手取温泉駅は、かつて石川県石川郡鳥越村字上野(現在の白山市上野町)に位置していた、北陸鉄道金名線の駅です。
1987年(昭和62年)4月29日に金名線が廃止されたことにより当駅も廃駅となっています。
単式ホーム1面1線の無人駅で、ホーム上に待合室が設けられていました。
設置当初は、上野駅(かみのえき)と称していました。
1955年(昭和30年)9月15日に手取遊園が開園しています。
手取遊園は、北陸鉄道が金名線の乗客増を目的に建設した遊園地です。ただし、降雪のため営業期間は4月から11月でした。開業当時は、『楽しい科学のりもの』と称した大型遊具が人気を集めていました。しかし、開業以来施設の整備拡充に力を入れなかったことと、昭和30年代に入り金沢などで類似遊戯施設が開業したことなどにより経営不振に陥っています。
1965年(昭和40年)に北陸交通社が買収し営業を続けていますが、自動車での来園者が増加し収入が激減したこともありますます経営状況が悪化し、1971年(昭和45年)3月31日をもって閉園しています。跡地には、1992年に村営の温泉リゾート施設『バードハミング鳥越』が建設された。
手取温泉は、天正年間に鳥越城主が愛用した湯治場という伝説があります。
1950年(昭和25年)に鳥越・河内・吉野谷の3村の有志が開発を始め、1953年に試掘しています。
泉質は含石膏芒硝泉。泉温は23.5度で加温を要する。
手取遊園の開園に伴い浴客が増加したため、1957年(昭和32年)に中宮温泉・岩間温泉と合わせて、『白山温泉郷』の一部として国民保養温泉地に指定する運動を起こし、1961年に厚生省の指定を受けています。
当時は村営の国民宿舎「手取温泉センター・城山閣」をはじめ3軒の旅館がありましたが、現在はバードハミング鳥越のみが営業しています。
駅跡は、道路になっていて判然としません。 |