A 主記憶装置(主メモリ)
主記憶装置は、実行時にプログラムおよびデータを補助記憶装置および入力装置等から読み取り格納した上で、CPUに必要に応じて命令コードおよびデータを転送するための作業領域である。作業領域であるからそれが広い方が仕事がやりやすいのは当然であり、実際のコンピュータもこの主記憶装置の記憶容量が十分大きくすることが処理能力の向上に寄与することとなる。
記憶容量の単位は、バイトで表現され、1バイト=1文字に相当する。
さらに補助単位として、KB(キロバイト)、MB(メガバイト)、GB(ギガバイト)などが使用される。

単 位 表記法 換 算
  バイト  B 1バイト=1文字に相当
キロバイト  KB 1KB=約1000B
メガバイト  MB 1MB=約1000KB
ギガバイト  GB 1GB=約1000MB
主メモリに使用される記憶素子は、現在ではVLSIチップであり、コンデンサを内蔵し、電気的に情報を記憶する。電気的に情報を記憶することは、機械的に動く部分がないことから非常に高速で情報を読み書きできることになる。
最近のパソコンでは、これが標準で256MB〜512MB程度であり、さらに2GB〜4GB程度まで増設が可能である。
メモリの増設は、パソコン内部のマザーボード(メイン基盤)上にある、メモリスロットに装着することになる。
このソケットは、現在DIMM,DDR DIMMなどの規格があり、それぞれ互換性はない。
現在販売されているパソコンのメモリスロットは、DDR2 DIMMであるが、最近ではDDR3 DIMMと呼ばれる、さらに高速なメモリが登場している。
メモリのアクセス動作は、マザーボード上のクロックジェネレータのパルスに基づいて行われる。
クロックジェネレータのパルスの周波数を外部周波数(FSB)と呼ばれ、当然のことながらこの数値が大きい方が処理能力が高い。
現在のパソコンは、FSBが400MHz〜1066MHzであり、主メモリも外部周波数に適応したものが必要となる。
主メモリ用モジュールを分類すると、次の表になる。
メモリの種類 SDRAM DDR SDRAM DDR2 SDRAM DDR3 SDRAM DRDRAM
スロット規格 DIMM DDR DIMM DDR2 DIMM DDR3 DIMM RIMM
バスクロック(MHz) 100〜133 200〜400 200〜600 400〜1066 600〜800
増設単位  1枚  1枚  1枚  1枚 2枚 
※マザーボード、チップセット、BIOS
マザーボードとは、CPU及び主メモリを装着する基板であり、コンピュータの土台にあたる。
そのマザーボードに装着するCPU及び主メモリは、いずれもマザーボードに依存する。またチップセットとは、マザーボード上にあらかじめ装着され、交換することはできない。
チップセットは、コンピュータの性能を決定する大きな要素である。
またBIOSは、コンピュータの動作を決めるプログラムのことであり、マザーボード上にROMとして装着されている。
チップセットのタイプにより、装着できるCPUの種類、主メモリの容量、ハードディスクの容量および転送モード、グラフィック周りの性能、外部クロック、バス転送能力が決定されてしまうので、ある意味ではCPU以上にコンピュータの能力を左右する部分である。
またBIOSの内容によっても上記のような性能面での違いが出るので、自作パソコンを使う人は、マザーボードメーカから最新のBIOSを入手して書き換えるべきである。
下の図は、一般的なチップセットを含むコンピュータの仕組みである。

      
図中でノースブリッジとあるのが通常、チップセットと呼ばれるものである。
サウスブリッジは、末端の回路を制御するチップである。
2つを合わせてチップセットと呼ぶ場合もある。64bit×400MHzは、データバスの幅が64ビット(=8バイト)で動作周波数(FSB)が400MHzであることを示す。この場合、転送レートは、3.2GB/Sとなる。CPUの方はビット数が32ビットで動作周波数がたとえば3GHzだとすると、12GB/sの処理能力があることになり、それに比べるとバスの転送能力はまだ低いわけです。
これはある意味ではやむを得ないことなのですが、バスの転送能力が低いということはCPUでの演算結果を全て一度にメモリへ転送することはできないことを意味するのです。まあ自動車でいえばエンジンの性能がスポーツカー並みだとしても街中では道路が狭く制限速度が低くてあまり速くは走れないような状況だと考えてもらえばいいでしょう。
メモリ-ノースブリッジ-CPU間が全て同一の歩調で動作すれば理想的ではあるが現状はまだそこまではいかないのです。
最近のチップセットとメモリは、FSBを高めようとする傾向が強いので今後もFSBは向上してくるものと思われる。

最新のチップセットではノースブリッジ−サウスブリッジ間のバスとしてPCIバスではなくPCI-EXPRESSを搭載しているマザーボードも登場している。この場合、PCIバスが133MB/sしか転送能力がないのに比べて、500MB/sの転送能力を持っている。この場合、ビデオカードもPCI-EXPRESS対応のものになる。
 
 最近の主なチップセットを次に挙げる。
チップセット intel925X intel865PE intel815e K8T800 KT600
CPU Pentium4 Pentium4  PentiumV Athlon64  AthlonXP
ソケット LGA775 Socket478  FC-PGA2 Socket754/940  SocketA
FSB 800/533MHz 800/533/400MHz 133/100MHz  800MHz 400/333/266MHz
メモリ DDR2 Dual DDR2 Dual  SDRAM  DDR DDR
ビデオ PCI-expressx16 AGP 8×  AGP 4×  AGP 8× AGP 8×
HDD UltraATA SATA UltraATA SATA  UltraATA UltraATA SATA UltraATA SATA
拡張バス   PCI-e PCI   PCI  PCI PCI PCI