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立山駅改札口 |
富山地方鉄道立山線は、寺田駅-立山駅間 24.2kmを結ぶ富山地方鉄道の鉄道路線です。
全線電化単線で、最高速度は70km/hとなっています。
寺田駅で本線から分岐しています。また岩峅寺駅で上滝線と分岐します。途中駅の五百石駅、岩峅寺駅、有峰口駅で列車交換が可能です。終点の立山駅は、立山黒部アルペンルートの玄関口となっていて、この駅から美女平への立山ケーブルカーへ接続しています。
宇奈月温泉駅-立山駅間の「アルペン特急」が運行されていて、優等列車の設定がある路線です。
アルペン特急以外の列車は、電鉄富山駅発着となっていて、電鉄富山駅 - 寺田駅間は本線に乗り入れています。
電鉄富山駅-立山駅間は、急行列車も運行されています。また岩峅寺駅止まりの普通列車も相当数が設定されています。
立山軽便鉄道が1913年(大正2年)6月25日に現在の本線にあたる滑川-五百石間を開業したのが最初です。ただし、このときは軌間が762mmとナローゲージでした。
立山軽便鉄道は、1917年(大正6年)6月25日には立山鉄道と改称しています。
1921年(大正10年)3月19日には、五百石-立山(現在の岩峅寺駅付近)間が開業しています。
1931年(昭和6年)4月6日には、立山鉄道が富山電気鉄道に合併されています。
同年8月15日には、寺田-五百石間が開業しています。この際には軌間1067mm、1500V電化が達成されています。
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寺田駅駅舎 |
1932年(昭和7年)12月22日には上市口(現在の上市駅)-五百石間が廃止されています。何しろ、寺田-五百石間が軌間1,067mmで開通したために、上市方面からの路線が支線となっていてしかもナローゲージだったので廃止になったわけです。
1936年(昭和11年)8月18日には五百石-岩峅寺が軌間1067mmに改軌され、1500V電化が達成されています。
それに伴い立山駅を廃止して富山県営鉄道岩峅寺駅に乗り入れを開始しています。これにより、寺田-岩峅寺間が1,067mm、1,500V電化と現在の姿になったわけです。
一方、岩峅寺以南に関しては、1921年(大正10年)10月11日に岩峅寺-横江(後の上横江駅・現在廃止)間が開業しています。
さらに1923年(大正12年)4月20日には横江-千垣間が開業し、1927年(昭和2年)6月10日には岩峅寺-千垣間が600V電化されています。1937年(昭和12年)6月20日には全線の架線電圧を1500Vに昇圧しています。これにより寺田-千垣間が1500V電化されたことになります。1937年(昭和12年)10月1日には千垣-粟巣野間が開業していますが、1942年(昭和17年)6月1日には千垣-粟巣野間を日本発送電に譲渡しています。
1943年(昭和18年)1月1日には、県内の私鉄が大合同し、富山地方鉄道が発足しています。この際に南富山-粟巣野間が立山線、寺田- 岩峅寺間が五百石線となっています。
1954年(昭和29年)4月1日には、小見(現在の有峰口駅)-粟巣野間が立山開発鉄道に譲渡されています。
1955年(昭和30年)7月1日には、粟巣野-千寿ヶ原(現在の立山駅)間が開業しています。
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常願寺川の上を渡る電車 |
これにより現在の立山線に相当する路線が全通したことになります。
1962年(昭和37年)4月1日には、小見-粟巣野-千寿ヶ原間が富山地方鉄道に譲渡されています。
1969年(昭和44年)4月1日には、五百石線と立山線岩峅寺-千寿ヶ原間を統合し寺田駅-千寿ヶ原間を立山線に、立山線南富山-岩峅寺間を上滝線に改称し、電鉄富山-立山間の列車を上滝経由から寺田経由に変更しています。これにより上滝線の完全ローカル線化が決定したわけですね。(泣)
1970年(昭和45年)7月1日には、立山町駅を五百石駅に、小見駅を有峰口駅に、千寿ヶ原駅を立山駅に改称しています。
1976年(昭和51年)7月8日には念願のCTC化が実現しています。やっぱりタブレットじゃあね。風情はあるけど・・・。
1981年(昭和56年)5月22日には、有峰口-立山間にある粟巣野駅が廃止されています。1997年(平成9年)4月1日には、横江-千垣間にある上横江駅が廃止となっています。粟巣野駅も上横江駅も駅の位置が悪かったのが敗因でした。同時にワンマン運転が開始されています。
2016年(平成28年)9月23日には、始発駅である寺田駅の駅舎が改修されています。
この立山線は、立山黒部アルペンルートにアクセスするには絶好の路線なのですが、観光バスでいきなり室堂に入ってしまう観光客が多いようで、これだと環境破壊にもつながるので憂慮すべき問題です。
やはり、電鉄富山駅からアルペンルートにアクセスする観光客を増やす工夫が必要でしょう。
それには北陸新幹線の開業がひとつのチャンスとなるでしょう。東京方面から新幹線で富山駅に着いた客がそのまま電鉄富山駅で乗り換えてアルペンルートにアクセスする。同時に大阪方面からの観光客は特急「サンダーバード」を立山駅まで乗り入れることで誘致することで集客が図れるのではないでしょうか。 |
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17482電車が上滝線ホームに停車しています |
14766電車が岩峅寺駅を発車しました |
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ダブルデッガーエクスプレス |
14773電車 |
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富山地方鉄道立山線 |
路線距離 |
寺田駅-立山駅間 24.2km |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
14駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
なし(全線単線) |
電化区間 |
全線(直流1,500V) |
閉塞方式 |
自動閉塞式 |
最高速度 |
70km/h |
開業年月日 |
1913年(大正2年)6月25日 |
使用車両 |
16010形(元西武5000系)
10030形(元京阪3000系)
14760形
14720形 |
種別 |
特急列車(アルペン特急)
急行列車
普通列車 |
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岩峅寺駅1番線に入線した14760系電車 |
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No. |
駅名 |
本線
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
ホーム |
駅員
配置 |
列車
交換 |
所在地 |
T08 |
寺田駅 |
9.8 |
0.0 |
富山地方鉄道本線 |
4面4線 |
◎ |
◇ |
立山町 |
T44 |
稚子塚駅 |
11.2 |
1.4 |
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1面1線 |
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T45 |
田添駅 |
11.9 |
2.1 |
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1面1線 |
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T46 |
五百石駅 |
13.5 |
3.7 |
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2面2線 |
○ |
◇ |
T47 |
榎町駅 |
14.4 |
4.6 |
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1面1線 |
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T48 |
下段駅 |
15.5 |
5.7 |
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1面1線 |
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T49 |
釜ヶ淵駅 |
17.2 |
7.4 |
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1面1線 |
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T50 |
沢中山駅 |
18.4 |
8.6 |
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1面1線 |
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T51 |
岩峅寺駅 |
20.0 |
10.2 |
富山地方鉄道上滝線 |
2面4線 |
◎ |
◇ |
T52 |
横江駅 |
23.3 |
13.5 |
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1面1線 |
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T53 |
千垣駅 |
27.1 |
17.3 |
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1面1線 |
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T54 |
有峰口駅 |
27.7 |
17.9 |
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1面2線 |
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◇ |
富山市 |
T55 |
本宮駅 |
29.2 |
19.4 |
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1面1線 |
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T56 |
立山駅 |
34.0 |
24.2 |
立山黒部貫光立山ケーブル |
2面2線 |
◎ |
∧ |
立山町 |
注 ◎有人駅 ○業務委託駅
注 ∧ ◇:列車交換可能 |:列車交換不可
富山地方鉄道立山線の時刻表はこちら
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寺田駅立山線ホーム |
さて、今度は富山地方鉄道立山線に実際に乗車してみましょう。立山線は、寺田-岩峅寺-立山間24.2kmの区間です。
岩峅寺では、上滝線と接続します。寺田-立山間の運賃は、990円となっています。電鉄富山-立山間の運賃は、1170円となります。
さて、今回の体験乗車は、寺田-立山間を実際に乗車してみます。
寺田駅は、富山地方鉄道本線の駅で、地鉄線の一大ジャンクションなのですが、駅舎がかなり古くてどうかと思うので、新しい駅舎に改築してほしいなと思います。と、思っていたら寺田駅が改修されて、新しくなりましたので、これは朗報です。
さて、寺田10:56発立山行き急行列車に乗りました。
寺田駅3番ホームを出発した列車は、次の稚子塚駅を通過します。片面ホームの小駅です。稚児塚(ちごづか)とは駅の約700m北方の線路沿いにある円形の古墳の名前です。
さらに次の田添駅も通過しました。ここも同様の小駅です。
そして次の五百石駅に停車します。この駅は、実に立派な駅舎を持っていて、列車交換が可能な相対式ホームを持っています。
ここで電鉄富山行き普通列車とすれ違います。
この五百石駅は、立山町の中心駅で周囲はにぎやかな市街地となっています。
実はこの五百石は、富山電気鉄道の経営者であり、のちに富山地方鉄道会長となった佐伯宗義の出身地なのです。駅舎が立派なのはそのせいかもしれません。
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五百石駅 |
五百石駅を11:02に出発した急行列車は、すぐに次の榎町駅に停車します。
榎町駅は、片面ホームの駅ですが、駅舎はそれなりのものですし、このように急行列車も一部停車します。
この駅を出た列車は、次の下段駅を通過します。下段駅は、かなり古い駅舎でそろそろ改築したほうが・・・と思うような状態ですが列車はあっという間に通り過ぎました。
次の釜ヶ淵駅には11:08に到着しました。この駅の駅舎はかなり立派です。下段駅と比べると・・・。
どうしてこんな違いがあるのだろうかと思ってしまいます。
釜ヶ淵駅を出た列車は、さらに南へ向かいます。
次の沢中山駅は、通過です。ここも片面ホームの小駅です。考えてみると寺田駅から次の岩峅寺駅の間で列車交換ができる駅は五百石駅だけということになります。
列車は、岩峅寺駅に11:08に到着しました。
岩峅寺駅は、上滝線との分岐駅となっていて駅舎も大きく立派ですし、ホームも2面4線とたくさんあります。
上滝線から立山線へ乗り入れる定期列車はありませんが、線路の構造からは立山駅方面への直通運転も可能です。
ただし、その場合は上滝線ホームを使わないと乗降できません。
岩岩峅寺駅を出発した急行列車は、さらに立山駅へ向かって走り続けます。このあたりから常願寺川がそばに現れます。
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岩峅寺立山線ホーム |
次の横江駅は、通過です。この横江駅は、ホームの構造としては島式ホームなのですが、片側の線路がなくなっています。このあたりからは左のほうに尖山が見えます。
さらに列車は走り続け、しばらくすると千垣駅に到着します。
このあたりは道路と並行して線路が走っています。駅舎は古いのですがトイレだけはなぜか新しかったりします。
千垣駅を11:22に出発した急行列車は、常願寺川を渡る大きなアーチ橋「千垣鉄道橋」を通り有峰口駅に到着します。
このあたりは旧大山町の領域なので現在では富山市小見ということになります。
有峰口駅は、島式ホームで列車交換が可能です。駅舎はかなり古い感じです。
この有峰口駅を11:28に発車した列車は、さらに山の中へと入っていきます。
踏み切りを渡りしばらく走ると、本宮駅に到着します。この駅は、どうも以前は相対式ホームだったようですが、今は片面ホームになっています。ここから立山山麓スキー場に行くには急な坂道がネックです。
11:27に本宮駅を出た列車は、すぐに踏み切りを渡りトンネルに入ります。いくつかのトンネルをくぐり、常願寺川のそばを走り、立山駅に近づきます。常願寺川を渡ると、列車は立山駅ホームに滑り込みました。到着は、11:36の定刻どおりです。
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立山駅 |
この立山駅は、立山線の終点であり、さらに立山黒部アルペンルートの玄関口でもあります。
ここから美女平へのケーブルカーに乗換えとなります。
立山黒部アルペンルートは、日本でも第一級の観光地であり、雄大な大自然の中を他では見られないような乗り物で移動できるという、日本では他に類を見ない国立公園ですので、ここもぜひ訪れたいところです。
立山線の旅は、これで終わりですがいくつか気づいたこともあります。
まず、富山地方鉄道本線は黒部峡谷鉄道と宇奈月温泉への観光客が期待できるのに対し、この立山線は立山山麓スキー場と立山黒部アルペンルートへの観光客が期待できる観光路線です。しかし本線に比べるとこちらの立山線は人口が少ない地域を通るためどうしても観光客頼みとなってしまいます。
しかしそれにしては立山駅から立山ケーブルカーへの入れ込みがイマイチと思います。
まあ、このケーブルカー自体が立山黒部アルペンルートの輸送上のネックになっているという見方もできますが、要するにいきなり観光バスで室堂方面に入る観光客が多いためにこちらの路線が手薄になっていると思われます。
となれば観光バスによるアクセスを排気ガスを口実に制限するか、もっと立山駅からのアクセスを利用するような宣伝をするべきでしょう。観光地としては長野側に抜けられる立山黒部アルペンルートと行き止まりの黒部峡谷鉄道とでは、前者のほうが何かと有利なはずですので、うまくやれば観光客を立山線に引き込めると思いますが。
そのためにJR富山駅から立山駅までJR特急「サンダーバード」が乗り入れる案は大いに結構ですね。これなら大阪から立山駅まで直通で入り込めますので、観光客も来るでしょう。もちろん北陸新幹線が開業した場合にも地鉄特急を接続したいところですが。 |
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