労働組合Q&A
Q3
組合に加入したら、会社から解雇すると通告されました。

 

A3

組合員であることを理由に解雇することは、労働組合法第7条第1号で禁止されています。
    
退職には、自己都合退職、会社都合退職(整理解雇)、懲戒解雇があります。
従業員を整理解雇する場合、労働基準法では1ヶ月以上前から予告するか、1ヶ月分の予告手当を支払うことが定められています。ただし、何らかの理由で懲戒解雇する場合は、労働基準監督署の認定を受ければ予告手当を支払わなくていいことになっています。
しかし実際には解雇する場合、特に当人に瑕疵がない場合には理由もなく解雇することは解雇権の乱用と見なされます。
これまでの裁判所の判例では、
整理解雇4要件と呼ばれる整理解雇が正当化される条件が確定しています。
整理解雇とは、従業員の従業員の事情によるものでなく、使用者の事情によるものであるから、これまでの判決ではかなり厳しい次のような要件を要求しています。
(1)人員整理の必要性
 企業が経営危機に陥り、企業の存続のためには人員整理が避けられない事情があること。
(2)人員整理の回避努力
 配置転換、希望退職者の募集等余剰人員の吸収に努力、役員報酬の削減その他諸々の経費削減努力をしたが、なお人員整理が必要であること。
(3)人選の合理性
 人選基準が合理性を有し、その適用も合理的、公平なものであること。
(4)手続の妥当性
 人員整理の必要性、人選基準等につき労働者側の納得が得られるように努力していること。
これらの条件を満たせば、整理解雇できると言うわけですが、実際にはばらつきがあるので、全ての条件を満たすかどうかには言及せずに解雇を認めたケースもあります。
いずれにしても、この場合は民事訴訟で争うことになります。
  
しかし、会社側が本当は経営上の理由がないのにもかかわらず、解雇を言い立てることがままあります。
例えば労働組合に入った事実を知った会社側が、さしたる理由もないのに懲戒解雇すると言い出し、それがいやなら自己都合退職しろと迫るケースです。
いずれにしても退職する気がないのなら、自己都合退職を認めないことです。
会社側に懲戒解雇の理由をはっきり書面で提示するように言って、それを元に何らかの法的措置をとることを検討しましょう。
あなたが組合員であれば、会社側が組合員であることを理由にして、不利益な取り扱いをすることは、労働組合法第7条第1号で禁止されています。
だから、例えば「組合に入ったから、やめてもらう。」と会社側が言えば、はっきり不当労働行為となります。
しかし会社側がはっきり不当とわかる理由を明言するとは限りません。
たいていは、もっともらしい理由をつけて、あなたを解雇しようとするでしょう。
私の場合は、「成績不良のため」と言う理由で退職金すら支払わずに解雇しようとしましたが。
さらに、あなたが特に瑕疵もないのに会社側が懲戒解雇という形で予告手当すら支払わないケースすら考えられます。
この場合、あなたに懲戒解雇されるような理由がないことを確認した上で、相手方の不当性を証明する証拠をできるだけ集めてください。
例えば、あなたに「組合をやめろ」と言ったとか、「組合をやめれば解雇もやめる」とか言うことであれば、重大な証拠となります。
いずれにしてもこれらの発言を録音してあれば一番いいのですが、とにかく発言内容と日時、場所、同席者などできる限りの情報を記録しておいてください。
あるいは、あなたが活発な組合活動をしていたとか、組合幹部だったということも有利に展開する証拠となります。

その上で考えられる法的措置としては、
 (1)地方裁判所に対し、地位保全に関する仮処分を申請する。
 (2)都道府県労働委員会に対して、不当労働行為救済申立てを行う

があります。
(1)は、あなたが裁判所に対して、あなたが依然従業員の地位を失っていないことを仮に認めることを求める仮処分を申請するものです。もちろんいきなり本訴に持ち込む事も可能ですが、時間がかかり、しかもその間賃金が支払われないので、金銭的な余裕がないのであれば、仮処分を申請した方がいいでしょう。同時に賃金の仮払いも求めてください。
仮処分であれば、3ヶ月程度で処分が下されます。これであなたの主張が認められれば、賃金の仮払いがなされることになります。ただし、会社側がそれを不服として本訴に持ち込むこともあり、最終的には最高裁までもつれ込むことも考えられます。
(2)は、組合が都道府県労働委員会に対して、会社側が不当労働行為を行ったことを訴え、それに対する救済を求めるものです。
ただし、この方法は組合が労働組合法の適用を受けることができるかどうかの資格審査を受ける必要があります。
都道府県労働委員会が発する命令は、法的拘束力があるのですが、労使ともそれに不服な場合は中央労働委員会に再審査を申し立てるか
、地方裁判所へ訴えることができます。
この場合、労働組合法第7条第1号に該当するかどうかが最大の争点になるので、あなたにとっては(1)よりも有利な展開が考えられます。しかし、あなたに正当な組合活動を逸脱した行為があった場合は、労働組合法の免責が受けられずに解雇を認められることもあります。あなたに特に瑕疵がなければ、解雇が認められない公算が強いので自信を持って戦えます。
ただし、この方法は都道府県労働委員会で救済が認められても、まだ中央労働委員会の再審査があり、さらには地裁、高裁、最高裁と5回もの関門があるので、(これを5審制と呼ぶ)ヘタをすると10年以上の長期に渡る可能性もあります。この点については、最近でも問題にされており、労組法を改正する動きがあります。