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JR福井駅は福井県の中心駅です |
福井県内にある既存の鉄道路線としては、JR線では北陸本線(新疋田-牛ノ谷間85.3km)、小浜線(敦賀-青郷間73.5km)、越美北線(越前花堂-九頭竜湖間52.5km)の3路線合計211.3kmがあります。
北陸本線は、言うまでもなく北陸地方を走る主要幹線で特急列車が多数運行されています。
また当然ながら全線複線電化されていて敦賀-糸魚川間は交流電化されていて、他は直流電化されています。
北陸新幹線(長野-金沢間)が2015年3月14日に開業し、北陸本線は金沢以東が第三セクター化された関係で、金沢-福井間の特急列車が増設されています。
新幹線が福井駅まで乗り入れるのは2024年の予定です。
小浜線は、敦賀-東舞鶴間84.3kmを走る路線ですが、ほとんどが福井県内を走ります。以前は定期急行列車が運行されていたのですが、現在では普通列車のみの運行です。
全線単線ですが2003年(平成15年)3月15日には全線直流電化が実現しています。これには電力会社の匿名の寄付が大いに役立ったと言われています。しかしかなりコストを下げた工事のためか最高時速は85km/hと低いのが実際です。もう少しなんとかならないかと思うのですが、実は大きい声では言えませんが、本来ならば電化するような路線とは言えないローカル線で列車本数も少ないので、とても大規模な近代化工事などする気が起きないのでしょう。
越美北線は、2004年(平成16年)7月18日の福井豪雨で不通となり、全線の復旧には数年を要し、さらに新線建設と同程度の費用がかかるとされて、もともと乗客数が減少していたこともあり路線存続が危ぶまれましたが、福井県とJR西日本の努力により2007年(平成19年)6月30日に全線が復旧しています。
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えちぜん鉄道勝山駅は登録有形文化財に指定されています |
この越美北線は、全線単線非電化のローカル線で列車本数も少ないのです。
石川県では七尾線、富山県では高山本線、氷見線、城端線など北陸本線に接続する支線は列車本数がかなり多いのですが、福井県内の支線はみんな列車本数が少ないのが残念なところです。
これはやはり福井県は人口が少ないということでしょう。
私鉄線は、えちぜん鉄道と福井鉄道がそれぞれ路線を持っています。
えちぜん鉄道の路線はいずれも以前は京福電気鉄道の路線でしたが、あの2度に渡る忌まわしい鉄道事故によっていったん廃線となり、第三セクター化されてえちぜん鉄道として甦ったという経緯があります。
京福電気鉄道は、京都に本社を持ち、福井県内では越前本線(:現・勝山永平寺線)、三国芦原線、永平寺線と3つの路線を持っていました。
ところが2000年(平成12年)12月17日、越前本線志比堺 - 東古市間で列車衝突事故がありこの事故で運転士が死亡するという大惨事があり、さらに2001年(平成13年)6月24日には越前本線保田
- 発坂間で再度の列車衝突事故が発生し、半年間に2度も電車同士の列車衝突事故を起こすという重大な事態が発生しています。事故の翌日からは、全線の列車運行を停止し、バス代行となっています。
国交省からは同年7月には「安全確保に関する事業改善命令」が出されています。これに従って車両更新、信号系統改良、ATSの設置などの資本投入を迫られた京福電鉄には、既に廃線すら検討していたくらいでとても経営的な余力がなかったため、福井鉄道部の事業継続が困難になったとして同年10月に廃止届を国土交通省に提出しています。
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福井鉄道田原町駅に停車する880形電車 |
これにより越前本線と三国芦原線が廃線の危機に立たされたわけですが、福井県などが出資する第三セクターえちぜん鉄道が設立され、京福電気鉄道が2003年(平成15年)2月1日にえちぜん鉄道に越前本線と三国芦原線を譲渡して、越前本線は勝山永平寺線と名称を変えています。同時に永平寺線は、収支が見込めないことから廃止となっています。そして同年7月19日からえちぜん鉄道は運行を開始する運びとなり、現在も活躍しています。
福井市はこれまで何度も戦災や地震、水害と大きな被害を受けているのに不死鳥のごとく甦ってきたため、フェニックス都市と呼ばれていますが、鉄道もフェニックスのように甦っているのは偶然ではないでしょう。
ということで、えちぜん鉄道は、現在のところ勝山永平寺線(福井-勝山間27.8km)と三国芦原線(福井口-三国港間 25.2km)の2路線(合計53.0km)を持っています。
もう一つの私鉄会社である福井鉄道は福武線(武生新-田原町間20.9km、市役所前-福井駅前間0.5km)を持っています。
福井鉄道福武線は、福井市内の区間は軌道線となっていて、路面電車が走る唯一の路線となっています。
福井鉄道の鉄軌道事業は1963年以降赤字続きで、バス事業や不動産事業などの利益で欠損を補填してきましたが、累積赤字が2006年度決算で約22億円に達して、いよいよ支えきれなくなってきます。
そして2007年8月に福井鉄道はこのままでは鉄軌道部門の存続が難しいとして、沿線各自治体に支援を要請しています。
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えちぜん鉄道三国港駅に停車する5000形電車 |
福井県や親会社の名古屋鉄道、福井銀行など取引金融機関の支援協議が難航するなどの紆余曲折を経て、2008年12月29日、名鉄が増資(1株を10億円で引き受け)した上で、増資された1株を含む保有全株を地元自治体の出資する第三セクターや地元支援団体へ1株1円で全面譲渡し、経営から撤退しました。しかし1株を10億円で引き受けて1円で売るとは・・・名鉄もとんでもない裏技を使ったものです。
これを受け、沿線3市は「法定協議会」を設置し、県および支援団体の支援により福武線を存続させることが決まりました。2008年11月25日には、臨時株主総会で福井銀行出身者(元福井鉄道顧問)である村田治夫氏が新社長に選任されました。
2009年2月24日には国土交通省に申請していた「鉄道事業再構築実施計画」が地域公共交通活性化法に基づき全国初の認定を受け、10年間で10億の国庫補助が設備更新に充てられるほか、固定資産税の優遇措置を受けられることとなっています。
このように福井鉄道福武線も一時は廃線の危機にあったわけですが、福井鉄道を第三セクター化することで存続したことになります。これは2001年(平成13年)に富山県の万葉線がやはり廃線になりかけた時に第三セクター化することで存続している例に倣ったと思われます。
このように福井県内の私鉄線は下手をすると全部廃止される可能性も極めて高かったわけですが、福井県内は積雪地帯で冬季はバスが当てにならない事から鉄道路線を維持存続する必要性があったので存続できたと言えます。
まとめると福井県内の既存路線は、JR線の総延長が211.3km、私鉄線の合計が74.4kmで、合計285.7kmとなります。
北陸新幹線は、敦賀-金沢間が開業し、福井県内へ乗り入れるのは2024年となります。福井県内の新幹線駅は、芦原温泉駅、福井駅、越前たけふ駅、敦賀駅の4駅ですが、越前たけふ駅は新駅となり、他路線との接続がない単独駅となります。
これにより、並行在来線となる北陸本線も敦賀-金沢間が第3セクター化されて、敦賀-大聖寺間がハビラインふくい、大聖寺-金沢間がIRいしかわ鉄道となり、引き続き運行されます。また敦賀駅から大阪、名古屋方面への在来線特急が接続される見込みとなっています。福井駅-金沢駅間はIRいしかわ鉄道の列車と相互乗り入れする予定です。
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えちぜん鉄道三国港駅 |
えちぜん鉄道三国駅 |
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えちぜん鉄道あわら湯のまち駅 |
えちぜん鉄道田原町駅は福井鉄道との乗換駅です |
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えちぜん鉄道福井口駅 |
えちぜん鉄道福井駅 |
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えちぜん鉄道永平寺口駅 |
JR越美北線越前大野駅 |
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福井鉄道越前武生駅 |
福井鉄道ハーモニーホール駅 |
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福井鉄道福井駅前駅 |
福井鉄道市役所前駅 |
|
事業者 |
種別 |
路線名 |
県内区間 |
総延長 |
軌間 |
単複 |
架線電圧 |
開業日 |
JR西日本 |
鉄道 |
北陸本線 |
新疋田-牛ノ谷 |
85.3km |
1,067mm |
複線 |
20000V交流 |
1882年3月10日 |
小浜線 |
敦賀-青郷 |
73.5km |
1,067mm |
単線 |
1500V直流 |
1917年12月15日 |
越美北線 |
越前花堂-九頭竜湖 |
52.5km |
1,067mm |
単線 |
非電化 |
1960年12月15日 |
えちぜん鉄道 |
鉄道 |
勝山永平寺線 |
福井-勝山 |
27.8km |
1,067mm |
単複 |
600V電化 |
1914年2月11日 |
三国芦原線 |
福井口-三国港 |
25.2km |
1,067mm |
単線 |
600V電化 |
1928年12月30日 |
福井鉄道 |
鉄軌道 |
福武線 |
武生新 - 田原町 |
20.9km |
1,067mm |
単複 |
600V電化 |
1924年2月23日 |
市役所前 - 福井駅前 |
0.5km |
1,067mm |
複線 |
600V電化 |
1933年10月15日 |
|