|
砺波駅に停車する忍者ハットリくん列車 |
JR城端線は、富山県高岡市の高岡駅と同県南砺市にある城端駅間29.9kmを結ぶ鉄道線です。全線単線非電化のローカル線です。高岡-二塚間は、貨物列車も運行されています。
城端線は、中越鉄道により富山県初の鉄道として1897年(明治30年)5月4日に黒田仮-福野間(17.2km)が開業しています。北陸線はまだ開業しておらず、高岡駅の位置が未定だったため、仮駅として黒田仮停車場を設け起点としています。
同年8月18日には、福野-福光間(5.33km)が開業し、10月31日には、福光-城端間(5.03km)が開業しています。
翌1898年(明治31年)1月2日には、高岡-黒田間(2.21km)が開業し、高岡-城端間が全線開通しています。
これで現在の城端線が完成したことになります。高岡駅開業と同時に、黒田仮停車場が廃止されています。
1899年(明治32年)4月3日には二塚駅が開業しています。
1900年(明治33年)12月29日に伏木-高岡間が延伸開業すると同時に油田駅が開業しています。
しかしなぜか1902年(明治35年)5月15日には早々と二塚駅が廃止されています。ただし1914年(大正3年)2月20日には二塚停留場が開業しています。
1920年(大正9年)9月1日には中越鉄道全線が国有化されて、伏木-高岡-城端間が中越線となっています。この際に二塚停留場が二塚駅に昇格しています。
|
かつて福野駅には加越線が乗り入れていました |
1942年(昭和17年)8月1日に、高岡-城端間が城端線に改称されています。同時に伏木-高岡間は氷見線になっています。
1951年(昭和26年)8月10日には東野尻駅・東石黒駅・越中山田駅が開業しています。 1954年(昭和29年)11月10日には出町駅を砺波駅に改称しています。1956年(昭和31年)11月19日には林駅が開業し、現在の駅が出そろったわけです。
1974年(昭和49年)7月1日には福光-城端間の貨物営業を廃止し、1980年(昭和55年)9月25日には二塚-福光間の貨物営業を廃止しています。高岡-二塚間だけ貨物営業が存続したことになりますが、これは現在も同様です。
どうしてかというと中越パルプ工業二塚工場への貨物専用線が二塚から分岐しているからです。
1987年(昭和62年)4月1日には国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)が路線を継承、日本貨物鉄道(JR貨物)が高岡-二塚間の第二種鉄道事業者となりました。
1992年(平成4年)3月14日には現在のようにワンマン運転が開始されています。
この城端線のウリはキハ40形気動車3両に氷見市出身の漫画家藤子不二雄Aの漫画『忍者ハットリくん』のキャラクターが描かれた「忍者ハットリくん列車」が運行されていることでしょう。
また毎年4月から5月には、となみチューリップフェアのための臨時列車「チューリップ号」が運転されます。
平成27年3月14日に北陸新幹線開業と同時に同新幹線の乗り換え駅として新高岡駅が開業しました。
さらに平成27年10月より実施する北陸デスティネーションキャンペーンに合わせ、JR西日本は観光列車、「ベル・モンターニュ・エ・メール(愛称:べるもんた)」を城端線・氷見線で運行することとなり、氷見線には、10月10日(土)から毎週土曜日に、新高岡駅から氷見駅までを2往復(1往復は高岡駅止まり、予約制、1月2日は除く)、城端線には毎週日曜日に、高岡駅から城端駅までを1日2往復(予約制、1月3日は除く)運転します。
2023年10月23日、富山県や沿線自治体などが今後の経営のあり方を話し合う「城端線・氷見線再構築検討会」が開かれ、氷見線とともに第三セクター鉄道のあいの風とやま鉄道がJR西日本より経営を引き継ぐ方針を固めています。県は、再構築計画の素案を同年11月に示すよう準備を進め、11月29日に開かれた城端線・氷見線の再構築検討会で提示された素案では、あいの風とやま鉄道がJR西日本から城端線と氷見線の経営を引き継ぐ際の施設整備にかかる費用として約342億円を想定し、このうちJR西日本が150億円を拠出、新型鉄道車両はあわせて34両を176億円をかけて導入する、両線の運行本数を1日当たり60本程度まで増発しパターンダイヤを導入するなどとしています。両線のあいの風とやま鉄道への移管は「再構築の実施計画が開始される2024年2月からおおむね5年後で新型鉄道車両の導入がすべて完了する時期」としました。
これにより、氷見線と城端線は新型電気式気動車で運行されることになりますので、あいの風とやま鉄道の電車運転士も、気動車運転手も運転できる事になるので、運転士の融通が利くようになり、今後に向けて持続性を維持できることになります。運転士不足は、今後加速するでしょうから、先手を打ったことは評価できるでしょう。
|
|
新高岡駅 |
新高岡駅城端線駅舎 |
|
|
新高岡駅に入線するべるもんた |
新高岡駅に停車するべるもんた |
|
|
高儀駅を通過するべるもんた |
新高岡駅を発車するべるもんた |
|
JR氷見線 路線データ |
管轄 |
西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者) |
路線距離 |
高岡 - 城端間 29.9km |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
14駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
なし(全線単線) |
電化区間 |
なし(全線非電化) |
閉塞方式 |
特殊自動閉塞式(軌道回路検知式) |
保安装置 |
ATS-SW |
運転指令所 |
金沢総合指令所(北陸広域鉄道部高岡CTC) |
最高速度 |
85km/h |
開業日 |
1897年(明治30年)5月4日 |
使用車両 |
キハ40形気動車 キハ47形気動車 |
列車種別 |
普通列車のみ |
|
|
新高岡駅に入線するべるもんた |
|
駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
ホーム |
みどり
の窓口 |
駅員
配置 |
交換
設備 |
所在地 |
高岡駅 |
- |
0.0 |
JR北陸本線・氷見線 万葉線(高岡駅前駅) |
4面8線 |
○ |
◎ |
∨ |
高岡市 |
新高岡駅 |
1.8 |
1.8 |
北陸新幹線 |
1面1線 |
○ |
◎ |
| |
二塚駅 |
3.3 |
3.3 |
|
2面2線 |
|
● |
◇ |
林駅 |
1.3 |
4.6 |
|
1面1線 |
|
|
| |
戸出駅 |
2.7 |
7.3 |
|
2面2線 |
|
○ |
◇ |
油田駅 |
3.4 |
10.7 |
|
1面1線 |
|
|
| |
砺波市 |
砺波駅 |
2.6 |
13.3 |
|
2面2線 |
○ |
◎ |
◇ |
東野尻駅 |
2.2 |
15.5 |
|
1面1線 |
|
|
| |
高儀駅 |
1.5 |
17.0 |
|
1面1線 |
|
|
| |
南砺市 |
福野駅 |
2.4 |
19.4 |
加越能鉄道加越線(1972年廃止) |
2面2線 |
○ |
○ |
◇ |
東石黒駅 |
2.6 |
22.0 |
|
1面1線 |
|
|
| |
福光駅 |
2.7 |
24.7 |
|
2面2線 |
○ |
○ |
◇ |
越中山田駅 |
2.8 |
27.5 |
|
1面1線 |
|
|
| |
城端駅 |
2.4 |
29.9 |
|
2面2線 |
|
○ |
∧ |
駅員配置 注 ◎:通常駅 ●:業務委託駅 ○:簡易委託駅 無印:無人駅
列車交換 注 ∨∧◇ :列車交換可能 |:列車交換不可
JR城端線の時刻表は、こちらをクリックしてください。
|
高岡駅 |
高岡駅から終点の城端までの料金は、570円となります。
城端線の列車は、ワンマンカーで1両もしくは2両編成となっています。
14時11分定刻に出発した列車は、国宝瑞龍寺のそばを通ります。このあたりは寺社が多いのです。さらにイオン高岡が見えますが、どうやらこのあたりに新幹線の新駅ができるとか。
高架の下をくぐってしばらくすると二塚駅に到着します。
この駅から中越パルプ二塚工場への貨物専用線が分岐しています。そのため側線が多いのです。ホームも相対式2面2線あり、跨線橋で結ばれていて、列車のすれ違いもできます。なおこの駅は業務委託駅となっていて駅員もいます。二塚駅を出て、しばらく走るとも林駅に到着します。ここは無人駅で駅舎もありませんが、単式1面1線のホームに待合室があります。林駅を出発した列車は、さらに走り続けます。このあたりは田園風景なのですが、けっこう大きな工場が点在しています。
このあたりは工業団地になっていて、アマテラス製薬富山工場、日石硝子工業、新光硝子工業などが並んでいます。
列車は戸出駅に到着します。戸出駅は、相対式2面2線のホームを持っていて跨線橋も持っています。古い駅舎でけっこう立派なものです。近くには富山県立高岡南高等学校があります。
戸出駅を出てしばらく走ると次の油田駅に到着します。
駅名からして油田がありそうですが、もちろんそんなものはありません。駅舎は、新しいものに改築されたようです。もっとも無人駅ですが 。油田駅からは砺波市の領域に入ります。
|
砺波駅 |
国道156号線の下をくぐってしばらく走ると砺波駅に到着します。この砺波駅は、なんと橋上駅なのです。このような造りの駅は大都市圏の郊外駅にはよく見かけるタイプですが、富山県にこのような駅があるとは・・・。この手の駅の定番としてやはり相対式2面2線のホームを持っています。
砺波市の中心駅で城端線内の駅としてはもっとも立派な駅です。もちろん乗降客も高岡駅を除けば最も多いのです。
砺波市には全国的に有名なチューリップ公園がありますので、チューリップフェアの時期になると臨時列車が出ます。
駅前からのバス路線も多く出ています。
砺波駅を出た列車は、さらに南に向かって走り続けます。砺波の市街地を抜けていくつも高架の下をくぐり抜けて田園地帯に入ると東野尻駅に到着します。東野尻駅は無人駅でホームも1面1線ですが、ホームに待合室はあります。
東野尻駅を出るとさらに田園地帯を走り、高儀駅に到着します。
高儀駅も無人駅ですが、こちらは新しい簡易駅舎を持っています。ホームは1面1線ですが、以前は2面2線だったようで、向かい側にホーム跡があります。
駅前には日本ソフテックというソフトウェア会社があります。
高儀駅を出た列車は、しばらく走って福野駅に到着します。ここには川田工業の大きな工場があります。
福野駅は、古い駅舎のままですが、相対式2面2線のホームを持ち、跨線橋で結ばれています。みどりの窓口もあります。この駅が南砺市の中心駅となっています。
|
城端駅 |
駅前は再開発されていて、すっきりしています。以前は、ここから石動-庄川町間に加越線があったのですが、1972年に廃止されています。
福野駅を出た列車は、かつて加越線があった自転車道の下をくぐります。この跨線橋の橋脚と橋台は加越線で使用されていたものを転用していて、加越線最大の遺構と言えます。
県道と並行して走ります。そしてしばらくして東石黒駅に停車します。
この駅も無人駅ですが、ホームに待合室があります。しかし乗降客は無人駅にしてはかなり多いのです。
東石黒駅を出た列車は、さらに県道と並行して走りながら福光駅に到着します。
この福光駅には駅舎内にコンビニがありますし、みどりの窓口もある駅です。駅舎自体は古いタイプのものです。
もっとも駅前は、福野駅のような再開発はなされていないようです。
福光駅を出た列車は、道路と並行して走りながら市街地を出て、田園風景の中を走りながら越中山田駅に到着します。
この駅は無人駅で1面1線のホームしかありませんが、待合室はあります。駅のすぐそばに消防団の建物があります。越中山田駅を出発した列車は、いよいよ終点の城端駅に向かいます。
|
城端駅に貼ってあった「true tears」のポスター |
城端駅は、相対式2面2線のホームを持っていますが、跨線橋がありません。線路の上を通らないと2番線には入れません。
2番線のりばは、始発に使用されています。駅舎は古いものですが、けっこう立派です。
待合室には、アニメ番組「true tears」のポスターが貼ってありました。これは、なんとこの城端の街を舞台としたアニメなのです。待合室には、訪問者が自由に書き込めるコミュニケーションノートが置かれていました。
さらに話の中に登場する今川焼きの店やショッピングモールもモデルが実在します。要するに城端を中心として富山県内の各地を舞台とした設定になっているのですね。
最近、富山県を舞台にしたアニメというのがよくありますが、どうしてでしょうか。いよいよ全国区になってきたのかな。
これで城端線の旅は終わりですが、いくつか気づいたこともあります。この城端線は、列車本数もさほど多くありませんし、距離も29.9kmとさほど長くもありませんが、沿線は市街地が多く、工場も多いのです。しかし単線非電化で輸送力も高くないし、あまりリソースをかけるような路線とも思えないのも確かです。
現在のところは1時間に1本程度の列車本数ですが、北陸新幹線が開業することで、高岡-二塚間に新幹線新駅が開業することで城端線と接続することになればもっと列車本数も増やせるのではないでしょうか。ただ、現状では列車本数が少ないためか朝夕の高校生以外の乗客が少なくていまいちの状況と言えます。
現在、高山本線では富山-越中八尾間で社会実験ということで列車本数を増やしているのですが、城端線でも同様の事ができるのではないかと思うのですが・・・。 |
|