Q3. Slot1、Socket370、FC-PGA、FC-PGA2,Socket5/7の違いはなんですか。
パワーアップのときに何に注意すればいいですか。

A3. プラットフォームのグループが異なると全く互換性がない。
これらはマザーボードに搭載されているCPUを装着するスロットの規格です。
基本的にSlot1、Socket370、FC-PGAのグループ、それにSocket5/7のグループに分かれ、それぞれには互換性があります。
Slot1は、当初PentiumU用スロットとして開発され、その後Celeron、PentiumVもこれに搭載されるようになりました。
しかしCeleronは、やがてSocket370(PPGA)に搭載されるようになり、Slot1を持つマザーボードにもSocket370へ変換するアダプタが開発され、CeleronはすべてSocket370対応として販売されるようになりました。
Slot1、Socket370は、形状は異なりますが電気的には互換性があり、搭載するCPUが異なっても供給するコア電圧を自動的に調整する機能を持っているのが特徴です。
ただしPentiumV(CopperMine)が登場すると必要なコア電圧が本来Slot1が持っていない規格となり、ピンも一部使い方が変わって、互換性がなくなりました。
そこで新しいSlot1、およびSocket370は、規格が一部変更されFC-PGAとなり、FC-PGA版のCPUに対応できるようになりました。
Celeron(CopperMine−128k)も同様にFC-PGA版として販売されています。
最近では、FC-PGAに必要なコア電圧が供給できるマザーボードであれば、PPGAからFC-PGAへ変換できる(つまりピンの違いを吸収する)アダプタも登場しています。
ただしこの変換アダプタは、今のところ電圧変換機能はないので1.7V以下のコア電圧を供給できない古いマザーボードには対応していません。
一方、Socket5は本来Pentium用ソケットであり、Socket7は、MMXPentium用ソケットです。この2者の違いは、Socket7の方がピンが1本多いだけで、他の部分は同一です。このピンの役目は、コア電圧とI/O電圧にそれぞれ異なる電圧を供給するためのものです。
しかしSlot1系と違いSocket5,7系は、コア電圧を自分で調整する機能がなく、マザーボード側に依存してしまう問題点があります。
なかにはまったくマザーボード側にコア電圧を変更する機能がないものもあります。
しかし当然のことながらCPUが異なればコア電圧も異なるので(MMXPentiumは、2.8V、K6-2は2.2V、K6-Vは、2.4V)なのでマザーボードが対応していないコア電圧が必要なCPUを搭載する場合は、(例えばMMXPentiumしか搭載できないマザーボードにK6-2を搭載するような場合)電圧変換ソケット(いわゆるゲタ)が必要になります。
またPC-9821シリーズ用のゲタは、電圧変換機能の他に特殊な回路を持つものが必要となる場合があります。いわゆる魔法回路と呼ばれる特殊な回路を持っていないと、PC-9821では動作しないことがあります。これはチップセットに依存する問題です。
ここではWildcat、430FXなどの比較的初期のチップセットを持つPC-9821の場合には、魔法回路付のゲタが必要だと考えて下さい。
具体的には、PowerLeap社のPL-K6-V/98やPL-J98 Plus、あるいはメルコ社のODPに使用されているN2ゲタなどが魔法回路を持っていて、K6-2が搭載できます。
逆に比較的新しいPC-9821に使われている430VXや430HXなどのチップセットを搭載したマザーボードの場合は、魔法回路が必要ないので、普通のDOS/V用のゲタを使ってください。
具体的には、PL-K6-V/98やPL-ProMMX plusなどのゲタを使えばよいわけです。
ただし、K6-Vを搭載したい場合は、メルコ製ODPを使うことをおすすめします。