富山地方鉄道
富山地方鉄道・鉄道路線の概要
電鉄富山駅
電鉄富山駅
富山地方鉄道は、1943年(昭和18年)1月1日に「陸上交通事業調整法」に基づき、1930年に設立された富山電気鉄道を母体に富山県内のすべての私営・公営の鉄軌道・バス会社を合併して設立されました。
合併に参加した鉄道会社は、富山電気鉄道・加越鉄道・富山県営鉄道・黒部鉄道・越中鉄道・富山市営軌道の6社です。
富山地方鉄道は、これらが保有していた路線を統合し、本線立山線不二越線、上滝線射水線加越線、富岩線、富山市内軌道線の8路線を保有することになりました。
このうち富岩線は、同年6月1日には国有化されて富山港線となっています。さらに富山港線は2006年(平成18年)2月28日にはJR線としては廃止され、同年4月29日からは富山ライトレール富山港線として第三セクター線として開業しています。
2020年(令和2年)2月22日、富山ライトレールは、富山市内軌道線との直通に先立ち富山地方鉄道に合併することになり、当路線はなんと78年ぶりに富山地方鉄道の路線となったわけです。
2020年(令和2年)3月21日には富山港線と富山市内軌道線が接続されて、岩瀬浜、南富山、大学前まで相互に直通運転されることになり、15.3kmが一体として運行されることになりました。
富山地方鉄道は、1948年(昭和23年)4月10日には、高岡軌道線(伏木線)地鉄高岡駅 - 伏木港駅間を開業し、1951年(昭和26年)4月1日には米島口 - 新湊(現・六渡寺)間を開業して、高岡軌道線を全線開通させています。
また1950年(昭和25年)には加越能鉄道を設立し、この際に加越線は加越能鉄道に譲渡されています。
さらに1959年(昭和34年)には、加越線の赤字を補填するために優良路線であった高岡軌道線を加越能鉄道に譲渡しています。しかし加越能鉄道加越線は、収支が改善せず、1972年(昭和47年)9月16日で廃止されています。
また富山地方鉄道は、1933年(昭和8年)に廃止されていた笹津線を1950年(昭和25年)から再開業していますが、これは1975年(昭和50年)4月1日に廃止されています。(-_-)
また射水線も1966年(昭和41年)4月に富山新港の建設で分断されて、西側は、新湊港線として加越能鉄道に譲渡され、東側は射水線として存続しましたが、1980年(昭和55年)4月1日に廃止されています。(-_-)
富山市内軌道線
富山市内軌道線
高岡軌道線と新湊港線も射水線と分断された上にモータリゼーションの影響から利用客が減り、廃線が取り沙汰されるようになり、2001年には加越能鉄道が高岡軌道線と新湊港線を廃止する旨を発表したため、高岡市や新湊市など地元自治体が、第三セクター会社である万葉線株式会社を設立し、2002年(平成14年)4月1日からは万葉線として開業し、現在に至っています。
富山地方鉄道は、富山県東部を中心に本線、立山線、不二越線、上滝線の4路線で総延長93.2kmの鉄道路線を保有しています。いずれも直流1500Vによる全線電化区間です。
閉塞方式は、全線が自動閉塞式となっています。
2009年12月23日には、富山市内軌道線の環状線化のために丸の内-西町間0.94kmを通る富山都心線が開業されました。
これは軌道と車輌を富山市が保有し、実際の運行は富山地方鉄道が行うという上下分離・官設民営方式で運営されます。
もちろんこの方式は路面電車では初めての方式ですが、そもそも新線建設が富山市以外では行われていませんので、当然といえば当然でしょう。
これにより富山市内軌道線は、7.3kmの軌道線を保有することになり、鉄軌道線の総延長は、100.5kmにも及び、地方都市の私鉄としては、最大規模を誇ります。(^o^)
さらに、富山大橋の老朽化による掛け替えに伴い、富山市内軌道線呉羽線が複線化されることになり、平成24年3月24日に、富山大橋が開通しています。これに伴い、安野屋駅-新富山駅間が複線化され、鵯島信号所が廃止されています。さらにこの区間がセンターポール化されているのも見所の一つでしょう。同時に新富山駅、安野屋駅が移設されて、上屋が設置されてバリアフリー化されています。大学前駅も上屋が設置されるなど改修されています。
鉄道路線は、本線、不二越線、上滝線、立山線と4路線が運行されていますが、実際には不二越線と上滝線は一体として運行されています。
本線の電鉄富山-稲荷町間は複線区間、その他は単線です。
また全線が直流600Vによる電化区間となっています。閉塞方式は、全線が自動閉塞式となっています。
宇奈月温泉駅
宇奈月温泉駅
本線と立山線では、優等列車として特急列車が運行されています。特急列車に乗車の際は特急料金が必要となります。地方都市の私鉄において特急列車を運行することもたいへん珍しいことで、これを見てもかなり本格的な鉄道路線であり、観光路線としての性格も持っていると考えるべきでしょう。
また、富山地方鉄道の各駅は、地方私鉄の駅とは思えないような立派な駅舎を持っている駅も多く、これも見どころとなるでしょう。電鉄富山駅は、駅ビルまで持っている大きな駅ですが、本線では稲荷町駅、越中舟橋駅、上市駅、電鉄黒部駅、宇奈月温泉駅、立山線では五百石駅、岩峅寺駅、立山駅が大きく立派な駅舎を持っています。いずれも個性的な駅ばかりで北陸本線にあるような平屋の没個性的な駅とは全然違うのです。
しかし、苦言を言わせてもらうと、観光客には見せられないような老朽化した駅舎もあったりしますので、こういうのは早めに改修して欲しいところです。
富山地方鉄道富山市内軌道線の営業係数は、2004年で74.5と全国で10位と優秀な成績を収めています。路面電車では、もちろん最優秀の成績です。
また本線、立山線など鉄道線4路線の営業係数は同年で109.1となっています。
現在、鉄道線と軌道線をまたがる計画としては、上滝線をLRT化して、富山市内軌道線から乗り入れるという計画が検討されています。これが実現すると富山市内軌道線から低床式LRVが直通運転がなされることになります。
実は、以前にも同様の計画があり、実験のため上滝線を600Vに降圧して路面電車を走行させた事があったのですが、勾配が大きいために登り切れないという結果になっていました。しかし今度は強力なモーターを持つ新型車両ですので、上滝線も走行が可能と踏んでの計画でしょう。もっとも直流1500Vを降圧しないで、直流600V・1500V両対応の車両を投入する事になるようです。
岩瀬浜-(7.7km)-富山駅-(3.8km)-南富山-(12.4km)-岩峅寺で総延長23.9kmとなりますが、これだけのLRT路線が通ればこれは日本でも始めての試みでしょう。

電鉄富山駅のあるESTAとMARIER 五百石駅は図書館が併設されています
電鉄富山駅のあるESTAとMARIER 五百石駅は図書館が併設されています
新黒部駅は北陸新幹線との乗換駅です 新設された新相ノ木駅
新黒部駅は北陸新幹線との乗換駅です 新設された新相ノ木駅
稲荷町駅は不二越線との分岐駅です 越中舟橋駅は図書館が併設されています
稲荷町駅は不二越線との分岐駅です 越中舟橋駅は図書館が併設されています
寺田駅は立山線との分岐駅です 上市駅はスイッチバック駅です
寺田駅は立山線との分岐駅です 上市駅はスイッチバック駅です
滑川駅はJR北陸本線との乗換駅です 中滑川駅は地鉄本線の特急が停車します
滑川駅はJR北陸本線との乗換駅です 中滑川駅は地鉄本線の特急が停車します
電鉄魚津駅は新駅舎に改築されました 新魚津駅はJR魚津駅との乗換駅です
電鉄魚津駅は新駅舎に改築されました 新魚津駅はJR魚津駅との乗換駅です
電鉄黒部駅 この舌山駅と長屋駅の間に新黒部駅が新設されます
電鉄黒部駅 この舌山駅と長屋駅の間に新黒部駅が新設されます
(旧)五百石駅駅舎の様子 釜ヶ淵駅
(旧)五百石駅駅舎の様子 釜ヶ淵駅
岩峅寺駅は上滝線との分岐駅です 立山駅は立山線の終点です
岩峅寺駅は上滝線との分岐駅です 立山駅は立山線の終点です
南富山駅は上滝線及び富山市内軌道線の分岐駅です 上滝駅
南富山駅は上滝線及び富山市内軌道線の分岐駅です 上滝駅
富山市内軌道線富山駅はJR富山駅との乗換駅です 大学前駅は富山市内軌道線の終点です
富山市内軌道線富山駅はJR富山駅との乗換駅です 大学前駅は富山市内軌道線の終点です
丸の内駅は富山都心線との分岐駅です グランドプラザ前駅は本線との乗換駅です
丸の内駅は富山都心線との分岐駅です グランドプラザ前駅は本線との乗換駅です

富山地方鉄道 既存路線一覧
種別 路線名 区間 総延長 軌間 単複 架線電圧 最高速度 開業日
鉄道 本線 電鉄富山-宇奈月温泉 53.3km 1,067mm 単複 1,500V
直流
95km/h 1913年6月25日
立山線 寺田-立山 24.2km 単線 70km/h 1921年3月19日
不二越線 稲荷町-南富山 3.3km 単線 70km/h 1914年12月6日
上滝線 南富山-岩峅寺 12.4km 単線 70km/h 1921年4月25日
軌道  富山軌道線   本線 南富山駅前-富山駅 3.6km 1,067mm 複線 600V
直流  
40km/h  1913年9月1日
支線 富山駅前-丸の内 1.0km 複線 1913年9月1日
安野屋線 丸の内-安野屋 0.6km 複線 1952年8月5日
呉羽線 安野屋-大学前 1.2km 複線 1916年11月22日
富山都心線 丸の内-西町 0.94km 単線 2009年12月23日
南北接続線  富山-支線接続点  0.2km 複線 2015年3月23日
富山港線(軌道線)  富山-奥田中学校前   1.2km 1,067mm 単複 2006年4月29日
鉄道 富山港線(鉄道線)   奥田中学校前-岩瀬浜  6.5km 1,067mm 単線 60km/h  1924年7月23日
※ 全線が自動閉塞式        
 
 鉄道線の平日時刻表(PDF:161KB)  鉄道線の休日時刻表(PDF:152KB) 
 軌道線の平日時刻表(PDF:290KB)  軌道線の休日時刻表(PDF:286KB)

富山地方鉄道 廃止路線一覧
種別 路線名 区間 総延長 軌間 単複 架線電圧 閉塞方式 最終廃止日
鉄道 富山地方鉄道射水線 新富山 - 新港東口 14.4km 1,067mm 単線 600V直流 スタフ閉塞式 1980年4月1日
富山地方鉄道笹津線 南富山 - 地鉄笹津 12.4km 1,067mm 単線 600V直流 タブレット閉塞式 1975年4月1日
軌道 富山市内軌道線 東部線 西町 - 地鉄ビル前 1.9km 1,067mm 複線 600V直流 自動閉塞式 1984年3月31日
西部線 西町 - 丸の内 0.9km 複線 1973年3月31日
山室線 中教院前-不二越駅前 1.0km 複線 1984年3月31日
呉羽線 大学前 - 呉羽公園   1.0km 単線 1969年10月1日

富山地方鉄道 譲渡(廃止)路線一覧
種別 路線名 区間 総延長 軌間 単複 架線電圧 閉塞方式 譲渡日 最終廃止日
鉄道 加越能鉄道加越線 石動-庄川町 19.5km 1,067mm 単線 非電化 特殊自動閉塞式 1950年10月23日 1972年9月16日
軌道 加越能鉄道伏木線 米島口-伏木港 2.9km 1,067mm 単線 600V直流 不明 1959年4月1日 1971年9月1日

富山地方鉄道 現役車両
鉄道線用車両
16010形(元西武5000系) 10020形と10030形
16010形(元西武5000系) 10020形と10030形
10030形(元京阪3000系) 14760形
10030形(元京阪3000系) 14760形
10030形(元京阪3000系)ダブルデッガーエキスプレス 17480形(元東急8590系)
10030形(元京阪3000系)ダブルデッガーエキスプレス 17480形(元東急8590系)
クハ170形 16010形(元西武5000系)「アルプスエキスプレス」
クハ170形 16010形(元西武5000系)「アルプスエキスプレス」
富山地方鉄道の鉄道線で2009年4月現在、常時運用されているのは、16010形、10030形、14760形です。
これらの車両は運行されている姿をいつでも見ることができます。
その他14720形、10020形を必要に応じて運行することがあるようですが、普段は車両基地以外ではあまり見ることもなくなっています。
16010形は、関東地方の方は西武5000系レッドアロー号を思い浮かべるでしょう。それもそのはず、5000系を改造した車両ですから。元々が特急用車両ですから乗り心地も良く、冷房車ですから快適です。
10030形は、京阪電鉄の3000系特急電車の車体に営団地下鉄の走行装置を組み合わせて改造した車両です。一部の車両はさらにJRの485系特急電車で使用していたインダイレクトマウント式のDT32Eに交換されていて、乗り心地が改善されています。
14760形は、地鉄オリジナルの車両で地鉄では初めての冷房車です。1980年には鉄道友の会のローレル賞を受賞している優れものです。
軌道線用車両
8000形 7000形
8000形 7000形
オリジナルの塗装のままの7018 かなり派手な広告です
オリジナルの塗装のままの7018 かなり派手な広告です
環状線を走るセントラム 南富山駅車両基地に停車するセントラム
環状線を走るセントラム 南富山駅車両基地に停車するセントラム
国際会議場前駅に入線するセントラム 南富山駅車両基地に停車するサントラム
国際会議場前駅に入線するセントラム 南富山駅車両基地に停車するサントラム
富山市内軌道線で2021年4月現在、常時運用されている車両は、7000形電車、8000形電車、T100形電車(サントラム)、9000形(セントラム)、TLR0600形(ポートラム)があります。
7000形電車は、東京都電8000形をモデルとして1957年から1965年にかけて日本車輌製造で製造されています。
現在運用されている車両は10両ですが、いずれも冷房車に改造されています。しかも各車両ごとに外観も個性的に変えてあるのでたいへん楽しめます。7018のみがオリジナルの塗装のままです。
8000形車両は、1993年から日本車輌製造で製造されています。現在の保有車両は5両です。
制御方式はVVVFインバータ制御、集電装置はシングルアームパンタグラフ、運転台には1軸ツーハンドルマスコンを採用している新型車両です。
言うまでもないでしょうが、全車冷房化されていますし、最近ではブレーキ装置の改造が行なわれています。
9000形セントラムは、次世代路面電車(LRV)として低床式車輌となっています。このタイプの車輌は3編成が導入されています。
最新3連接LRVとして投入されたT100形電車は、愛称をサントラムとされて、2010年4月27日から運行が開始されています。
このタイプは、4編成を保有しています。
TLR0600形(ポートラム)は、富山港線から乗り入れる形で運行されていて、8編成が投入されています。
富山地方鉄道路線マップ
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