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能登線の起点だった羽咋駅 |
北陸鉄道能登線は、羽咋駅から三明駅間25.5kmを結んでいた鉄道路線です。
1972年(昭和47年)6月25日に全線廃止となっています。
元々は、羽咋市から能登半島の西側を通って輪島まで延長するという大胆な計画があったのですが、残念ながら三明駅までしか開通せず、計画は頓挫しています。そりゃそうでしょう。輪島へは七尾線が開通していますし・・・。
と言うわけで、当路線はもともと沿線の人口が少ない地域を通っていましたが、当初は海水浴場があったりして海水浴客を乗せる臨時列車「はまかぜ号」が金沢から直通で入っていたりしてにぎわっていましたが、1960年代には沿線の過疎化やモータリゼーションの進行により累積赤字が膨らみ、とうとう全線廃止の憂き目をみました。
能登線は北陸鉄道の鉄道線で唯一の非電化路線ですが、単独の路線としてはもっとも路線距離が長い路線でもあります。
廃線後、廃線跡のほとんどの区間は自転車道(石川県道293号羽咋巌門自転車道線)として整備されていますので、自転車で跡を追うのは比較的容易ですが、全長25.5kmとけっこう距離があるので実際には自動車で廃線跡を探索する方が現実的でしょう。路線距離が長い割には駅間距離が長いため駅数は少ないのです。
当初、能登線を建設したのは能登鉄道でした。
北陸鉄道能登線は葛城忠寸計ほか168人が1920年6月に富山県氷見から羽咋、富来、剱地、櫛比をへて輪島にいたる鉄道建設を鉄道大臣に出願したことから始まっています。11月に免許状が下付されると総株数9万株(450万円)のうち発起人が2万3千株を引受けることとして、残りを沿線の各郷に事務所を設置して募集した。
あいにく第一次大戦後の絹織物業不振が続き地元経済界も厳しい状況にあったが、募集は順調に進み1921年11月には満株に達し12月に能登鉄道株式会社を設立し社長は25000株保有した富山県上新川郡東岩瀬町の畠山小兵衛が就任しています。
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七尾線とオーバークロスする跨線橋跡 |
なお株主構成は大正11年度では株主7742人平均持株11.6株。特に1株のみの株主が多数いたのです。また現羽咋市域の株主が17%をしめていました。
1925年(大正14年)3月3日には、羽咋駅 - 能登高浜駅間を開業し、1927年(昭和2年)6月30日には能登高浜駅 - 三明駅間が開業となり、全線開通しています。
しかし三明から先、能登金剛など景勝地が多い富来町からは路線の延長が拒否され、これ以上の路線建設は不可能となり輪島への道は閉ざされてしまったのです。
さらに羽咋から富山県氷見までの路線を建設する計画もあったのですが、これも資金難から目処が立たなくなってしまいました。この時点で能登線の運命は決まっていたとも言えます。というのは、終点の三明駅は小規模な集落しかなく、本来ならばとても鉄道路線の終点となるような立地ではないのです。と言うことは輪島まで開通させる当初の計画がつぶれてしまった以上、路線維持は困難だと考えざるを得ないということになります。
1943年(昭和18年)10月13日には、北陸鉄道が能登鉄道を吸収合併し、北陸鉄道能登線となっています。
しかし当初から経営状態は思わしくなく、北陸鉄道の他の路線と同様に廃止対象となってしまい、1972年(昭和47年)6月25日には全線廃止となっています。
能登線は、前述するように廃線跡が自転車道になっていていくつかの橋梁が遺構として現存しているので、廃線跡を訪れる価値は十分にありますが、駅舎の類は残念ながら残っていません。 |
北陸鉄道 能登線 |
路線距離 |
羽咋駅-三明駅 25.5km |
軌間 |
1,067mm |
駅数 |
13駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
全線単線 |
電化区間 |
全線非電化 |
閉塞方式 |
不明 |
開業年月日 |
1925年(大正14年)3月3日 |
廃止年月日 |
1972年(昭和47年)6月25日 |
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駅名 |
駅間
キロ |
営業
キロ |
接続路線 |
ホーム |
列車
交換 |
所在地 |
羽咋駅 |
- |
0.0 |
七尾線 |
2面3線 |
V |
羽咋市川原町 |
能登一ノ宮駅 |
3.3 |
3.3 |
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2面2線 |
◇ |
羽咋市一ノ宮町 |
滝駅 |
0.8 |
4.1 |
|
1面2線 |
◇ |
羽咋市滝町 |
柴垣駅 |
4.2 |
8.3 |
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1面2線 |
◇ |
羽咋市柴垣町 |
甘田駅 |
2.3 |
10.6 |
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1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町甘田 |
大島駅 |
2.0 |
12.6 |
|
1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町大島 |
能登高浜駅 |
2.0 |
14.6 |
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1面2線 |
◇ |
羽咋郡志賀町高浜 |
志賀町駅 |
0.8 |
15.4 |
|
1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町末吉に |
堀松駅 |
1.4 |
16.8 |
|
1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町堀松 |
大笹駅 |
2.4 |
19.2 |
|
1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町大笹 |
米町駅 |
2.1 |
21.3 |
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1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町米町 |
直海駅 |
1.4 |
22.7 |
|
1面1線 |
| |
羽咋郡志賀町直海 |
三明駅 |
2.8 |
25.5 |
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1面2線 |
∧ |
羽咋郡富来町(現志賀町)三明 |
列車交換 注 ∨∧◇:列車交換可能 |:列車交換不可
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