3) パソコンの構成部品の詳細
実際のパソコンの内部構成は次のようなものである。
このようにパソコン内部はいくつかの部品で構成されている。
実は、これらの部品はATX規格と呼ばれる統一規格によって仕様が統一されている。
だからケースとマザーボードのねじの位置、接続ケーブル、電源ユニット、電源ケーブル、ドライブ類のサイズとねじの位置などは共通なのである。
違うのはマザーボードとそれに取り付けるCPUの組み合わせくらいで、後はいくつかのバリエーションがあるものの互換性が高いのである。
ここではパーツごとにどのようなものがあるのか、それらの特性や種類について説明します。

@ CPU
CPUは、制御装置、演算装置を含むコンピュータの頭脳に当たる部分である。CPUの性能がそのコンピュータの基本性能となる。
だが実際の処理能力は、その他の部分にも依存するのでCPUが同一でもコンピュータ全体の処理能力が同一とは限らない。
CPUの処理能力を示す指標は、次のようなものがある。
(1) ビット数
1回の演算で処理できるデータ量をビットで表したものである。
8ビットCPU、16ビットCPU、32ビットCPU、64ビットCPUなどがある。
従来のパソコンでは、8ビット、16ビットのCPUのものがあったが、現在では32ビットCPUが主流となっている。
ただしAMDからパソコン用64ビットCPUが販売され始めている。
もちろんビット数が大きいほうが高性能なCPUであるということがいえる。
(2) クロック周波数
1秒間に何回の演算が行えるかの指標である。単位は、GHz(メガヘルツ)またはMHz(メガヘルツ)である。
最近のパソコンに搭載されているCPUでは、2GHz〜3GHz程度である。
この数値が大きい方が演算回数が多いので処理能力が大きいと考えられる。
ただしCPUのアーキテクチャが異なるCPUのクロック周波数が同一の場合、処理能力が同一とは限らない。
CPUのクロック周波数は、マザーボード(メイン基盤)上にあるクロックジェネレータから発せられるパルス(外部周波数)を元にそれを数倍して決定される。
同一のクロック周波数であれば、外部周波数(FSB)が大きい方が処理能力が高いと考えられる。
ただしCPUの内部構造やキャッシュメモリの容量にも大きく左右される。
(3) CPUの種類
現在、販売されているパソコンに搭載されている主なCPUの一覧を次に挙げる。
  型番 ビット コア ラインナップ パッケージ
AMD Opteron 64bit Sledge Hammer 140〜850 Socket940
AMD Athlon64 64bit ClawHammer 3700+,3400+,3200+,3000+ Socket754
AMD Athlon64 64bit ClawHammer 3800+,3500+ Socket939
AMD Athlon64FX 64bit Sledge Hammer FX-51,FX-53 Socket940
AMD AthlonXP 32bit Barton 3400+〜2500+ SocketA
AMD AthlonXP 32bit Thoroughbred 2700+〜1800+ SocketA
AMD AthlonXP 32bit Palomino 2100+〜1500+ SocketA
AMD Sempron 32bit Hammer 3100+ Socket754
AMD Sempron 32bit Hammer 2800+〜2200+ SocketA
Intel HT Pentium4 32bit Prescott ExtremeEdition LGA775
Intel HT Pentium4 32bit Northwood ExtremeEdition Socket478
Intel HT Pentium4 32bit Prescott 520-560 (2.8〜3.6GHz ) LGA775
Intel Pentium4 32bit Northwood 〜2.8GHz Socket478
Intel Celeron D 32bit Prescott 320-335 (2.4〜2.8GHz ) Socket478
Intel Celeron 32bit Northwood 2.0GHz〜2.8GHz Socket478
現在、パソコン用CPUは、上記のIntelとAMDの2社による事実上の寡占状態であり、他社は1,2の例外を除きCPUから撤退している。

 
CPUの考察
CPUの性能比較は、たとえばクロック周波数が同じだとしても、上記のCPUの種類の違いにより、実際の性能が異なる場合が多い。またCPUによっては得手不得手があり、性能比較もかなり複雑な要因がある。
またAMDのCPUは実クロックをあまり表に出さずにモデルナンバーにより実性能を示している。
例えば、AthlonXP3000+というモデルの場合、Pentium4 3.0GHzに相当する性能であるということを示す。
しかしその実クロックは2.167GHzしかない。
それがどうしてPentium4 3.0GHzと同等の性能があるのかというと、要するにCPUの内部構造に違いがあるからで、一口で言ってAthlonXPはPentium4に比べてより効率的な処理ができるようになっているのだが、クロック周波数を上げにくい構造になっていると考えればいいでしょう。
逆に言えばPentium4は、処理効率が悪いのを高クロックで振り回して力技で処理しようという構造になっているのです。
ですから複雑な分岐命令を持つようなビジネスアプリやゲームソフトなどはPentium4は苦手ですし、エンコードなどの比較的単純なアプリにはその真価を発揮することになる。
比較的くせのないAMDのCPUではあるが、アプリケーションの性格によってはPentium4に劣る場面もある。
これは実クロックが低いのが主な原因である。
それと64ビットCPUも登場しているが、これらが真価を発揮するには64ビット命令コードを含んでいるOSやアプリケーションの登場を待たないといけない。
しかし現時点ではTurboLinuxが64ビットバージョンを出しているのと、WindowsXPの64ビットエディションのベータ版があるくらいで、まだまだ出揃ってはいません。
よってそれらの登場を待ってから64ビットCPUを搭載したマシンを投入しても遅くはないということになる。
マザーボードとCPU
マザーボードには、CPUを装着するソケットがあり、いくつかのタイプがあります。
基本的には、そのソケットに対応するCPUしか搭載できないと考えてよいのですが、中にはソケットを変換するアダプタがあり、別のCPUを搭載できる場合もあります。
もっとも全く異なる構造のCPUを搭載できるわけではありません。
基本的には、メーカーが異なればハードウェア的な互換性はないと考えてください。
同じメーカでもアーキテクチャー(内部構造)が異なれば互換性がありません。
AMDは、ソケットが異なれば互換性は全くなく、Intelは、ソケットが異なっても一部には互換性があるのでそのマザーでは本来搭載できないCPUを搭載できる場合があります。
 
ソケットの規格と搭載可能なCPUの関係
マザー 搭載可能CPU
 Socket939  Athlon64FX -53, Athlon64 3800+ 3500+
 Socket940  Athlon64FX ,Opteron
 Socket754  Athlon64
 SocketA  AthlonXp Sempron AthlonMP Duron
 LGA775  HT Pentium4
 Socket478  Pentium4 Celeron D Celeron
 Socket423  Pentium4 Celeron(Willamette)
 FC-PGA2  PentiumV、Celeron(Tualatin)
 FC-PGA  PentiumV、Celeron(CopperMine)
 PPGA  PentiumV(Katmai)、Celeron(Mendocio)
キャッシュメモリ
キャッシュメモリは、主記憶装置とCPUのアクセス速度の格差が大きいことからその速度差を緩和し、CPUの本来のパフォーマンスを発揮するためのメモリであり、最近の傾向としてCPUに内蔵するケースが多いが外部にキャッシュメモリを持つ場合もある。
キャッシュメモリに使用される記憶素子は、SRAMと呼ばれ主メモリに使用されるDRAMに比べてアクセス速度が高速であり高価小容量さらに消費電力も大である。
またキャッシュメモリは、階層構造になっており、1次キャッシュ、2次キャッシュ、さらには3次キャッシュまで持つものもある。
 キャッシュメモリの原理
主メモリからのアクセスは、だいたい隣接した領域をアクセスすることが多いので、次に読み込むべきデータがキャッシュメモリに存在する確率は、かなり高い。
キャッシュメモリは、CPUと同一のスピードでアクセスするため、主メモリよりはるかに高速でアクセスできるので、全体のパフォーマンスが向上する。
最新のCPUでは、このキャッシュメモリの容量がCPUのパフォーマンスに大きく影響するため、キャッシュ容量の増大化が見られるようになった。