実例24.富士通 FMV−DESKPOWER MVI265をパワーアップする。
富士通のFMV−DESKPOWER MVI265は、AMD−K6 266MHzを搭載したマイクロタワーモデルです。
しかしハードディスクは、3.2GB,メモリは32MBと基本能力に問題があり、このままでは最近の重いアプリケーションは辛いものがあります。
そこで、ここでは基本通り、CPU,メモリ、ハードディスクをパワーアップしてみましょう。
さらにADSLにも接続できるようにLANアダプタを装着しましょう。
CPUに関してはAMD−K6 266MHzが搭載されているので,K6−2 400MHzに換装できるかどうかを検討します。
まずK6 266MHzは、FSB66MHzに逓倍率4倍,コア電圧は2.2Vということになります。
K6−2 400MHzは、FSB66MHzに逓倍率6倍、コア電圧は2.2Vですので、FSBとコア電圧はそのままでいいわけです。
しかし逓倍率は変更しなければいけません。しかしK6−2で逓倍率を6倍にするときは、実は逓倍率を2倍に設定すれば6倍として動作することがわかっています。そこでマザーボード上に逓倍率を変更するためのスイッチとかジャンパーとかがあるのではないかと調べてみました。
すると、やはりありましたね。
まず、2つのジャンパースイッチがあり、よく見るとFSBを変更するためのジャンパーとわかりました。
ここはとりあえずそのままでいいですね。
J2とJ3のジャンパー設定
JP2 JP3 FSB
1-3,2-4 3-5,4-6 60MHZ
3-5,4-6 3-5,4-6 66MHZ
1-3,2-4 1-3,2-4 75MHZ
3-5,4-6 1-3,2-4 83MHZ
JP2とJP3は、FSBを変更するためのジャンパーです。ここはいじらなくても良いです。 
やっぱり、ありましたね。
逓倍率を変更するディップスイッチです。
しかし6倍という倍率はないのですが、K6−2に関していえば2倍に設定すると6倍で動作しますので、ここでは2倍に設定します。
電圧を変更するジャンパーもありましたが、これはいじらないで下さい。
逓倍率変更
ディップスイッチ設定
S1 S2 S3 逓倍率
off off off 1.5
on off off 2
on on off 2.5
off on off 3
off off off 3.5
on off on 4
on on on 4.5
off on on 5
off off on 5.5
S4はOff固定です
このディップスイッチが逓倍率を変更するスイッチです。
逓倍率を変更してからCPクーラーを取り外し、レバーを上げてCPUを取り外しました。
そしてK6−2を取り付け、レバーを下ろし、CPUクーラーを取り付けます。
ちょっと問題なのは、CPUクーラーの電源ソケットが2ピンタイプなので汎用のCPUクーラーでは取り付けられないという問題です。そこで元々のCPUクーラーをつけざるを得ません。
さてこのマシンは、元々Windows95がインストールされています。
Windows95は、K6−2 350MHz以上のCPUを搭載するとエラーが発生して動作できないことがあります。
このような場合は、Microsoftから出ているパッチをあてるとか、Windows98以上に切り換える必要があります。
ここではハードディスクを30GBのものに換装して、Windows2000をインストールします。
さらにメモリを64MB+128MB=192MBに増設します。
このマシンは、SDRAM DIMM 2スロットを持っていて、32MBモジュールを搭載していますが、これを取り外して64MBと128MBを取り付けます。
最後にLANアダプタをPCIスロットに装着します。
取り付けが終わればWindows2000Proffesionalをクリーンインストールします。
MVI265 改造前   改造後
CPU AMD−K6 266MHz AMD K6−2 400MHz
メモリ 32MB 64MB+128MB
FSB 66MHz  
ハードディスク 3.2GHz Maxtor 2F030L0 30GB
ビデオカード ATI社製 RAGE(TM) IIC(PCI)  
LAN なし 100/10Mbps LAN
本来ならばビデオカードも交換したいところでしょうが、これまで交換するとコストに対して効果が小さいという見方ができるでしょう。つまり新規購入した方が良いということにもなりかねません。
となれば、このくらいで我慢しておくということになりましょうか。
このマシンは、元々ビデオカードがPCIカードで装着されているので、ビデオカードの交換で済むという利点があり、外したビデオカードも他に転用が可能です。オンボードビデオだとこうは行きませんので。 
HDBENCH2.61測定結果
ALL           
19065
        
27539 35487
Text Scroll DD
22599 6868 10373 80 6
Read Write Memory Drive   
26875 22705 24838 C:10MB
さて、恒例のベンチマーク測定です。
まず、ハードディスクのアクセス能力はUltraATA/33としては、ほぼ限界まで出ていると思われます。
CPUの演算能力は、K6−2 400MHzとしての能力が発揮されています。ということは、BIOSが一応正常に動作しているようです。
ただし、このマシンのBIOSではK6−2 333MHzまでしか登録されていないので、BIOS表示ではK6−2 333MHzと表示されますが、実際にはK6−2 400MHzで動作しています。
ビデオカードの能力は2Dに関してはそこそこですが、DirectDrawは低いようです。まあビジネス用途ならこんなものでも良いでしょうけど。

そして、最終手段としてFSBを75MHzに上げてみましょう。
するとK6−2の逓倍率は、6倍に設定されているので、動作クロックが75MHz×6=450MHzになります。
ですから、K6−2 400MHzではオーバークロックになってしまいます。
これでも動作するかもしれませんが、元々K6−2はさほどオーバークロック耐性が強くないので、ここではK6−2 450MHzを搭載する方が良いでしょう。
また、SDRAMもPC100以上を搭載しないと、動作しない可能性があります。
つまり元々搭載されているメモリでは動作しないかもしれないわけです。
この場合は既にPC100 SDRAMを搭載しているので、メモリに関しては大丈夫です。
MVI265 改造前   改造後
CPU AMD K6−2 400MHz AMD K6−2 450MHz
メモリ 64MB+128MB  
FSB  66MHz  75MHz
ハードディスク Maxtor 2F030L0 30GB  
ビデオカード  ATI社製 RAGE(TM) IIC(PCI)  
LAN 100/10Mbps LAN  
J2とJ3のジャンパー設定
JP2 JP3 FSB
1-3,2-4 3-5,4-6 60MHZ
3-5,4-6 3-5,4-6 66MHZ
1-3,2-4 1-3,2-4 75MHZ
3-5,4-6 1-3,2-4 83MHZ
右のようにJ2,J3ジャンパーを切り換えて下さい。
このマザーは、FSB83MHzまで設定可能ですが、その場合は、500MHzで動作してしまうので、K6−2 500MHzを搭載しないといけないことになります。
K6−2 400MHzではオーバークロックになりすぎるので、FSB83MHzにはしないでください。

HDBENCH2.61測定結果(FSB75MHz)
ALL           
20262
        
30953 39935
Text Scroll DD
25149 7573 10513 130 6
Read Write Memory Drive   
26947 20897 27924 C:10MB
FSB75MHzで450MHz動作したときのベンチマークを測定してみました。
確かにクロックが上昇している分、ベンチマーク結果も向上しています。
この場合、FSB自体が上昇しているので、単に逓倍率を上げた場合に比べて良好な結果になるはずですが、実はFSB75MHz動作時にはPCIのバスクロックが30MHzに低下しているので、PCIバスに依存する部分の性能がやや低下するのではないかと考えられます。
結果からすればハードディスク以外の部分は1割以上のパフォーマンスの向上がみられます。
試しにFSB83MHzで6倍の設定で500MHzで動作させてみるとWindows2000が起動してこれからというときにリセットがかかってしまいました。やはり500MHzには耐えられないようですね。
CPUの冷却の問題かもしれませんが。

WinBench 99 測定結果(FSB75MHz) 
WinBench 99/Business Disk WinMark 99 (Thousand Bytes/Sec) 2440
WinBench 99/High-End Disk WinMark 99 (Thousand Bytes/Sec) 9580
WinBench 99/CPUmark 99 16.1
WinBench 99/FPU WinMark 1420
WinBench 99/Disk Playback/Bus:Overall (Thousand Bytes/Sec) 2440
WinBench 99/Disk Playback/HE:AVS/Express 3.4 (Thousand Bytes/Sec) 8870
WinBench 99/Disk Playback/HE:FrontPage 98 (Thousand Bytes/Sec) 29700
WinBench 99/Disk Playback/HE:MicroStation SE (Thousand Bytes/Sec) 10300
WinBench 99/Disk Playback/HE:Overall (Thousand Bytes/Sec) 9580
WinBench 99/Disk Playback/HE:Photoshop 4.0 (Thousand Bytes/Sec) 7930
WinBench 99/Disk Playback/HE:Premiere 4.2 (Thousand Bytes/Sec) 6050
WinBench 99/Disk Playback/HE:Sound Forge 4.0 (Thousand Bytes/Sec) 11300
WinBench 99/Disk Playback/HE:Visual C++ 5.0 (Thousand Bytes/Sec) 9320
さらにWinBench99でも測定してみました。
うう〜ん・・・、CPUmark99とFPUWinMarkは、こんなものでしょうけど、問題はBusiness Disk WinMark99とHigh−EndDiskWinMark99ですね。
思ったほど伸びていませんね。
その原因は、何かと言えばIDEインタフェースがUltraATA33だからでしょうね。
このマシンのネックは、やはりIDEインタフェースということでしょう。
といってUltraATA133カードをつけるほどでもないですし。このマシンは、ハードディスクとしては120GBのものでも接続できますので、当時としてはかなり優秀なのですが。 

メニューに戻る