海上自衛隊の掃海艦・掃海艇
掃海艦「やえやま」型   MSO "YAEYAMA" Class
スペックデータ
基準排水量 1,000t 
主要寸法  67x11.8x5.2x3.1m
(長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 2,400PS
速 力 14kt
主要兵装    20ミリ機関砲x1
深深度掃海装置一式
定 員 60名
同型艦 MSO-301「やえやま」
MSO-302「つしま」

MSO-303「はちじょう」
MSO301「やえやま」
掃海艦「やえやま」型について
太平洋戦争では連合軍の手によって日本沿岸に無数の機雷が敷設された。戦争が終わった後もその機雷除去のために掃海部隊は懸命の活動を続けたのである。旧式な係留機雷や磁気機雷などの掃海に対しては海上自衛隊発足時から整備を進めてきたのだが、近年になって技術の進歩により対潜水艦攻撃を狙った深深度用機雷が開発されるにいたって、これに対抗できる掃海艦艇の整備が急務となった。
 そこで平成元年度予算から深深度掃海能力を持った掃海艦艇の建造が認められ、建造されたのがこの「やえやま」型掃海艦である。
 従来の掃海艇と同様に磁気機雷による磁性探知を避けるため船体は木造であるが、搭載される掃海器具は中深度用の磁気・音響掃海具のほかに深深度機雷用の探知機、処分具、掃海具を搭載して多用な機雷掃海任務に対応できるようになっている。また、精密な位置判定が必要となるため衛星を利用した精密航法・指揮支援装置も搭載している。浮かんだ機雷の処分用として20mm機関砲も1門搭載されている。
 世界中の掃海艦艇の中でもトップクラスの能力を持ち、木造掃海艦艇では最大級の排水量を持つ当タイプは世界屈指の掃海能力を持つ海上自衛隊掃海部隊の要として活躍していくことであろう。
平成28年には、「やえやま」「つしま」が相次いで退役となり、「はちじょう」のみが現存している。
掃海艇「はつしま」型  MSC "HATSUSHIMA" Class
スペックデータ MSC667「もろしま」
基準排水量  440t(あわしま以降、490t)
主要寸法    55x9.4x4.2x2.5m
58x9.4x4.2x2.9m(あわしま以降)
(長さ、幅、深さ、喫水)
船型 平甲板型
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 1,400PS
速 力 14kt
主要兵装 20ミリ機関砲x1
掃海装置一式
定 員 45名
同型艦 MSC-649「はつしま」 MSC-650「にのしま」 MSC-651「みやじま」 MSC-652「えのしま」
MSC-653「うきしま」 MSC-654「おおしま」 MSC-655→MCL-722「にいじま」
MSC-656→MCL-723「やくしま」 MSC-657「なるしま」 MSC-658「ちちじま」 MSC-659「とりしま」 MSC-660→MCL-724「ははじま」 MSC-661「たかしま」 MSC-662「ぬわじま」 MSC-663「えたじま」 MSC-664→MCL-725「かみしま」 MSC-665「ひめしま」 MSC-666→MCL-726「おぎしま」
MSC-667「もろしま」 MSC-668「ゆりしま」 MSC-666「おぎしま」 MSC-668「ゆりしま」 MSC-669「ひこしま」 MSC-670「あわしま」 MSC-671→ MCL-727「さくしま」
 
掃海艇「はつしま」型について
 3次防(第3次防衛力整備計画)で建造された 掃海艇「たかみ」型に続いて4次防で建造された掃海艇。
 「たかみ」型よりも一回り大きくなったことで航洋性が高められている。また新型の機雷処分具S−4を搭載することにより、機雷処分の安全化・迅速化を図っている。S−4配備前は探知した機雷に処分員が潜水して爆薬を装着・爆破していたのだが、S−4では有線誘導により艇上からの遠隔操作が可能となった。
 なお当クラス内でも「あわしま」以降の艇については居住環境改善のため船体が若干大型化している。
 同クラスの「ひこしま」「ゆりしま」は湾岸戦争終結後の1991年(平成3年)にペルシャ湾の機雷掃海のため派遣された経歴を持つ。
 現在「とりしま」以前の艇は、除籍もしくは支援船(保管船YAS)への種別替えがされており、第一線からは退いている。また、「にいじま」「やくしま」については掃海管制艇(それぞれMCL722、MCL723へ艦番変更)に種別変更され、遠隔操縦式掃海具を搭載して、掃海艇の入れない浅海面の掃海を担当するようになっている。
掃海艇「うわじま」型   MSC "UWAJIMA" Class
スペックデータ
基準排水量 490t
主要寸法  58x9.4x4.2x2.9m (長さ、幅、深さ、喫水)
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 1,800PS
速 力 14kt
主要兵装    20ミリ機関砲x1
掃海装置一式  
定 員 45名(まえじま以降40名)
同型艦 MSC-672「うわじま」 MSC-673「いえじま」
MSC-674「つきしま」
 MSC-675「まえじま」 MSC-676「くめじま」 MSC-677「まきしま」 MSC-678「とびしま」 MSC-679「ゆげしま」
MSC-680「ながしま」
MSC673「いえじま」
掃海艇「うわじま」型について
掃海艇「はつしま」型のうち居住環境が向上された「あわしま」以降の艇と同じ船体設計であるが、機関が変更され出力強化がなされた艇である。
掃海装置も新型のS−7機雷処分具を搭載し、掃海能力が高められている。
1991年の掃海部隊ペルシャ湾派遣には当タイプから「あわしま」「さくしま」が参加している。
すでに「うわじま」「いえじま」「つきしま」「まきしま」「とびしま」は除籍されている。 
掃海艇「すがしま」型  MSC "SUGASHIMA" Class
スペックデータ
基準排水量 510t
主要寸法  54x9.4x4.2x3.0m (長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 1,800PS
速 力 14kt
主要兵装    20ミリ機関砲x1
掃海装置一式  
定 員  45名
同型艦 MSC-681「すがしま」 MSC-682「のとじま」
MSC-683「つのしま」 MSC-684「なおしま」
MSC-685「とよしま」 MSC-686「うくしま」
MSC-687「いずしま」 MSC-688「あいしま」
MSC681「すがしま」
掃海艇「すがしま」型について
掃海艇「うわじま」型の性能向上型として建造された掃海艇。船体サイズはあまり変わらないものの、排水量では約20トンほど増加している。
 最新の高性能化した機雷に対処するためNATO諸国でも使用実績のある英国製情報処理装置NAUTIS−Mや可変深度型機雷探知装置TYPE−2093、仏国製の機雷処分具PAP−104MARKSなどを導入装備しており、掃海能力は格段に高められている。なお、従来型の係維式掃海具も装備している。
 また掃海時の低速運動性能、定点保持(海上の一点で停泊する)性能の向上のため可変ピッチプロペラを装備したスクリューやバウ・スラスタ、自動繰艦装置なども備えている。
掃海艇「ひらしま」型  MSC "HIRASHIMA" Class 
スペックデータ
基準排水量 570t
主要寸法  57x9.8x4.4m (長さ、幅、深さ)
船型 長船首楼型
主機械 CODOE方式
・三菱6NMUディーゼルエンジン×2基
・補助電動機×2基
スクリュープロペラ×2軸
馬 力 2,200PS
速 力 14kt
主要兵装    20ミリ機関砲x1
掃海装置一式  
定 員  48名
同型艦 MSC-601「ひらしま」 MSC-602「やくしま」
MSC-603「たかしま」 
MSC601「ひらしま」
掃海艇「ひらしま」型について
本型の船体設計は、おおむねうわじま型に類似したものに戻っており、船型は長船首楼型、船体形状も角型とされている。
本型は、全体に刷新された対機雷戦システムが搭載されている。また水中処分員の再圧タンクもこれまでの一人用から二人用に変更されている。本型の対機雷戦システムの中核となるのがOYQ-201掃海艇情報処理装置(Mine Countermeasures Data System: MCDS)である。機雷探知機としてはZQS-4が搭載される。
掃討具としては、新規開発された水中航走式機雷掃討具S-10を搭載している。
またこれまで長年にわたって53式普通掃海具(O型)を搭載してきたのに対して本型では51年ぶりの新型機として小型係維掃海具1型が搭載される。これは53式O型の浅深度掃海性能を落とさずに軽量化・省力化したものである。
感応機雷に対する掃海具としては、従来の磁気掃海具と音響掃海具を統合した感応掃海具1型が搭載される。
 掃海艇「えのしま」型  MSC "ENOSHIMA" Class 
スペックデータ
基準排水量 570t
主要寸法  63x9.8x4.4×2.5m (長さ、幅、深さ、吃水)
船型 長船首楼型
主機械 CODOE方式
三菱6NMUディーゼルエンジン×2基
補助電動機×2基 スクリュープロペラ×2軸
馬 力 2,200PS
速 力 14kt
主要兵装    20ミリ機関砲x1
掃海装置一式  
定 員  48名
同型艦 MSC-604「えのしま」 MSC-605「ちちじま」
MSC-606「はつしま」 
MSC604「えのしま」
掃海艇「ひらしま」型について
本型の船体設計は、船体構造にガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を採用している。これにより、本型は世界最大級・海自掃海艇初のFRP船となっている
主機・電源系は「ひらしま」型と同構成とされています。
また本型の対機雷戦システムも「ひらしま」型のものを踏襲しており、OYQ-201掃海艇情報処理装置を中核に、艇装備の機雷探知機としてZQS-4を、機雷処分具と自航式可変深度ソナーの兼用としてS-10水中航走式機雷掃討具を、また掃海具として小型係維掃海具1型および感応掃海具1型を備えている。
ただし機雷処分用および自衛用の機銃としては、53MSC(はつしま型4番艇)以降、手動照準のJM61-M 20mm機銃が用いられてきたが、本型3番艇(23MSC)において、初めて遠隔操作・自動照準式のものが導入される。これは海上保安庁が運用するJM61-RFS Mk.2と同等の性能を備えている。
掃海管制艇「にいじま」型  MCL "NIIJIMA" Class
スペックデータ
基準排水量 440t
主要寸法  55x9.4x4.2x2.5m
(長さ、幅、深さ、喫水)
船型 船首楼型
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 1,440PS
速 力 14kt
主要兵装    遠隔操縦式掃海具操縦装置一式  
定 員  28名
同型艦 MCL-722「にいじま」 MCL-723「やくしま」
MCL-724「ははじま」 MCL-725「かみしま」
MCL-726「おぎしま」 MCL-727「さくしま」
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MCL724「ははじま」
新型掃海システムの採用により、平成になって新たに導入された艦種。
「はつしま」型の「にいじま」と7番艇「やくしま」を改装した掃海管制艇であるがこの2隻は既に除籍済みである。
ドイツのトロイカ掃海システムのように、無人自航式の大型掃海具を誘導管制し、掃海する。無人の艇体は、水深の浅い海面にも自由に航行出来る他、より危険度の高い海域での使用にも、惜しげもなく投入できるメリットがある。
従来、小型掃海艇(MSB)6隻と、掃海母艇(MST)1隻で、港湾、沿海部などの浅い海面部分の掃海に当たっていたが、小型掃海艇(MSB)の退役に伴い、新システムの採用に至った。
遠隔操縦自航式掃海具(SAM)は、スウェーデンで開発された物で、左右の浮体の上に、構造物をのせ、掃海を行うもの。磁気機雷と、音響機雷の掃海に当たり、掃海海面へのブイ(浮標)の設置も行える。
本型管制艇1隻で、遠隔操縦自航式掃海具(SAM)2隻を、同時に管制可能である。
本型は既に、全艦退役している。
掃海母艦「うらが」型  MST "URAGA" Class
スペックデータ
基準排水量 5,650t(ぶんご5,700t)
主要寸法  141x22.0x14.0x5.4m
(長さ、幅、深さ、喫水)
船型 平甲板型
主機械 ディーゼル2基 2軸
馬 力 19,500PS
速 力 22kt
主要兵装    機雷敷設装置一式 
定 員  160名
同型艦 MST-463「うらが」 MST-464「ぶんご」
MST463「うらが」
掃海母艦「うらが」型について
掃海艇の母艦任務も果たしていた機雷敷設艦「そうや」の老朽化に伴い代艦として建造された艦。機雷敷設能力の向上や母艦機能の充実などの結果、「そうや」や従来の掃海母艦「はやせ」などに比べて倍以上の排水量を持つ大型艦となった。その一方で機械室の無人化や機雷敷設装置の省力化などで定員は減少している。
 後部甲板には大型掃海ヘリコプター MH−53Jが着艦できるヘリ甲板と掃海具格納庫を持ち、航空掃海の支援体制も備えている。また4基のデッキクレーンを備え掃海艇への補給機能など母艦としての機能も充実している。艦橋などの上部構造物はステルス性に配慮し、若干の傾斜が付けられている。