労働争議の調整について
 
あっせん・調停・仲裁申請について
労働委員会が扱う労働争議の調整には、あっせん・調停・仲裁があります。
調整は原則として当事者の申請により開始されます。なかでもあっせんは、三つの調整手法のうち最も利用しやすいものであり、労働者側、使用者側、どちらからでも申請することができます。
労働委員会の調整は、両当事者に対して労働委員会が解決を強制するものではありません。あくまで公正な第三者として助言を与え、労使間の自主的な相互の歩み寄りを図るものです。ですから、当事者は、申請後であっても当事者の合意又は労働協約の定めにより、別の調整方法を利用して労働争議を解決することができます。また、調整を進めるなかで、両当事者に対して解決案を提示することもありますが、これは受諾を強制するものではありません。ただし、仲裁に関してはいったん仲裁裁定がなされたら、労働協約と同一の効力をもって当事者を拘束します。あっせん、調停、仲裁の特徴については、下図をご参照ください。
あっせん・調停・仲裁の特徴一覧
調整方法 あっせん 調 停 仲 裁
開始事由
(当事者申請)
一方申請
双方申請
双方申請
協約に基づく一方申請
公益事業に係る一方申請
双方申請
協約に基づく一方申請
労働委員会側
調整主体
あっせん員 調停委員会
(公労使委員三者構成)
仲裁委員会
(公益委員3名で構成)
解決案の提示 提示することもある 原則提示 原則提示
解決案の受諾 任意 任意 労働協約と同一の効力
を持って当事者を拘束
申請後の別の
調整方法選択
可能 可能 可能
当事者申請
以外の開始
あり
(職権、緊急調整)
あり
(職権、請求、緊急調整)
なし
申請後のスケジュール(あっせんの場合)

申請後、被申請者に労働委員会での調整を受けるか確認し、関係者の日程調整をしたうえで可能な限り早期に調整を開始します。
以下は、労働側があっせん申請した場合の流れ図です。

申  請
実情調査
──
事務局職員が対応し、以下のようなことをお聞きします
争点について
申請書記載事項のうち、不明な点
あっせん員の希望
第一回あっせんの希望日
使用者側
実情調査
──
事務局職員があっせん制度について簡単なご説明をした後次のようなことをお聞きします
労働委員会でのあっせんを受けるかどうか
(必ずしも即決していただく必要はありませんが、なるべく早期にご回答ください)
争点について
あっせん員の希望
第一回あっせんの希望日
あっせん員
指 名
あっせん
作 業
──
(1) 労・使同室にて、それぞれの主張を述べる
(2) 使側退席、控室へ
(3) 労側、事情聴取  聴取後、労側退席、控室へ
(4) 使側入室、事情聴取  聴取後、使側退室、控室へ
(5) あっせん員打ち合わせ
(6) あっせん員の判断により、(3)〜(5)繰り返し
(7) あっせん案に労使双方が承諾したら、解決となります。
最終的にあっせんを承諾しない場合は打ち切りとなります。
解 決
打ち切り
労働争議の調整Q&A
 
Q1: 労働委員会の調整では、具体的にどのような問題が扱われていますか。
A1: 労働組合などと、使用者(多くの場合は会社ですが、個人の場合もあります。)の間で決められる労働条件を取扱っています。
具体的には、賃金の引上げ、各種手当の額、夏・年末・年度末一時金、解雇、人員整理、配置転換、福利厚生、団体交渉の開催、団体交渉のルールなど様々です。
ただし、法律の改廃など労使間では決められない事項について、労使の意見が一致しなくても、労働委員会では調整していません。
 
Q2: 私の会社には労働組合がないのですが、労働組合でなければ申請できませんか。
A2: 労働者個人が申請者となることはできませんが、労働組合でなくても、争議団などがあれば調整の申請はできます。労働組合を結成されてから申請されても結構です。
労働者個人で申請する場合は、個別労働関係紛争の調整という制度が平成13年10月から開始されました。
しかし、この場合、使用者があっせん申請に同意する必要があります。
 
Q3: 労働組合との交渉がまとまりません。使用者も申請できますか。
A3: もちろん、できます。ただし、労働者個人を相手方にすることはできません。
  
Q4: 申請先はどこですか。
A4: 一つの都道府県の中だけの問題であれば、地方労働委員会に申請してください。
二つ以上の都道府県に関係する場合は、中央労働委員会に申請してください。
なお、二つ以上の都道府県に関係する問題について、地方労働委員会で調整することを希望される場合は、下記窓口または最寄りの地方労働委員会にお問い合わせください。
 
Q5: 申請はどのように行うのですか。
A5: 申請書を文書で提出していただきます。
あっせん申請書の記載例はこちらです。
 
Q6: 申請の取下げはできますか。
A6: 申請された方は、原則として、いつでも申請を取下げることができます。ただし、例外として相手方の同意が必要となる場合がありますので、詳しくは窓口にお問い合わせください。
 
Q7: 調整作業は1回で終わりますか。
A7: 日をあらためて2回、3回と続くこともあります。第一回の調整で労使の主張が折り合わない場合、労使の希望を聞いた上で、調整員が作業を続けるかどうか判断します。
 
Q8: 解決までにどのくらいの日数がかかりますか。
A8: あっせんの場合平均して60日前後です。ただし、事件により差があり、2、3日で解決するものもあれば、半年以上あっせんを続けるものもあります。いずれにしても労使いずれかが最終的にあっせん案に合意できない場合は、打ち切りとなります。