作業も難しい点があることなどデメリットもあります。
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七尾駅に停車するのと鉄道の普通列車 |
七尾線は、津幡-和倉温泉間59.5kmが電化されていて、その先の和倉温泉-穴水間28.0kmは非電化です。
この区間は、第3セクター化されてのと鉄道に引き継がれています。ただし、七尾-和倉温泉間5.1kmは、JR西日本とのと鉄道の共用区間で金沢方面からの特急列車が乗り入れていますが、普通列車は、のと鉄道の気動車が乗り入れています。
またのと鉄道七尾線も線路などの施設はJR西日本が所有していて、のと鉄道が第二種鉄道事業者、JR西日本が第三種鉄道事業者という扱いになります。
私鉄線としては、北陸鉄道が浅野川線と石川線の2路線がありますがこの2路線は相互に接続しておらず、浅野川線は、北陸本線金沢駅に、石川線は北陸本線西金沢駅に接続しています。
もともと北陸鉄道は、第2次大戦中に戦時統合で県内の私鉄路線を統合して成立した鉄道・バス会社ですが、戦後は次第に鉄道路線を廃止しバス路線に転換する方針をとったので、過去に多数の路線が廃止されています。
これは隣の富山県では見られない現象で、やはり隣の福井県でもこれだけ多数の鉄道路線が廃止されるという現象は見られません。富山県でもいくつかの路線は廃止されてはいますが主要な路線は未だ健在ですし、富山市内の軌道路線も維持されている上に新線建設も実現しています。
福井県内も京福電鉄がえちぜん鉄道に路線を譲渡して路線は維持されていますし、福井鉄道福武線は健在で福井市内を走る軌道路線は小規模ながら維持されています。
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北陸鉄道浅野川線の起点となる北鉄金沢駅 |
要するに石川県ではモータリゼーションの進展とともに鉄道路線からバス路線に転換していったということになりますが、実は金沢市内は例えば富山市と比べると道路状況が悪く、市内は交通渋滞が常態化していてバス路線を拡張するには不利だったのですが、石川県では鉄道路線を廃止して道路を整備する方法をとっています。
現在では金沢市内の道路網は、国道8号線の立体交差化などで以前と比べるとかなり改善されていると言えますが、浅野川線が走る北部方面は未だに道路網が貧弱です。ですから浅野川線が存続しているのだという見方もできますが。
今後、問題になるのは北陸新幹線が開業したときの七尾線の扱いです。北陸本線が第3セクター化されるのは既定路線となっていますが、七尾線に関してはその扱いは未定です。もしこれも第3セクター化されるとすると、例えば和倉温泉への特急列車の乗り入れはどうなるのか、あるいはのと鉄道はどうなるのか、極めて不透明な状況となります。
能登地方は、既に穴水以北の路線が全廃された悪影響を受けているのにこれ以上廃線となると、ますます寂れてしまうことになりかねません。
モータリゼーションが化石燃料の枯渇や地球温暖化を防ぐためのCO2排出量の削減などから曲がり角にさしかかっているのですから、これからはクリーンな交通機関である鉄道路線を維持しないといけないのではないでしょうか。
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JR北陸本線小松駅は高架駅となっています |
JR北陸本線西金沢駅は北陸鉄道石川線の乗換駅です |
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JR七尾線・のと鉄道和倉温泉駅 |
JR北陸本線津幡駅は七尾線との分岐駅です |
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JR七尾線羽咋駅 |
北陸鉄道石川線の始発駅となる野町駅 |
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 |
北陸鉄道石川線の終点となる鶴来駅 |
のと鉄道七尾線の終点となる穴水駅 |
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北陸鉄道浅野川線の終点となる内灘駅 |
かつて北陸鉄道石川線の終点だった加賀一宮駅 |
|
事業者 |
路線 |
県内区間 |
キロ程 |
軌間 |
単複 |
閉塞方式 |
架線電圧 |
JR西日本 |
北陸新幹線 |
県境-金沢 |
20.6km |
1,435mm |
複線 |
ATC |
25000V交流 |
北陸本線 |
大聖寺-金沢 |
46.4km |
1,067mm |
複線 |
複線自動閉塞式 |
20000V交流 |
七尾線 |
津幡-七尾 |
54.4km |
1,067mm |
単線 |
特殊自動閉塞式 |
1500V直流 |
JR西日本
のと鉄道 |
七尾-和倉温泉 |
5.1km |
1,067mm |
単線 |
特殊自動閉塞式 |
1500V直流 |
のと鉄道 |
七尾線 |
和倉温泉-穴水 |
28.0km |
1,067mm |
単線 |
特殊自動閉塞式 |
非電化 |
IRいしかわ鉄道 |
IRいしかわ鉄道線 |
金沢- 倶利伽羅 |
17.8km |
1,067mm |
複線 |
複線自動閉塞式 |
20000V交流 |
北陸鉄道 |
浅野川線 |
北鉄金沢-内灘 |
6.8km |
1,067mm |
単線 |
自動閉塞式 |
1500V直流 |
石川線 |
野町-鶴来 |
13.8km |
1,067mm |
単線 |
自動閉塞式 |
600V直流 |
|