デジカメ入門 始めに
最近では、銀塩カメラがほぼ絶滅し、カメラといえばデジタルカメラとなっています。
しかしまだまだ使いこなすには難しいアイテムとも言えます。
そこでこのデジカメ入門では、デジタルカメラの機種選択から実際に撮影し、活用するまでのテクニックを紹介します。
と言っても私は別にデジタルカメラの専門家でもなんでもありません。パソコンに関しては専門家ですが。
デジカメのメリット・デメリットデジカメのメリット・デメリット
デジタルカメラは、今ではすっかり銀塩カメラに成り代わってしまい、カメラと言えばデジタルカメラになっています。
しかしどうしてこれだけデジタルカメラが普及したのでしょうか。

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C-1400Lで撮影
そのもっとも大きい理由は、フイルムが必要ないという点であると考えられます。
フイルムが必要ないので、現像も必要なく、ランニングコストがたいへん小さいものとなりました。デジタルカメラでは、フイルムの代わりにメモリーカード、現像の代わりにパソコンへのデータの取り込みとなっています。
メモリーカードは、一度買えば繰り返し利用できる上に、一枚に入る画像数がフイルムに比べて桁違いに多いので、この点でもデジタルカメラが有利です。
これだけでもデジタルカメラが普及するには十分な理由となりますが、当初はデジタルカメラの画質は一眼レフ銀塩カメラにはまだ及ばないという事実があり、現時点でも画質の差を完全に埋め尽くしたとはいえない点もあります。しかしながら技術の進歩は、デジタルカメラと銀塩カメラの画質の差を限りなく近づけています。
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EOS Kiss DigitalXで撮影
右のクロスランドタワーは、画素数140万画素のC-1400Lで撮影したものです。このカメラも発売当時は最強のデジタルカメラとして一世を風靡した名器ですが、さすがに現在の目で見ると物足りない点が多いでしょう。
左のクロスランドタワーは、画素数1000万画素のEOS Kiss DigitalXで撮影したものです。条件もほぼ同じ快晴時の写真ですが画像をクリックして拡大画像を見ると、さすがにデジタル一眼レフの1000万画素の威力を見せつけてくれます。解像度が高く、切れの良い画像が見られます。このクラスになると銀塩カメラとの差はほぼなくなりつつあります。
もう一つデジタルカメラの有利な点として、メモリーカードからパソコンに取り込んだデータは、パソコン上で活用できますし、デジタルデータであることから劣化しないというメリットがあります。ただし、パソコンの操作を間違えると大事な画像データが消失する可能性があります。またCD-RやDVD-Rに記録しておけば消失することはないが、これらのメディアが実際にはどれだけの耐用年数を持つのかはこれまで経験がないため実は未知数です。
また、インクジェットプリンターで光沢紙などに印刷した場合は、専用の印画紙に比べて劣化が早いという事実もあります。そのためデジタルデータをカメラ店などでデジタルプリントする方法も当然ながら考えられます。価格的にも現像が必要ないので銀塩カメラに比べてコスト的には安くなります。
これに対して銀塩カメラで撮影した画像は、アナログデータであることからネガや印画紙は紫外線などで時間が経過するにつれて劣化するという問題があります。もっともネガの保管さえしっかりしていれば相当期間の保存が可能です。
プリントする場合は、必ず現像が必要となりますし、専用の印画紙にプリントすることからコスト的にもそれなりにかかることからデジタルカメラに比べるとコスト的には不利な状況です。
一方、デジタルカメラが持つ問題点として、電池が必要であることと、電池の消耗が激しく、メモリーカードがまだ残量があっても電池が切れて撮影できないというケースが良くあることで、それを回避するため予備電池が必要であることです。これはデジタルカメラを使っている人なら誰しもが経験していることでしょう。
それと多機能カメラになれば操作が難しく、使いこなせないという問題もあります。
マニュアルを読む気がしない、あるいは読んでも専門用語が出てきて意味がわからないということもあります。
この点を克服するのが本コーナーの目的といえます。

下表はデジタルカメラと銀塩(フィルム)カメラの特徴を一覧にしたものです。
デジタルカメラ 銀塩カメラ
画像の記録媒体 SDメモリカードなどの記録メディアを使用する。繰り返し利用でき、寿命も長い。 銀塩フィルムを使用する。撮影ごとに交換しなければならないのでコストも大きい。
色の設定 ホワイトバランスを変えることによりシミュレーションできる。 フィルムの銘柄やフィルターで補正する。
ISO感度 任意、あるいは自動で1コマごとに設定できる。 フィルムの銘柄により感度が決まっている。
画像サイズ 数種類の画像サイズを同一メディアに記録できるが、撮影する画素数により決定される。 24×36mm
レンズ焦点距離 レンズ表示の約1.5倍(APS-Cサイズの場合) レンズ表示の焦点距離
苦手な撮影条件 実体のないもの、コントラストが低い被写体にピントが合わないことがある。 蛍光灯などの特殊光源下での撮影や数十分の露光ではカラーバランスが崩れる。
記録方式 記録メディアにデジタルデータとして記録される。 フィルム上にアナログデータとして記録される。
現像の方法 通常は現像は必要ない。RAW画像を取り込んでJPEGに変換する作業を現像と呼んでいるが、手間がかかるだけでコストがかかるわけではない。 現像所などで現像する必要がある。この際のコストは無視できない。
プリント 数種類のプリント方式が選べる。インクジェットプリントや昇華型プリントなど一般的なプリンタでのプリントが可能である。 銀塩プリントによるプリント。専用の機材が必要である。
記録可能枚数 記録メディアの容量や画像サイズ・画質モードによって異なるが、数百枚に及ぶのが普通である。 フィルムのコマ数で数十枚である。
画像の保存性 基本的にデジタルデータなので、劣化が起こらない。ただし、バックアップを取っておかないと、トラブルによる消失の可能性がある。 現像後のフィルムの退色などで次第に劣化する。フィルム自体は、管理さえしっかりしていれば、相当期間の保存が可能である。
ランニングコスト 電池の充電くらいでコストが極めて小さい。 フィルムや現像にコストがかかる。
電池の消耗 電池の消耗は早く、デジカメの最大の問題点である。特に最近の機種ではこれが顕著である。 電池の消耗はデジカメに比べて小さい。
デジカメのスペックデジカメのスペック
デジタルカメラを買う前にこれだけは知っておかなければならないデジカメのスペックについて考えてみましょう。

1.画素数
必ずと言っていいほど最初に書いてあるデジカメのスペックです。
これは何のことかというと、撮影するときにレンズから入る光を受ける撮像素子、通常のデジタルカメラではCCDイメージセンサーと呼ばれる素子を使用していますが、画素数とはこの撮像素子がどれだけ細かい点を感知するのかを意味する数値です。これが大きいほど画像を細かく取り込めることになります。
最近のデジタルカメラでは、この画素数が700万画素〜2000万画素のものまで登場していて、十分な画素数を持つようになっていますが、実はこの画素数だけでは画質の善し悪しが決まりません。さらに言えば画質とは直接関係ないとすら言えます。画質の善し悪しは、撮像素子の大きさや色再現性、レンズの大きさや性能、画像処理エンジンの性能にも左右されるので画素数だけでは画質は云々できないのです。
はっきり言えばほとんどのカメラメーカーはこの点をうまくごまかしてカメラを売っているのです。
つまり大きな画素数を持っているだけでは画質が良いとは限らないということになります。

ここでは参考として画素数と撮像素子のサイズなどの関係を一覧表にしてみました。
OLYMPUS OLYMPUS OLYMPUS 京セラ
C-1400L C-2020ZOOM C-3030ZOOM Finecam L4
141万画素 211万画素 324万画素 423万画素
2/3インチCCD 1/2インチCCD 1/1.8インチCCD 1/2.5インチCCD
荻町合掌集落 合掌造り ベンガルトラ 黒部ダム
KonicaMINOLTA Panasonic FIJI FILM Casio
DiMAGE G600 DMC-FZ30 FinePix av150 EXILIM EX-H50
640万画素 832万画素 1400万画素 1610万画素
1/1.76インチCCD 1/1.8インチCCD 1/2.33インチCCD 1/2.33インチCCD
アフリカゾウ 真川調整池 睡蓮 アオサギ
CANON CANON CANON CANON
EOS Kiss DigitalN EOS Kiss DigitalX EOS Kiss X2 αNEX-5K
820万画素 1050万画素 1240万画素 1420万画素
22.2×14.8mmCMOS 22.2×14.8mmCMOS 22.2×14.8mmCMOS 23.4x15.6mmCMOS
ポートラム 帆船海王丸 アイトラム バラ
Panasonic  CANON SONY
DMC-GX1 EOS Kiss X5 αNEX-7K
 1668万画素 1800万画素 2430万画素
 4/3型Live MOS 22.3×14.9mmCMOS 23.4×15.6mmCMOS
海王丸 海王丸 海王丸

2.光学ズーム倍率
光学ズームとは、レンズと撮像素子との距離、これを焦点距離と呼びますが、この距離を変動させることにより、遠くにある被写体でも大きく写せるのです。
たいていは、光学3倍ズームというように記述されていて、この場合でしたら、焦点距離がもっとも小さいとき(広角)ともっとも大きいとき(望遠)との差が3倍であるということを意味しています。
通常のデジタルカメラでは、光学ズームが3〜5倍というタイプが一般的ですが、10倍以上の高倍率タイプのカメラもあります。私が持っているDMC-FZ30は光学12倍ズームを持つカメラです。
光学ズーム倍率は高い方が良さそうですが、ズームレンズの性能が悪いと高倍率時の画質が大幅に低下します。
真立ダムを最大望遠で撮影しました
真立ダムを最大望遠で撮影しました
この点、デジタル一眼レフならばレンズを長焦点のものに交換できるので、このような問題は発生しません。
また高倍率ズームの際は手ブレも起こりやすくなりますが、手ブレ補正機能を持っている機種であれば、手ブレが軽減できます。DMC-FZ30は35mm換算で420mmもの長焦点となるので、手ブレ補正機能なしでは手持ちではとても撮影できません。
右の画像は、幻のダムと名高い真立ダムをDMC-FZ30で最大望遠にしてしかも手持ちで撮影したものです。ダムからはかなり離れた地点から撮影しています。近づくとこのアングルでは撮影できないためです。
さすが焦点距離420mmの威力を遺憾なく発揮しています。しかも手ブレ補正機能により手ブレもありません。
ちょっと注意しなくてはいけない点として、もう一つデジタルズームという用語がありますが、これを使用すると画像がぼやけて劣化するため、原則的には使わない方が良いのです。最近のデジタルカメラでは、光学3倍ズーム、デジタル4倍ズームなどと記述してあるものがほとんどですが、光学ズームの倍率の方が重要ですのでデジタルズームが大きくても関係ないので注意してください。

広角(画角が大きい)では、焦点距離が短いので広い範囲を撮影できますが、被写体は小さく写ります。
望遠(画角が小さい)では焦点距離が長いので狭い範囲しか撮影できませんが、被写体を大きく写せます。
3.撮像素子(CCD・CMOS)のサイズ
CCDサイズの比較
フルサイズ 36mm×24mm
APS-C 23.4mm×16.7mm
EOS Kiss N.X 22.2mm×14.8mm
フォーサーズ 17.3mm×13mm
2/3インチ 8.8mm×6.6mm
1/1.8インチ 6.9mm×5.2mm
1/2.33インチ 6.2mm×4.6mm
1/2.5インチ 5.7mm×4.3mm
1/3インチ 4.8mm×3.6mm
撮像素子とは、デジタルカメラに搭載された半導体素子です。
デジタルカメラでは主にCCDイメージセンサーかCMOSイメージセンサーが採用されています。CCDセンサーもCMOSセンサーも光を受けて、電気に変える仕組みになっています。そしてJPEGデータに変換するための画像処理エンジンに信号を送り、ここで実際の画像を作成しています。画像処理エンジンは、最近のデジタルカメラではもっとも差別化を図れる部分なので各メーカーが独自のエンジンの開発に力を入れています。
最近はやりのコンパクトデジカメではほとんどがCCDセンサーを搭載している一方、デジタル一眼レフではCMOSセンサーを搭載している機種が多いようです。そしてデジタル一眼レフの撮像素子は、コンパクトデジカメのものよりもかなり大きく作られていて、当然ながら光をたくさん取り込めます。
デジタルカメラのスペックは、必ずと言っていいほど画素数を強調して表記されていますが、さりげなく撮像素子の大きさも表記されています。
例えばPanasonicのDMC−FZ30であれば、1/1.8インチ800万画素CCDと書いてあるのですが、たいていの人は800万画素のところに目がいくのです。しかし実はその前の1/1.8インチの持つ意味がかなり大きいのです。
CCDイメージセンサー
CCDイメージセンサー
この数値が大きいほど多くの光を受けることができ、広い範囲を撮影できることになるわけです。
従来のカメラではこれがフイルムの大きさを意味することになるので35mmあったわけですが、デジタルカメラではフルサイズの大きさの撮像素子を持った機種は極めて高価なデジタル一眼レフになってしまいます。ですからたいていはそれより小さな撮像素子で我慢しているわけで、デジタルカメラの画質が銀塩カメラに及ばない最大の理由がここにあったわけです。
最近のデジタル一眼レフは一般に撮像素子としてCMOSセンサーを搭載しています。本来ならばCCDセンサーの方が低照度でのノイズが少なく、画質的には有利なのですが、技術の進歩で画質的には差がなくなってきていることと、CMOSセンサーの方が安価で大きいものを作れ、しかも大量生産できるということからCMOSセンサーを採用するケースが多いと考えられます。さらにCCDセンサーの方がただでさえ消費電力が大きいため、大型のCCDセンサーを搭載すると電池の消耗が著しくなるという事もあるでしょう。
実は、iPhoneに搭載されている撮像素子もCMOSセンサーですが、これは性能があまり良くなく画像が歪んだりします。またWebカメラに搭載されている撮像素子もCMOSセンサーです。つまりこれらは安価に大量生産できるというCMOSセンサーの最大の特徴を重視しているわけです。ただし性能的には多少の問題があるわけです。
CMOSイメージセンサー
CMOSイメージセンサー
ニコンやキャノンの上級機ではフルサイズと大きいCMOSセンサーを搭載していて、一般的なデジタル一眼レフではAPS-Cクラスの一回り小さなCMOSセンサーを搭載しています。筆者のEOS Kiss DigitalXはAPS-Cタイプよりも少し小さいCMOSセンサーを搭載しています。
OLYMPUSやパナソニックのデジタル一眼レフではフォーサーズと呼ばれる規格のLive MOSセンサーを搭載しています。これはCCDとCMOSの両方の性格を兼ね備えた新型センサーです。しかし撮像素子が小さいのでボケ味を出すにはやや不利です。
ただし、センサーが小型化されたことから、全体的に軽量小型化することに成功しています。さらに小型化されミラーレスとなったマイクロフォーサーズシステムでも同様のLive MOSセンサーを搭載していて、特に女性ユーザーには人気のモデルとなっています。
コンパクトデジタルカメラは、これらのデジタル一眼レフよりもかなり小さいサイズのCCDを搭載していて、同じ画素数でもCCDのサイズが小さいため画質的には劣ることになるわけです。
例えばフルサイズCMOSと最近流行の1/2.33インチ型CCDでは、面積比において1/2.33インチ型CCDは3.3%しかありません。ですから同一画素数であれば、1/2.33インチ型CCDはフルサイズCMOSに比べて1個の画素に入る光量が3.3%しかないことになるのです。
Live MOSセンサー
Live MOSセンサー
ただし、CCDセンサーの方がCMOSセンサーに比べてノイズが少なく性能的にはまだ上ですので、コンパクトデジカメの性能が絶望的に劣るわけではありません。コンパクトなサイズのボディにするには元々大きな撮像素子を搭載するわけにはいかないのでサイズは小さいものの性能の高いCCDセンサーを搭載するというのが基本的な考え方なわけです。
またサイズの小さいCCDセンサーを製造した方がコスト的にも断然有利ですので、最近では安価なデジタルカメラを販売できるようになったわけです。以前は200万画素程度の売れ筋カメラが実売価格10万円以上であったのに、最近では1000万画素クラスの売れ筋カメラが実売価格2万円台で販売されているのもこのあたりに理由があります。この間、CCDセンサーの大きさはほとんど変動していないか、むしろやや小さくなっていると言えます。
当初は1/2インチCCDが一般的でしたが、最近では、1/2.33インチCCDが一般的となっています。つまり当初に比べてもむしろCCDセンサーの大きさは小さくなっているわけです。これは、要するに技術の進歩でCCDイメージセンサーの感度が向上し、小さいイメージセンサーでもより高解像度、大きな画素数に対応できるようになったと言えましょう。

参考に筆者が使用している各機種の画素数と撮像素子のサイズを掲載しておきましょう。
メーカー 機種 サイズ 画素数
OLYMPUS C-1400L 2/3インチ 141万CCD
OLYMPUS C-2020ZOOM 1/2インチ 211万CCD
京セラ Finecam L4 1/2.5インチ 423万CCD
KonicaMINOLTA DiMAGE G600 1/1.76インチ 640万CCD
Panasonic DMC-FZ30 1/1.8インチ 832万CCD
CANON EOS Kiss DigitalN 22.2×14.8mm 820万CMOS
CANON EOS Kiss DigitalX 22.2×14.8mm 1010万CMOS
CANON EOS Kiss X2 22.2×14.8mm 1220万CMOS
FujiFilm FinePix av150 1/2.33インチ 1400万CCD
SONY αNEX-5K 23.4x15.6mm 1420万CMOS
Casio EXILIM EX-H50 1/2.33インチ 1610万CCD
Panasonic  DMC-GX1  17.3×13mm  1668万LiveMOS
CANON EOS Kiss X5 22.3×14.9mm 1800万CMOS
SONY αNEX-7K 23.4x15.6mm 2430万CMOS

下の機種ほど後から発売された機種なのですが、CANONのデジタル一眼レフを除くと、初期のC-1400LがもっともCCDが大きいのはけっこうおもしろいところでしょう。C-1400Lが発売されて、圧倒的な売れ行きを示したのは、その画質が他を圧倒していたからですが、これを見るとその理由がわかります。その後出てきた機種よりも大きなCCDを搭載していたわけですね。
ただし、デジタル一眼レフであるCANONのEOS Kiss DigitalXは、22.2×14.8mmのCMOSセンサーを搭載していますが、これは1/1.8インチCCDの約9倍の面積を持つ巨大な撮像素子です。デジタル一眼レフの画質が良いのは、このような大きなCMOSセンサーを搭載しているからなのです。
下に、撮像素子の大きさの比較表を掲載してみました。フルサイズ、APS-C、フォーサーズはデジタル一眼レフに採用されている撮像素子です。それより小さい撮像素子は、いずれもレンズ一体型デジカメに採用されているものです。
最近のコンパクトデジカメは、1/2.33インチ型CCDを搭載している機種が多いようです。

4.焦点距離
EF50mm単焦点
EF50mm単焦点
2.でも説明した焦点距離ですが、実はこれに関しては注釈が必要になります。
つまり通常のデジタルカメラでは、撮像素子(CCDやCMOS)が一般的なフィルムカメラのフイルムに比べて小さいので、同じ焦点距離であってもフイルムカメラに比べると撮影できる範囲が狭くなってしまいます。
そこでデジタルカメラのスペックでは焦点距離に関して35mm換算でと注釈がついています。
この値は、光学ズームの項でも説明したように、広角側と望遠側の2つの値があり、その差がちょうど光学ズームの倍率に相当することになります。
そして広角側の値が小さいほど焦点距離が短いので広角で広い範囲を撮影できるカメラということになります。
デジタル一眼レフの場合は、レンズを交換できるので、そのレンズの性能により焦点距離も変わります。交換用レンズもいくつかの種類がありますが、大きく分けて単焦点レンズかズームレンズか、焦点距離の範囲により広角、標準、望遠に分類できます。またマクロレンズと呼ばれる接写レンズもありますが、これは単焦点レンズの仲間に属します。
デジタル一眼レフの場合は、交換用レンズもよりどりみどりですので、
EF100-400mmズームレンズ
EF100-400mmズームレンズ
広い範囲を撮影したい場合は、焦点距離が短い広角レンズ、遠くのものを大きく撮影したい場合は、焦点距離を長くできる望遠レンズを取り付ければいいわけです。つまり言い換えれば広い範囲の画角を得られるわけです。
コンパクトデジカメは、レンズを交換できない上にたいていの機種はズームが3倍〜5倍程度しか伸びないため、得られる画角が限られてしまうわけです。ただしデジタル一眼レフタイプでないデジタルカメラの中にもワイドコンバージョンレンズやテレコンバージョンレンズを装着して、焦点距離を変えることができるタイプのものもあります。
一部の機種では PanasonicのDMC-FZ30のように10倍以上の高倍率ズームを搭載している機種もあります。


撮像素子の大きさと焦点距離の関係
撮像素子が大きいカメラは、焦点距離が同じでも画角が大きい。
フイルム一眼レフであれば、レンズの焦点距離がそのまま適用できる。
撮像素子が小さいデジカメは、焦点距離が同じでも画角が小さく、結果的に撮像素子が大きいカメラと比較すると、倍率が高くなります。そのため35mm換算による焦点距離が実質的な焦点距離となります。
例えばAPS-Cサイズの撮像素子を持つカメラであれば、レンズの焦点距離の1.5倍が35mm換算の焦点距離となります。そのため撮像素子の小さいコンパクトデジカメでは、広角を得るのが難しいことになります。

参考に筆者が使用している各機種の焦点距離とコンバージョンレンズの可否について掲載しておきましょう。
メーカー 機種 f(mm) 35mm換算 ズーム倍率 CL
OLYMPUS C-1400L 9.2〜28 36〜110 3倍
OLYMPUS C-2020ZOOM 6.5〜19.5 35〜105 3倍
京セラ Finecam L4 5.8〜17.4 35〜105 3倍 ×
KonicaMINOLTA DiMAGE G600 8〜24 39〜117 3倍 ×
Panasonic DMC-FZ30 7.4〜88.8 35〜420 12倍
FijiFilm FinePix av150 5.7〜17.1 32〜96 3倍 ×
Casio EXILIM EX-H50 4.5〜108 25〜600 24倍 ×

また筆者が使用しているCANON用交換用レンズは、次のとおりです。
メーカー 製品名 マウント 焦点距離 F値 駆動系 手ブレ
補正
CANON EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II EF-S 18-55mm 3.5-5.6 DCモーターギア
CANON EF-S55-250mm F4-5.6 IS II EF-S 55-250mm 4-5.6 DCモーターギア
CANON EF-S18-55mm F3.5-5.6 II USM EF-S 18-55mm 3.5-5.6 マイクロUSM II ×
CANON EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS EF-S 18-55mm 3.5-5.6 DCモーターギア
CANON EF28-80mm F3.5-5.6 II USM EF 28-80mm 3.5-5.6 マイクロUSM II ×
CANON EF-S55-250mm F4-5.6 IS EF-S 55-250mm 4-5.6 DCモーターギア
CANON EF55-200mm F4.5-5.6 II USM EF 55-200mm 4.5-5.6 マイクロUSM II ×
CANON EF100-300mm F4.5-5.6 USM EF 100-300mm 4.5-5.6 マイクロUSM ×
SIGMA 70-300mm F4-5.6 DG MACRO AF 70-300mm 4-5.6 DCモーターギア ×
TAMRON AF 200-400mm 5.6 DCモーターギア ×
MIZAR BIG60DA AF 600-1000mm 8.0-12.8 マニュアル ×
SIGMA ZOOM 28-80mm F3.5-5.6 UMACRO AF 28-80mm 3.5-5.6 DCモーターギア ×

SONY Eマウント交換レンズは、次のとおりです。
メーカー 製品名 マウント 焦点距離 F値 駆動系 手ブレ補正
SONY E18-55mm F3.5-5.6 OSS E 18-55mm 3.5-5.6 レンズ内モーター
SONY E 55-210mm F4.5-6.3 OSS E 55-210mm 4.5-6.3 レンズ内モーター
SONY  E 16mm F2.8 E 16mm  2.8  レンズ内モーター   

マイクロフォーサーズマウント交換レンズは、次の通りです。
メーカー 製品名 マウント 焦点距離 F値 手ブレ補正
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R MF 40-150mm 4.0-5.6
Panasonic LUMIX G X VARIO PZ 14-42mm f/3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S MF 14-42mm 3.5-5.6

焦点距離の長い望遠ズームレンズを用いる場合に、問題になってくるのが手ブレの問題です。
三脚で固定すれば良いのですが、必ずしもそういう場面ばかりとは限らないことも多いので、手ブレ補正機能を持つカメラが必要となります。この際にカメラ本体に手ブレ補正機能を持たせるのか、あるいはレンズに手ブレ補正機能を持たせるのかが問題となります。キャノン、ニコンのデジタル一眼レフカメラは、レンズ側に手ブレ補正機能を持たせています。一方、レンズ一体側デジカメでズーム倍率の高いカメラの場合は、レンズが交換できないので、本体側に手ブレ補正機能を持たせていることになります。いずれにしても、手ブレ補正機能を持つカメラが望ましいと言えます。
5.絞り値とシャッタースピード
絞り値とは、レンズの焦点距離をレンズの口径で割ったときの値であり、通常はF値と呼ばれています。

絞り値(F)=焦点距離(f)/レンズの口径(D)
と言ってもレンズを交換しない限りレンズの口径が変わるわけはないのですが、実は絞り値を変えるためにレンズの前面を遮るための絞りがあってこれを開閉することでレンズの絞り値を変えることができます。
F値が小さいほどレンズが明るいことを意味しています。そしてF値が1.4倍になると光量が1/2になります。夜景など暗い被写体を撮影するにはこのF値が小さいほど取り込める光量が多いため有利と言えます。
また絞りを開くほど(F値が小さい)被写界深度が浅くなります。つまりピントの合う範囲が狭くなるわけです。ピントの合う範囲が狭くなるということは、ピントを合わせた被写体の前後がボケるということになります。
逆に絞りを絞れば(F値が大きい)被写界深度が深くなります。この場合は、ピントが合う範囲が広くなります。
さらに、焦点距離が同じならば、同じ絞り値でも被写体との距離が小さいほど被写界深度は浅くなり、逆に被写体からの距離が大きいほど被写界深度は深くなります。
また、同じ絞り値でも焦点距離が短いほど被写界深度は深くなり、焦点距離が長いほど被写界深度は浅くなります。
つまり絞り値が同じ場合は、望遠になるほどピントが合う範囲が狭くなるわけです。
これを利用することでおもしろい作品を作り出せる余地が広がると言えましょう。
ただし、レンズを絞り過ぎてF値が大きくなると光量が不足してシャッタースピードが遅くなるので手ブレが起こりやすいという問題があります。また同時に画質が低下することになるので注意が必要です。
これにはいろいろな要因があり、上記のように光量の不足、シャッタースピードの低下による手ブレ、回折現象などからピントが甘い画像になることが往々にして起こります。
もう一つの考え方として、シャッタースピードを変えることで光量の取り込み量を変える考え方もあります。
つまりシャッタースピードを速くすることで光量を少なくする、シャッタースピードを遅くすることで光量を大きくすることもできます。デジタルカメラでは、この二つの値を手動で設定するマニュアル露出モード(M)、絞り値を手動で設定することでシャッタースピードを自動的に最適値で合わせる絞り優先モード(Av)、シャッタースピードを手動で設定し、絞り値はそれに合わせて最適値を自動的に設定するシャッタースピード優先モード(Tv)、シャッタースピードと絞り値を自動に設定するプログラムAEモード(P)と4通りの露出制御設定ができるようになっています。
ただし、最近のコンパクトデジカメでは、これらの設定を自動的に行うタイプのものが多く、手動で自由に設定できないようになっています。

参考に筆者が使用している各機種の絞り値とシャッタースピードを掲載しておきましょう。
メーカー 機種 F Wide F Tele シャッター(秒)
OLYMPUS C-1400L 2.8,5.6 3.9,7.8 1/4〜1/10000
OLYMPUS C-2020ZOOM 2.0〜11.0 2.8〜11.0 16〜1/800
京セラ Finecam L4 2.8,7.5 4.7,7.5 8〜1/2000
KonicaMINOLTA DiMAGE G600 2.8〜4.9 4.9〜8.3 15〜1/2000
Panasonic DMC-FZ30 2.8〜11.0 3.7〜11.0 60〜1/2000
FijiFilm FinePix av150 2.9〜8.8 5.2〜16.0 8〜1/1400
Casio EXILIM EX-H50 3.0〜8.7 3.0〜6.9 4〜1/2000
6.メモリーカード
メモリーカードは、画像を記録するためのメディアです。これまでの銀塩カメラではフイルムがこれに相当しましたが、フイルムは撮影するたびに交換する必要があり、コストも大きく、さらに現像する必要がありましたが、メモリーカードでは何度も繰り返し使用できますので、コストの点ではたいへんに有利になりました。
メモリーカードにもいくつかのタイプがあり、特にどれが有利とか不利とかはないのですが、デジタルカメラにより使用できるメモリカードの種類は決まっていて、それ以外のものは利用できません。
また、記憶容量が大きいものほど画像をたくさん保存できますが、画素数が大きいカメラほど画像のファイルサイズが大きくなるため、記憶できる枚数が少なくなります。最近のデジタルカメラは画素数が大きくなっているため、なるべく大きい記憶容量のものを購入するべきです。なお、デジタルカメラに付属しているメディアは記憶容量が少ないため、大容量のメディアを購入するべきです。
デジタルカメラ用のメモリーカードとしては最近ではSDメモリーカードがもっとも普及していて価格も安いので、どれを選ぶか迷った場合に、SDメモリーカードを使用するデジタルカメラを選択するのも良いかもしれません。SDカードのファイルシステムにはWindows標準でもあるFAT16やFAT12が採用されているので、最大容量は2GBとなります。
さらに大容量のSDHCメモリーカードは、ファイルシステムにFAT32が採用されていて、その記憶容量は最大32GBとなっています。
さらに最近では、SDXCメモリーカードが登場しています。SDXCとは、SDメモリーカードの規格のうち、記憶容量が最大2TBに拡張された規格です。SDXCでは、ファイルシステムがWindows Vista SP1などで採用されている新規格「exFAT」が採用されています。最新の機種ではこのSDXCカードに対応したモデルが一般的となっています。
もっとも2012年時点では、まだ128MBのSDXCカードが登場しているだけで2TBに到達するのはまだ先になるでしょう。
従来では、デジタル一眼レフではコンパクトフラッシュを採用している機種が多いようです。
ただし、CANONのEOS KissシリーズもX2以降は、SD/SDHCカードを採用しています。
筆者が愛用しているEOS Kiss X5では、SD/SDHC/SDXCに対応しています。

メモリーカードの主な種類を下記に掲載しておきます。
メディアの種類 SDメモリーカード SDHCメモリーカード SDXCメモリーカード コンパクトフラッシュ
最大容量 2GB 32GB 2TB 64GB
サイズ
(幅×長さ×厚み)
24×32×2.1 24×32×2.1 24×32×2.1 42.8×36.4×3.3(TypeI)
42.8×36.4×5.0(TypeII)
形状 SDメモリーカード SDHCメモリーカード SDXCメモリーカード コンパクトフラッシュ
メディアの種類 メモリースティック メモリースティックProDuo スマートメディア xDピクチャーカード
最大容量 128MB 16GB 128MB 2GB
サイズ
(幅×長さ×厚み)
21.5×50×2.8 20×31×1.6 45×37×0.76 20×25×1.7
形状 メモリースティック メモリースティックProDuo スマートメディア xDピクチャーカード