3.ソフトウェアの基礎知識

1) オペレーティングシステム(OS)
ハードウェアがどんなに立派でもソフトウェアがないと動作しないのは当然だが特に全てのソフトウェアが動作するための土台となるオペレーティングシステム(OS)がないとコンピュータは、全く起動すらしないのである。
OSは、基本ソフトとも呼ばれ、ソフトウェアが動作するに必要なプログラムである。
ここでは特にパソコン用OSについて説明する。
@ MS−DOS
マイクロソフト社がシアトルコンピュータ社から買い取ったOSを改良して販売した16ビットパソコン用OSである。
基本的にCUI(キャラクタユーザーインタフェース)であり、コマンドをキーボードから入力することでコマンドを実行することになる。
また、シングルタスク、シングルユーザであり、同時に1つのタスクしか起動できない。
また管理できるメモリ空間が1MBであり、システム空間を除くとユーザーが使えるのは640KBしかなく、それもMS-DOS自身が配置されるのでもっと少なくなってしまう。そこでEMSという拡張メモリの規格が開発され、ソフトウェア側がEMSに対応していれば1MBより大きいメモリ空間が利用できるようになった。
またMS-DOSは、各パソコンメーカがマイクロソフト社より提供されるソースコードを自社のパソコン用にカスタマイズして供給することもあり、その上で動作するアプリケーションは、メーカーごとの互換性がない場合が多い。
その原因は、パソコンを入出力を管理するBIOSという部分がメーカーごとに違うからである。
MS-DOSの機能のみでプログラムを開発すれば、互換性が保てるのであるがその機能は少なくアプリケーション開発には、そのハードウェアの機能を直接利用するしかないのが実状だからである。
下の図は、その状況を概念的に表したものである。
 
    
上の図のように点線部分より下の部分はメーカーによって異なり、アプリケーションがMS-DOSの頭越しに直接ハードウェアやBIOSの機能を利用して動作するため互換性が保てない。MS-DOSの共通部分のみを利用してプログラムを作成すれば本来互換性が保てるはずであるがその部分の機能だけではアプリケーションを作成するのは困難なのである。
A Windows3.1
マイクロソフト社がMS-DOS上でGUI環境を実現し、MS-DOSで問題になったソフトウェアの互換性を保てるように開発された32ビットパソコン用OSである。
ただし、単独では動作しないので厳密な意味ではOSとはいえない面もある。
Windows3.1では、GUIによりマウスを主体とした軽快な操作が可能で、アプリケーションの互換性も、Windows3.1対応であればかなりの水準で保てるようになった。
また、擬似的にマルチタスクを実現し、同時に複数のプログラムを起動できるようになったが同時に動作するプログラムは1つだけである。
しかし、MS-DOS上で動作する制約から、メモリ管理の問題点からは完全に抜け出していない。つまり16ビットコードがまだ中核に残っている。
この頃から販売されているパソコンにはOSをプリインストールして販売するようになってきた。
B Windows95
マイクロソフト社がMS-DOSと関係なく、単独で動作するように開発したOSである。
もちろんGUI、およびソフトウェアの互換性も保てるようになっている。
メモリ管理もMS-DOSでの問題点は一応クリアされている。ただし完全に32ビットコードのみになったわけではなく16ビットコードが残っている。
またWindows95では、完全なマルチタスク環境を実現し、通信機能も標準で装備するようになった。またこの頃のパソコンではモデムも標準的に装備するようになっているので最初から通信が可能になった。(MS-DOSやWindows3.1ではこの機能はない。)この頃からパソコンの性能も飛躍的に向上するようになり、Windows95をプリインストールして販売するのが当然となり、さらには各種アプリケーションも同時にプリインストールしてすぐに使えるようにしていた。
さらにプラグアンドプレイ機能を持ち、アプリケーションのインストールが容易となっている。
C Windows98
マイクロソフト社がWindows95の後継として開発したOSである。
もちろんWindows95での機能は引き継がれている。
さらにWindows98では、ハードディスクの管理方法が変わり、これまで1パーティションが2GBまでだったのが事実上制限がなくなり、大容量ハードディスクでも1ドライブとして利用できるようになった。また内部処理も一部変更、改善され、これまでより処理能力が向上している。
またこれよりUSBが完全対応となっている。さらにプラグアンドプレイ機能もサポートしている。
最新バージョンとしては、Windows98SE(セカンドエディション)が登場している。
 
Windows環境では、アプリケーションは全てWindowsの機能を使うのが原則で直接、ハードウェアやBIOSを利用しないように規定されている。
Windowsではコンピュータの起動時にBIOSが動作するもののWindowsが呼び出されて、動作し始めるとBIOSはお役ごめんとなるわけである。
起動後はアプリケーションはWindowsを通して動作するため、ハードウェアの違いは、Windowsで吸収されてしまうのである。
だからWindowsに対応したコンピュータ上で動作しているWindows上で動作するWアプリケーションは互換性が保てるのである。
D WindowsNT4.0
マイクロソフト社がWindows95の操作性を元にWindowsNT3.51の後継として開発した、ネットワークサーバー用OSである。
WindowsNTにもServerとWorkstationがあり、Serverは、サーバー用、Workstationは、端末用と考えてよい。
WindowsNTの特徴は、ネットワーク構築用に適していることとセキュリティがWindows98等より厳密であること、Windows98等で問題になるシステムリソース不足がないことなどである。
これは、Windows98でも未だ16ビットコードが残っているのに対し、WindowsNTでは32ビットコードのみで中核部分をコーディングしているからである。
ただし、プラグアンドプレイ機能、USBをサポートしていないこと、対応アプリケーションが少ないことなど欠点もある。
E Windows2000
WindowsNT4.0の後継として開発されたOSである。
Windows2000ProffesionalとWindows2000Serverがあり、Proffesinalは端末用、Serverは、サーバ用と考えてよい。
これまでのWindowsNTの弱点であったUSB、プラグアンドプレイ機能などWindows98にある機能をサポートし、企業、個人ともに利用できるように開発されたOSである。
F WindowsMe
Windows98の後継として開発されたOSである。
基本的な機能および内部構造は、Windows98に準拠するが、復元機能、マルチメディア機能、ネットワーク機能が強化されている。
このWindowsMeで16ビットカーネルを持つWindowsは終了し、WindowsXPに統合されることになった。
G WindowsXP
WindowsMeとWindows2000を統合した最新OSである。
基本的な構造は、Windows2000に準拠すると考えてよい。
WindowsXPではこれまでとはユーザーインタフェースが大幅に変更されている。
またたとえば各光学ドライブ(たとえばCD-R/RWドライブ)が今まではWindowsレベルでは単なるCD−ROMドライブとしか認識されなかったものが本来のドライブを正確に認識できるようになり、書き込み機能も最小限とは言えできるようになった。
内部的にもいくつかの改善点があり、より効率的に処理が行われるようになっている。
またこれまでのWindowsとは違い、プロダクトアクティベーション(認証)が必要でコピーはできないようになっている。
現在はServicePack2が登場している。これはセキュリティ機能が向上している。
※プロダクトアクティべーション
現在のWindowsXPは、完全32ビットカーネルを持つマルチタスクOSであり、Windows98やWindowsMeで発生したシステムリソースの問題もなく、快適なマルチタスク環境を提供するOSである。
ただし、稼働するにはプロダクトアクティべーションと呼ばれる認証が必要となる。
これは最初の起動時にWindows自体のIDとパソコンのハードウェア情報をネットワークでマイクロソフトに転送して、認証を行うものである。
それで認証が終わるとそのパソコン以外では同じWindowsのCD-ROMでは認証できなくなるわけである。ネットワーク環境にない場合は電話でこちらからハードウェア情報を伝えることで認証できるようになっている。
これはOfficeXPでも同様の仕組みになっている。
※Windowsの系譜は次の通りとなります。  
 
H UNIX
AT&Tが開発したマルチタスク、マルチユーザーOSである。
通信機能も標準装備し、GUIも持っていて、サーバー用OSとして利用されている。
またEWS(エンジニアリングワークステーション)用OSとしても利用されているが、最近ではFREE BSDやLinux(リナックス)のようなUNIX互換OSが登場し、これにディストリビュータと呼ばれる周辺機能を付加して日本語機能を持ったサーバ用OSとして利用するケースが増大している。理由は、LinuxやFREE BSDは、インターネットを通じて無料で配布されている上にディストリビュータも同様に無料あるいは安価で入手できるからである。
最近ではむしろWindowsNTやUNIXよりこうしたフリーソフトで構成されたUNIX互換OSがむしろサーバー用OSとして利用頻度が高くなりつつある。
I MacOS
アップル社のパソコンであるマッキントッシュ専用OSである。
疑似的マルチタスクOSであるがGUI、通信機能とも完備し、Windowsの見本となったOSである。
ただし、Mac専用OSであることからWindowsほどの爆発的な普及はないのが現状である。

※Windows2000のインストール
ここでは自作マシンを前提に新規にWindows2000をインストールする場合の注意事項を挙げてみます。
Windows2000に限りませんがWindowsをインストールする場合に、そのマシン環境や周辺装置に応じてデバイスドライバをあらかじめ用意しておく必要があります。
Windows環境ではマシンのハードウェア構成や接続する周辺装置の違いをデバイスドライバによって吸収しています。
プリンタを接続するにしても、プリンタドライバが必要です。
また同じWindowsでもバージョンの違いによって異なるデバイスドライバが必要となります。
特にWindows2000/XPとWindows9X/Meとではドライバがまったく異なるので注意してください。

さて実際にWindows20000をインストールすると、Windows2000自体にかなりのデバイスドライバが含まれているので、特にドライバを用意しなくても自動的にドライバがインストールされるので、ハードウェア構成によってはドライバを用意する必要がない場合もあります。しかしドライバがインストールされても実はWindows2000が間違って不適当なドライバをインストールする場合もあるので注意が肝要です。

そこで必要なドライバですが、Windows2000をインストールする場合は次のドライバに注意してください。
ドライバ 注意事項
VGAドライバ ビデオカード用ドライバはいずれの場合も必ず必要です。
これがないと標準VGAでしか表示できないので大変不都合である。
サウンドドライバ サウンド機能がオンボードで装備されている場合でもサウンドドライバは必要である。
自動的にインストールされれば良いがだめな場合はインストールしてやらねばならない。
LANドライバ LANアダプタが搭載されている場合は、ドライバが必要である。
IDEドライバ IDEドライバは、通常は自動的にインストールされるので特に必要ない。
しかしチップセットによってはインストールされるドライバでは正常に動作しないことがある。
よくあるケースではSiS製のチップセットでIDEドライバをインストールしないとUltraATAで動作しないという現象が発生することがある。
プリンタドライバ プリンタを接続する場合はいずれにしても必要である。

これらのドライバが正常にインストールされていればたいていの場合は大丈夫です。
インストールされているデバイスドライバを確認する場合は、次の順にクリック操作をしてください。

スタート→設定→コントロールパネル→システム→ハードウェア→デバイスドライバ と順に進んでください。

すると下記のようなデバイスドライバの一覧がツリー形式で表示されます。
この中で黄色で!が表示されているドライバがあるとそれは正常に動作していないドライバということになります。
もしそのようなドライバがあればドライバを再インストールするなり何か手段を講じる必要があると考えてください。
何もそのような印がなければまず大丈夫です。
ただし、上記の要注意ドライバに関しては必要に応じてインストールしてください。
ドライバがインストールされたところで、そのままでは実は完全には動作しません。
実は、Windows2000には致命的なバグがあり、UltraATA100が動作しません。
ハードウェア環境がUltraATA100であっても実際にはPIOモードでしか動作しないのです。
これを解決するためにはServicePack4をあてるしかありません。
あらかじめWindowsUpdateで入手しておくのがお勧めです。
さらにその他のバグやセキュリティホールを解消するためにWindowsUpdateからWindows2000を更新しましょう。

操作は、スタート→WindowsUpdateでマイクロソフトのサイトに入れますので後は手順に従ってWindowsを更新します。
ただし、ブロードバンド回線でないと実用的ではないので、できればADSL/CATV/Bフレッツを使いたいですね。
WindowsUpdateが終了すればとりあえずマシンは正常に動作しますが、これはあくまで基礎ができたという状態です。
さらにアプリケーションをインストールしないと実際には使えません。

当然考えられるものとしてはWORD、EXCELなどのアプリケーションソフトはインストールするでしょうが、それ以外にいかなる場合にもインストールしておきたいアプリケーションがいくつか存在します。
@ アーカイバー
つまりは圧縮解凍ソフトということですが、これはインターネット上で入手できるフリーソフト等がほとんど圧縮されていることから必要なアプリケーションです。ここではLHAユーティリティ32など圧縮にも解凍にも使えるソフトをインストールします。
これらのフリーソフトは窓の杜Vectorで入手できます。
ファイルを圧縮する場合にいくつかの方式がありますが、よく使われるのは次の方式です。
(1) LHA形式  圧縮されたファイルの拡張子が .LZH になります。日本ではもっとも多く使われている圧縮形式でしょう。
(2) ZIP形式   圧縮されたファイルの拡張子が .ZIP になります。アメリカでは多い形式です。
(3) CAB形式  圧縮されたファイルの拡張子が.CAB になります。マイクロソフトが開発、使用しています。
(4) TAR形式  圧縮されたファイルの拡張子が.TAR になります。UNIXレベルで使用されています。
これらの圧縮解凍はすべてDLLファイルを入手しないとできません。
これらのファイルをC:\WINNT\SYSTEM  にコピーすることで圧縮解凍ができるようになります。
圧縮形式 DLLファイル名
LHA UNLHA32.DLL
ZIP UNZIP32.DLL
CAB CAB32.DLL
TAR TAR32.DLL
これらのファイルを個々に入手して解凍して(自己解凍形式で提供されている)もいいのですが、まとめて入手、解凍、コピーまで自動的にやってくれるcaldixというソフトがあるので、これをダウンロードして使用してもかまいません。
これを実行してから上記のLHAユーティリティ32をインストールしてください。
A Adobe Reader
Adobe社が開発したPDF形式のファイルを閲覧できる無料ソフトです。
最近では官公庁のサイトでもPDF形式のファイルで書類を公開しているケースが多いので、ぜひインストールしておきたいソフトです。Adobe Reader からインストールしてください。
B Macromedia FlashPlayer
Macromedia社が開発したFlashをWeb上で見る場合に必要なソフトです。
最近のWebではFlashが採用されているケースがたいへんおおいのであらかじめFlashPlayerをインストールしておきましょう。同時にShockWavePlayerもインストールしておくといいでしょう。
C WORD、EXCELなど
WORD、EXCELは当然ながらインストールしますが、インストールした後でOfficeonlineでOfficeのアップデートを行ってください。
D ウィルス対策ソフト
コンピュータウィルスに感染しないようにウィルスを発見駆除してくれるソフトウェア。
最近では必需品と言えます。
これらのソフトウェアでは新しいウィルスにも対処するために定期的に更新が必要となります。