実例1.NEC PC−9821V16/M7D3に対するパワーアップ
この実例は、PC−9821シリーズのオーナが今少し愛機を現役で使いたい場合の好例で、多くの場合他機にも適応できます。
このマシンは、NEC PC−9821VALUESTARシリーズのミニタワー型パソコンです。
本来は、CPUがPentium166MHzで今となってはかなり非力です。
このタイプはチップセットがWildcatでCPUソケットはSocket5なのでK6−2が搭載可能ですが、通常のDOS/V用のゲタ(電圧変換ソケット)は作動しません。必ず、魔法回路を搭載したゲタが必要になります。
またPC−9821用のゲタを使っても内蔵IDEは、使えなくなります。
そこで確実なパワーアップ方法として、メルコのHK6−MD400−N2を採用しました。
これは、K6−2/400MHzを搭載しています。
実は、通常のゲタではPC−9821ではクロックは400MHzが上限です。
もしこれ以上のパワーアップを望むのならメルコのHK6−MD466−N3を搭載すればOKです。
当マシンでも、このCPUアクセラレータが搭載可能です。
実際の作業ですが、さほど難しいことはありません。
ミニタワー型のこのマシンではCPU周りに何もないので、取り外し取り付け作業に困難さはないし、他のものを外す必要もありません。
PC−9821V16M7
PC−9821V16M7

●CPU交換の手順
HK6−MD400−N2
HK6−MD400−N2
1)まず元のCPUを外します。
まずCPUクーラーの電源コードを外し、クーラーを固定しているクリップを外します。
そしてCPUソケットのレバーを外側に少し押すように上げるとCPUが外れます。

2)CPUアクセラレータのゲタのピンをCPUソケットに差し込んでレバーを下げます。
ここが最も注意すべき点であり、ピンを間違って差すといけません。
ピンの配列の4つの隅で1カ所だけピンがないところがあるので、そこを合わせます。
ここでよく力がいるとかいいますが、実際やってみたところそんなに力がいるとは思えません。
それよりピンの向きを間違えないようにしてください。

3)CPUクーラの電源コードの接続  
これをわすれるといけません。
CD−ROMドライブの電源コードを外し、付属の電源ソケットに差し込んで分岐させます。
これでCD−ROMとCPUクーラの双方へ電源を供給すればOKです。 

●PCIビデオカードの増設
さらに、グラフィック周りを改善する必要があります。
PC−9821は、グラフィックが貧弱なのでPCIビデオカードを搭載する必要があります。
現時点では、PC−9821シリーズで搭載可能なPCIビデオカードは、アイ・オー・データ機器およびメルコから販売されているSavege4Pro+を搭載した製品が最も高性能です。
ここではアイ・オー・データ機器のGA−SV432/PCIを採用しました。
●ハードディスク周りの改善
さらにPC−9821シリーズの弱点としてIDEインタフェースの転送能力の低さがあります。
このマシンでもPIOモード2しか対応していない上に、認識できるハードディスクの容量が最大4.3GBまでしか認識しません。
そこでアイ・オー・データ機器のUIDE−98Mを採用しました。
このボードは、IDEインタフェースを搭載し、UltraDMA/33に対応するので、最新パソコンと比べても遜色ない転送能力を持つ上に、ハードディスクの容量が32GBまで認識できるので、DOS/V用の大容量ハードディスクが使用できます。
ここではMaxtor製7200rpm20GBのハードディスクを搭載しました。
本来、DOS/V用ハードディスクでPC−9821には接続できないはずのハードディスクですがあっさり認識し、起動ドライブとして使用できました。
さらにこのマシンの標準CD−ROMは8倍速で遅いので、アイ・オー・データ機器のマルチCD−RであるCDR−AB220PDを搭載しました。
これもUIDE−98Mに接続しました。
さらに主メモリを32MBから96MBへ増設してパワーアップが完了です。
GA−SV432/PCI
GA−SV432/PCI
UIDE−98M
UIDE−98M
変更前 変更後

CPU+クロック

Pentium 166MHz

K6−2 400MHz

主メモリ+タイプ

32MB EDO DRAM 

96MB EDO DRAM

グラフィック+メモリ

標準 2MB

GA−SV432/PCI 32MB

ハードディスク

標準 2GB

20GB+4GB

IDEインタフェース

標準 PIOモード2

UltraDMA/33

CD−ROM/R

標準 8倍速

CDR−AB220PD

パワーアップ後は、はっきり言って全く別のマシンに生まれ変わりました。
PC−9821は、同時期のDOS/Vマシンに比べてもチップセット、グラフィック、ハードデイスクに弱点があり、これくらいはパワーアップしないとバランスの悪いマシンになってしまいます。
現在のマシンの性能をベンチマークソフト HDBENCH3.22で測定してみました。

ALL 10439

CPU

Integer

float

19073

12180

メモリ

Read

Write

Read/write

6645

2957

5917

ビデオ

Rectangle

text

ellipse

bitblt

DirectDraw

12300

9536

3735

108

20

HDD

Read

Write

filecopy

12215

18836

8275


PC−9821シリーズ共通の欠点として、バス転送能力の低さがよく指摘されます。
特にこのマシンではチップセットがWildcatなのでPCIのリビジョンが2.0であり、バスマスタ転送ができないのでGA−SV432/PCIに付属しているドライバでは正常に作動しません。(このロットではそうでしたが、実は同じ型番のマシンでもチップセットが430FXのロットもあり、その場合はどうなるのかは、わかりません)
どちらにしても、GA−SV432/PCIは、PC−9821V16/M7に対応していることになっているのに、実際には添付されたドライバでは正常に動作しないので注意してください。
おそらくバスマスタ転送に対応していないPCIリビジョン2.0のマシンは、それに該当するはずです。そこでアイ・オー・データ機器のサイトから最新ドライバーをインストールし、バスマスタ転送を使わないドライバをインストールすると正常に動作します。
もうひとつ、K6−2を搭載しても、そのままではキャッシュメモリが動作しないので、付属のキャッシュコントロールユーティリティをインストールしても良いのですが、実はこのソフトにもバグがあり、メルコから最新ソフトをダウンロードする必要があります。
しかしここではWriteAllocateMonitorUをインストールすることをおすすめします。
このソフトは、堀口正勝氏の作ですが、フリーソフトです。
    入手先は、 http://member.nifty.ne.jp/Horiguchi/tools/ です。
このソフトを使って1次キャッシュ、およびWrite allocate機能を有効にします。
これで全く問題なく動作し、パフォーマンスもかなり向上しました。
もっとも最新マシンに比べれば見劣りしますが。(^^;)
 
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