実例15.NEC PC−9821Ra20/N12をパワーアップする。
このマシンは、PentiumPro200MHzを搭載しています。
Socket8マシンなのでアップグレードの方法が当初はなかったのですが、最近ではアップグレード用のパーツやODPが販売されています。今回は、PL−Pro/Uというアダプタを利用してCeleronを搭載してみました。
もちろんSocket370であればFC−PGA版Celeronを搭載するのは理論的には可能なのですがその場合、NEOーS370を重ねて装着する必要があり、それが入手困難でしたので、今回は断念しました。もっともロットによってはうまくいかない場合もあるようですので、手堅くPPGA版Celeronを使うことをお勧めします。
PL−Pro/Uは、Socket8をSocket370に変換するアダプタで、富山では6,980円で入手できました。なぜか秋葉原では9,800円で販売していました。
またPPGA版Celeronは、最高クロックが533MHzですので、これをターゲットとしましたが、結構入手が困難でした。しかし何とか1軒だけ販売していたのでそれを購入しました。
後は、ビデオカードとして、アイオーデータ機器のGA−S2K32/PCIを購入し、UltraATAボードとしてUIDE−66を用意しました。
作業手順は、さほど難しくはありません。
1) CPU横のレバーを上げて、CPUを取り外して、空いたSocket8にPL−PRO/Uを差し込みます。このとき向きを間違えないようにしてください。
2) さらにレバーを下げてからSocket370にCeleronを差し込みます。
これにはレバーがないので完全にCPUが刺さっているか確認してください。
3) 次にファンを取り付けますが、金具が少々取り付けにくいようです。というかこれははっきり言って不良品だな。
金具が基板上の部品と接触してしまうのでそのままでは取り付けられませんでした。初心者向きではないようですがなんとか取り付けることができました。
4) 後は基板へ電源を供給する電源ケーブルとファンへ電源を供給するコネクタを基板に取り付けます。
これでCPUの取付は完了ですが、実はこのままではBIOSが対応していないのでCeleronの2次キャッシュが動作しません。
そこでキャッシュコントローラをインストールする必要があります。
この場合、http://page.freett.com/GP03DBM/Cenab111.lzhから入手することができます。
後は、ビデオカードを搭載しましたが、これも問題なく動作しました。
最後にUIDE−66を搭載しましたが、これが大問題でした。うまくハードディスクが起動しないのです。
認識しないわけではないのですが、正常に起動せずリブートしてしまい、次にセーフモードで起動してしまうのです。
UIDE−98Mに交換しても同じ症状なので、SCSIインタフェースでIDEハードディスクを接続できるIFC−USP−M2を搭載してみましたが、何と全く同じ症状なのです。
途方に暮れて、ハードディスクをIBM製のDTTA−301010に交換し、UIDE−98Mを搭載したところ、問題なく動作しました。
まあめでたしめでたしと言うところですが、今回は往生しました。
過去のPC−9821シリーズで採用していたUIDE−98Mがうまく動作しないという現象は初めてだったし、未だに原因がわかりません。この場合は、CPUを換装する前にUIDE−98Mなりを導入しておいた方が無難のようです。
PC−9821 Ra20/N12
PC−9821Ra20/N12
PL−PRO/U
PL−PRO/U

項目名 標準 改造後
CPU PentiumPro 200MHz Celeron 533MHz
メモリ EDO ECC 16MB EDO ECC 128MB
ビデオカード TGUI9685 GA−S2K32/PCI
ハードディスク 1.2GB 30GB
IDEインタフェース 標準IDEインタフェース UIDE−98M
ベンチマークの結果としては、Celeron533MHzが正常に動作しているのは確認できました。
実はキャッシュコントロールがインストールしてないと、CPUMark99の数値が低く、パフォーマンスが上がりません。
PentiumProをCeleronに換装した場合は、必ず2次キャッシュが働いているかどうかを確認して、働いてないようだったら、何らかの方法でキャッシュを動作させる必要があります。
FPUWinmarkは、Celeronらしい数値が出ています。これはSocket5,7マシンをK6−2/Vに換装してもとうていかないません。しかしPPGA版Celeronは、CopperMineコアとは違ってSSEがないので最新のゲームソフトなどにはあまり期待できません。まあ、このマシンでゲームをするのは無理があるでしょうが。
どうもチップセットが440FXというのは、PentiumVかCopperMineコアCeleronなど、より高性能のCPUを搭載しない限り、例えばWildCatなどのSocket5マシンにK6−Vを搭載した場合と比べて必ずしも優秀とは言えないようです。
いわく付きとも言われるWildCatチップセットですが、当時としてはインテル系チップセットよりは高性能だったわけです。
もっともK6−Vが登場したからとも言えますが。

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