Q17 Duron VS Celeron!バリューCPUに該当するDuronとCeleron。
果たしてどちらが高コストパフォーマンスなのか。

A17 価格は、ほぼ同等なので後は性能面が問題になります。
Duronは、AMD社が最近出荷を始めた低価格CPUで、コアはAthlonと同等であるが、2次キャッシュはフルスピード動作するものの容量が64KBと小さいのが低価格の理由です。ただし1次キャッシュが128KBと大きく、データを重複して持つことがないようなアルゴリズムを持っています。プラットフォームは、SocketAです。
Celeronは、intel社が出荷している低価格CPUで、最近ではSSEを搭載し、CopperMineコアのPentiumVと同等のコアを持っているが、やはり2次キャッシュが128KBと小さい。
1次キャッシュは、PentiumVと同様に32KBなので、この点ではDuronに劣ります。
プラットフォームは、FC-PGA370です。
ここでは、各種ベンチマークを走らせて実際の性能を評価してみましょう。
テスト環境は、次の通りです。
CPU Duron700MHz Celeron700MHz
メモリ PC133 128MB SDRAM×2
(100MHz動作) CL=2
PC133 128MB SDRAM×2
(66MHz動作) CL=2
ビデオ GeForce2 DDR
OS Windows98SE + DirectX7.0a
グラフ1は、Winstone99のベンチマーク結果です。
Winstone99は、各種アプリケーションを動作させた時のパフォーマンスを測定するためのベンチマークです。
Business Winstone99は、主にビジネスアプリケーションのシミュレートを行い、Contents Creationは、マルチメディア系アプリケーションをシミュレートすると考えてください。
Winstone99
テスト結果を見ると、いずれにおいてもDuronがCeleronを上回っています。
ここでは700MHzのみ掲載していますが、さらに低いクロックのテスト結果も考えると、実はCeleronの場合クロックが上がっても性能アップが頭打ちになっているのに対し、Duronは、クロックアップに応じて性能がアップしています。つまりクロックが上がるにつれてCeleronが不利になっているということです。
その原因は、Celeronのベースクロックが66MHzであり、CPU−メモリ間のバス転送能力が低く、ボトルネックになっているからです。
だからCPUの演算能力に比べて、バスの能力が追いついていないと考えられます。
グラフ2は、WinBench99の中のCPUMark99のベンチマーク結果です。
このCPUMark99は、CPUの整数演算能力とメモリアクセス性能を合わせたパフォーマンスを計測すると考えてください。
通常のビジネスアプリケーションを動作させる場合は、この能力が大きく影響します。
CPUMark99
これを見るとDuronが圧倒的にCeleronを上回っていることがわかります。
もちろん実際のビジネスアプリケーションを動作させたときに体感的にこれだけの差がでるわけではありませんが、50%以上の性能差はやはりシステムバスの能力差と、キャッシュメモリの差が出たと考えるべきです。
Duronの1次キャッシュは128KBであり、2次キャッシュが64KBとはいえ、1次キャッシュとは排他的にデータを保持するので、合わせると192KBにもなり、Celeronの128KBよりも実は50%も多いのです。
バス転送能力も、Duronが50%も大きいので、CPUMark99の結果もこうしてみると頷けます。
グラフ3は、WinBench99の中のFPUWinmarkのベンチマーク結果です。
FPUWinmarkは、浮動小数点演算能力を計測するベンチマークです。
FPUWinmark
これもDuronがCeleronを上回ってはいるが、CPUMark99ほどの大差ではなく、クロックに応じた結果が出ている。
FPUWinmarkは、純粋にCPUの浮動小数点演算能力を測定するため、2次キャッシュにあまり影響されないためです。
グラフ4は、3DMark2000のベンチマーク結果です。
この3DMark2000は、最新3DゲームをシミュレートするためDirectX7.0aに対応しています。
ビデオカードがハードウェアT&Lに対応していれば、それで動作させることもできます。
このシステムでは、GeForce2を搭載しているので、もちろんハードウェアT&Lで動作させました。
ハードウェアT&Lで動作させると、CPUへの負荷が軽減されるので処理が軽くなります。
逆にバス転送能力が低いと、そこがボトルネックとなり、かえって処理が滞ることになります。
3DMark2000
結果を見ると、やはりCeleronの3D能力が低いのがわかります。
ハードウェアT&Lは、本来はCPU能力が低い場合に真価を発揮するともいえるのですが、これだけの大差がついた理由は、Celeron自体の演算能力というよりバス転送能力の低さがボトルネックになっているといわざるを得ません。
Duronは、さすがといわざるを得ない高い能力を示しています。
ベンチマーク結果からは、どの点から見てもDuronがCeleronを上回っていることがわかります。
これで同程度の価格帯なのですから、これはもうDuronの方がお勧めとなりますが、実はそう簡単なものでもなくて、マザーボードなどの価格も計算に入れると、Celeronマシンの方が安く上がるかもしれません。
しかし、価格も低い上に性能を求めるのならやはりDuronの方が良いでしょう。