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越前大野駅 |
越美北線は、福井県福井市の越前花堂駅から福井県大野市の九頭竜湖駅に至る総延長52.5kmのJR西日本の鉄道路線(地方交通線)です。愛称は九頭竜線とも呼ばれています。
全線単線非電化のローカル線です。
越美北線はもともとは福井駅と岐阜県の美濃太田駅の間を岐阜県郡上市白鳥町石徹白(旧福井県大野郡石徹白村)を経由して結ぶ鉄道(越美線)の一部として建設されています。
美濃太田駅からは、越美南線が建設されましたが、この両路線を接続するには、県境の山々が険しいために資金的にも技術的にも実現は困難だったために、ついに両県を結ぶ計画は断念されました。
福井県側の越美北線は現在もJRの路線として存続していますが、岐阜県側は第3セクター化され長良川鉄道越美南線として現在も存続しています。
大野市へ通じる鉄道としては当初は京福電気鉄道越前本線が唯一の鉄道路線でしたが、1960年に越美北線が完成したためにこれと競合することとなって勝山-京福大野間が1974年(昭和49年)8月13日に廃止されてしまい、現在では越美北線が大野市に通じる唯一の鉄道路線となっています。
なお、国鉄時代は北陸本線・福井-越前花堂間にある貨物駅の南福井駅を起点とし、南福井-越前花堂間は北陸本線と越美北線の両線に属するいわゆる二重戸籍区間という扱いでした。これは越美北線の部分開業後に、越前花堂駅の北陸本線ホームができたことに由来していました。JR移行後は越前花堂駅が起点とされ二重戸籍は解消されましたが、現在でも越前花堂駅の越美北線ホームは北陸本線ホームから離れたところに位置していて別路線になっている印象を受けます。
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越前大野駅ホームに停車するキハ120気動車 |
越美北線は、1960年(昭和35年)12月15日に南福井-越前花堂-勝原間 (43.1km) が開業したのが最初です。
同時に南福井-越前大野間で貨物営業を開始しています。
1972年(昭和47年)12月15日には勝原-九頭竜湖間 (10.2km) が延伸開業し越美北線が全線開通しています。
1982年(昭和57年)11月15日には南福井-越前大野間の貨物営業が廃止され、全線の貨物営業が廃止されています。
1987年(昭和62年)4月1日には国鉄分割民営化により越美北線は西日本旅客鉄道が継承しています。
同時に起点を越前花堂に変更しています 。そのため形式的ですが総延長が0.8km短くなっています。
1990年(平成2年)6月1日にはワンマン運転を開始しています。
ところが2004年(平成16年)7月18日の集中豪雨により第1・3・4・5・7足羽川橋梁が流失し全線不通となっています。
2日後の7月20日には越前大野-九頭竜湖間で運行再開しています。
さらに同年9月11日には越前花堂-一乗谷間、美山-越前大野間が運行再開されていますが、依然として一乗谷-美山間は不通のままでした。
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越前大野駅みどりの窓口 |
災害当初は、全線の復旧には数年を要し、さらに新線建設と同程度の費用がかかると見られ、路線存続さえが危ぶまれる事態となっていました。そこで福井県とJR西日本は、復旧に向けて2005年6月27日に工事協定を正式締結しています。
復旧工事の総工費は40億円となり、橋梁復旧にはそのうち34億円がかかるとされていました。そのうち国からは10億円、福井県が20億円、JR西日本は10億円をそれぞれ負担することとなりました。つまり福井県が半分は出すことになったわけで、福井県の鉄道路線維持に対する意図を伺い知ることができます。越美北線は路線も長く積雪地帯を通ることから、全線のバス路線代行は無理であるとの判断があったのでしょう。
不通区間のうち橋梁流失のあった区間を除く越前花堂-一乗谷間、美山-越前大野間は2004年9月11日に運行再開されていたのですが、一乗谷駅には道路が狭いためにバスの乗り入れができないため、代行バスは越前東郷-美山間(11.8km)で運行されていました。当初は京福バスが運行していましたが、2005年6月13日からはJRバスが運行していました。
2005年10月17日には復旧工事に着手し、2006年9月には橋脚が完成、2007年1月には橋桁の設置が完了しています。
流出した橋梁はトラス橋に切り替えて橋脚を極力減らしてコストを縮減しています。
2007年3月6日にJR西日本金沢支社は、同年6月30日に一乗谷 - 美山間の運転を再開すると発表しています。
同年6月24日から25日にかけて線路切替工事を行って、試運転が実施されて、予定通り同年6月30日には豪雨災害発生以来3年ぶりに全線復旧しています。それにしても当初はいつ廃止と言い出さないか、ヒヤヒヤものでした。
同時期には高山本線も同様に被害を受けて不通になっていて復旧工事にかかっていたし、各地で災害復旧による工事があって金はいくらあっても足りないというところでしたからね。
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越美北線の起点、越前花堂駅 |
越美北線の終点、九頭竜湖駅 |
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JR越美北線 路線データ |
管轄(事業種別) |
西日本旅客鉄道(第一種) |
路線距離(営業キロ) |
52.5km |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
22駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
なし(全線単線) |
電化区間 |
なし(全線非電化) |
閉塞方式 |
越前花堂-越前大野 |
特殊自動閉塞式 |
越前大野-九頭竜湖 |
スタフ閉塞式 |
開業日 |
1960年12月15日 |
使用車両 |
キハ120形5両 |
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キハ120形200番台気動車 |
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路線 |
駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
ホーム |
みどり
の窓口 |
駅員
配置 |
列車
交換 |
所在地 |
北
陸
本
線 |
福井駅 |
- |
2.6 |
JR北陸本線
福井鉄道福武線
えちぜん鉄道勝山永平寺線 |
2面5線 |
○ |
◎ |
∥ |
福井市 |
越前花堂駅 |
2.6 |
0.0 |
JR北陸本線 |
2面3線 |
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△ |
Y |
越
美
北
線 |
六条駅 |
2.3 |
2.3 |
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1面1線 |
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足羽駅 |
1.4 |
3.7 |
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1面1線 |
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越前東郷駅 |
2.0 |
5.7 |
|
1面1線 |
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| |
一乗谷駅 |
2.6 |
8.3 |
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1面1線 |
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越前高田駅 |
3.1 |
11.4 |
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1面1線 |
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市波駅 |
1.2 |
12.6 |
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1面1線 |
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| |
小和清水駅 |
2.0 |
14.6 |
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1面1線 |
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美山駅 |
2.9 |
17.5 |
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1面2線 |
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◇ |
越前薬師駅 |
2.0 |
19.5 |
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1面1線 |
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越前大宮駅 |
2.7 |
22.2 |
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1面1線 |
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計石駅 |
2.2 |
24.4 |
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1面1線 |
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牛ヶ原駅 |
3.2 |
27.6 |
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1面1線 |
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大野市 |
北大野駅 |
1.8 |
29.4 |
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1面1線 |
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越前大野駅 |
2.0 |
31.4 |
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1面2線 |
○ |
◎ |
◇ |
越前田野駅 |
2.9 |
34.3 |
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1面1線 |
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越前富田駅 |
1.4 |
35.7 |
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1面1線 |
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下唯野駅 |
3.1 |
38.8 |
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1面1線 |
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柿ヶ島駅 |
1.0 |
39.8 |
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1面1線 |
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勝原駅 |
2.5 |
42.3 |
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1面1線 |
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越前下山駅 |
6.5 |
48.8 |
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1面1線 |
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九頭竜湖駅 |
3.7 |
52.5 |
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1面1線 |
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○ |
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駅員配置 注 ◎:通常駅 ○:簡易委託駅 △:朝のみ駅員配置あり ×:無人駅
列車交換 注 ∥:複線 Y:複線→単線 ◇:列車交換可能 |:列車交換不可
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