Q29 AMDに続きインテル社も64ビットCPUを続々と投入してきていますが、これまでのCPUとはどう違うのですか。

A29 インテル社が64ピット技術として「EM64T」を搭載したCPUを投入してきています。
これは基本的にはAMDのAthlon64と同等の機能であり、IA-32命令(32ビットコード)に64ビット命令を拡張したCPUです。
これらの64ビットCPUに対応するためにマイクロソフトも64ビットCPU対応Windowsとして、「WindowsXP Professional x64 Edition」を投入してきました。これは64ビットCPUに最適化されたWindowsXPであり、AMD64もしくはEM64T(Extended Memory 64 Technology)という64ビット技術に対応したCPUを搭載した機種に限られます。
下表は、64ビットに対応したCPUです。これらのCPUを搭載したマシンは、「WindowsXP Professional x64 Edition」を使用することにより、その本来の性能を発揮できるわけである。もちろんアプリケーションもそれに対応している必要があるが、x64Editionに付属しているアプリケーションは64ビット対応である。

メーカー デスクトップ用 ノート用 サーバー用
米インテル Pentium4 6xxなど Xeon
米AMD Athlon 64 Turion 64、Athlon 64 Opteron
64ビットCPUを搭載することのメリットのひとつとして、メモリ空間が広大になっていることがあげられる。
x64 Editionでは、x64系CPUの仕様に合わせてメモリー容量も変更されている。物理的なメモリー容量は4GBから128GBに拡張され、仮想メモリーの容量(アドレス空間)は4GBから16TBと4000倍に拡張された。特に注目すべきは後者だ。プログラムで扱える仮想メモリーのアドレス空間が大きいと、巨大なデータをより安定して処理できるからである。
問題になるのは、32ビットコードを含むアプリケーションを動作させる場合である。基本的に64ビットCPUでは、64ビット命令コードを実行する場合に最適化されているので、32ビット命令コードをうまく実行できないことも考えられる。
特にx64 Editionと従来のWindowsではOSとアプリケーションのインタフェースが異なり、32ビットアプリは64ビットOSを呼び出せない。
この問題を解決するため、x64 EditionはWOW64(Windows 32 on Windows 64)という仕組みを備えている。32ビットアプリが行った32ビットのOS呼び出しは、WOW64を介して64ビットのOS呼び出しに変換される。この働きによって、32ビットアプリはあたかも32ビットOSの上で動いているように振舞えるわけだ。ユーザーにとっては、アプリケーションが32ビットなのか64ビットなのかを意識せずに利用できる点がうれしい。OS呼び出しの変換というオーバーヘッドは生じるが、アプリの実行速度にはほとんど影響ないという。  
Windows XP Professional
(32ビット)
Windows XP Professional
x64 Edition(64ビット)
対応CPU数 2個 2個
最大物理メモリー容量 4GB 128GB
仮想メモリー 4GB 16TB
デバイスドライバー 従来の32ビット版 新たに64ビット版が必要
動作する
アプリケーション
16ビット ○(一部を除く) ×
32ビット ○(一部を除く)
64ビット ×