問6 データの分析に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
医薬品メーカであるP社のQ支店は,県内の医療施設を対象にした営業拠点である。Q支店の医薬情報担当者(Medical Representative。以下,MR という)は,担当している医療施設を月に1回以上訪問して,医薬品の情報提供と営業活動を行っているが,売上の増加には結びついていない。そこで,Q支店の総務課では,売上と MR の訪問頻度について,医療施設の規模を考慮に入れた分析を行って,MR の訪問活動に関する問題を調査することになった。図1に,P社の売上実績と訪問実績を管理しているデータベースの構造を示す。売上がなかった場合には,売上表へのデータ登録は行わない。
支店表
支店番号
支店名称
MR 表
MR 番号
MR 氏名
支店番号
医療施設表
医療施設番号
医療施設名称
病床数
MR番号
売上表
医療施設番号
売上年
売上月
売上金額
訪問表
訪問番号
医療施設番号
訪問年
訪問月
訪問日
MR番号
訪問詳細
注 下線は,主キーを表す。
図1 売上実績と訪問実績を管理しているデータベースの構造
設問1 分析に必要なデータの出力に関する次の記述中の に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
総務課のS君は,医療施設の規模の指標として病床数を用いることにし,Q支店が担当している医療施設ごとに,病床数と,2004 年の売上及び訪問回数を出力する手順を,次のように考えた。ここで,Q支店の支店番号は,“110”とする。
(1) 次の SQL 文で得られる結果表を,中間表1とする。
SELECT 医療施設番号, AS 売上合計
FROM 売上表
WHERE 売上年 = '2004'
GROUP BY 医療施設番号
(2) 次の SQL 文で得られる結果表を,中間表2とする。
SELECT 医療施設番号, AS 訪問回数
FROM 訪問表
WHERE 訪問年 = '2004'
GROUP BY 医療施設番号
(3) 次の SQL 文で,2004 年に売上のあった医療施設のデータを出力する。
SELECT 医療施設表.医療施設番号, 医療施設名称, 病床数,
売上合計, 訪問回数
FROM 医療施設表, 中間表1, 中間表2, MR表
WHERE 医療施設表.医療施設番号 = 中間表1.医療施設番号
AND 中間表1.医療施設番号 = 中間表2.医療施設番号
AND 医療施設表.MR番号 = MR表.MR番号
AND 支店番号 = '110'
(4) 次の SQL 文で,2004 年に売上のなかった医療施設のデータを出力する。
SELECT 医療施設表.医療施設番号, 医療施設名称, 病床数,
0 AS 売上合計, 訪問回数
FROM 医療施設表, , MR表
WHERE 医療施設表.医療施設番号 = .医療施設番号
AND .医療施設番号 (SELECT 医療施設番号
FROM )
AND 医療施設表.MR番号 = MR表.MR番号
AND 支店番号 = '110'
a,b に関する解答群
ア COUNT(*) イ COUNT(売上金額)
ウ DISTINCT 訪問詳細 エ MAX(売上金額)
オ SUM(売上金額) カ SUM(訪問日)
c,e に関する解答群
ア 医療施設表 イ 売上表 ウ 中間表1 エ 中間表2
オ 訪問表
d に関する解答群
ア = イ EXISTS ウ IN エ NOT EXISTS
オ NOT IN
設問2 S 君は,出力したデータを基に,売上と MR の訪問頻度について,医療施設の規模を考慮に入れた分析を行って,上司の T さんに報告した。データの分析に関する次の記述中の に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
S 君 「医療施設ごとに,その規模,売上及び MR の訪問頻度の関連を把握するために,図2に示すバブルチャートを作成しました。横軸を医療施設の病床数,縦軸を 2004 年の売上とし,バブルサイズを 2004 年の訪問回数に比例させています。」
図2 S君が作成したバブルチャート
S 君 「医療施設を分類するために,図2のように全体をT〜Wの四つの領域に分割しました。例えば,Tの領域にあるバブルは, 医療施設を表しています。」
T さん 「図2から得られた分析結果を聞かせてくれないか。」
S 君 「まず,MRの訪問活動についてですが,医療施設の規模に応じて適切に行われているようには見えません。規模の大きい医療施設の方が多くの売上が見込めますので,訪問頻度も高めるべきだと考えられます。本来であれば,図2中の の領域に大きなバブルが集中するはずですが,そのようにはなっておりません。」
T さん 「確かにそうだね。 MR の訪問活動を管轄する営業課が,どのような医療施設に重点を置いて訪問活動をすべきか, MRに対して方針を出していないのだろう。営業課に提言することにしよう。」
S 君 「また,本来であれば, ,つまり,図2中の大きなバブルほどTとUの領域に集中するはずですが,そのようにはなっておりません。」
T さん 「その点は,MR の訪問活動の内容に要因がありそうだ。特に,規模が大きく,訪問頻度が高いのに売上の少ない医療施設,つまり,図2中の の領域にある,バブルが大きな医療施設へのMRの訪問活動の内容を見直す必要がある。訪問表の訪問詳細などから,どのような要因があるのか調査してくれないか。」
S 君 「分かりました。」
f に関する解答群
ア 売上が多く,訪問頻度が高い イ 売上が少なく,訪問頻度が低い
ウ 規模が大きく,売上が多い エ 規模が大きく,売上が少ない
オ 規模が大きく,訪問頻度が高い カ 規模が大きく,訪問頻度が低い
キ 規模が小さく,売上が多い ク 規模が小さく,売上が少ない
ケ 規模が小さく,訪問頻度が高い コ 規模が小さく,訪問頻度が低い
g に関する解答群
ア TとU イ TとV ウ UとW エ VとW
h に関する解答群
ア MR の訪問頻度が高い医療施設ほど,売上が多い
イ MR の訪問頻度が低い医療施設ほど,売上が多い
ウ 医療施設の規模が大きいほど,MR の訪問頻度が高い
エ 医療施設の規模が大きいほど,MR の訪問頻度が低い
オ 医療施設の規模が大きいほど,売上が多い
カ 医療施設の規模が小さいほど,売上が多い
i に関する解答群
ア T イ U ウ V エ W
設問3 S 君は,MR の訪問活動の内容に関する調査を行って,T さんに報告した。要因のまとめに関する次の記述中の に入れる適切な字句を,解答群の中から選べ。
S 君 「売上の少ない医療施設への訪問活動について調査し,売上が向上しない要因を図3のようにまとめました。」
(1) MRに関する要因
@ 医療施設の要望を十分にくみ取れていない。
A 医師や薬剤師の立場に立っていない。
B 医師や薬剤師から情報を収集していない。
C 医薬品に関する知識が十分でない。
D 医薬品の情報を正確に伝達できていない。
E 医療全般についての勉強が不足している。
F プレゼンテーション能力が低い。
(2) 訪問活動の内容に関する要因
@ 1回の訪問時間が短い。
A 訪問しても会ってもらえないときがある。
B 医薬品の情報を十分に伝える時間がない。
(以下,省略)
図3 売上が向上しない要因
T さん 「要因を列挙するだけでは,分かりにくいのではないか。」
S 君 「はい。これから対応策を検討する上で,要因の因果関係を整理しておく必要があると考え,図4のような特性要因図を作成しました。この特性要因図は,例えば,図3中の(1)の MR に関する要因のうち, に起因したものであることを表しています。同様に,Cの要因はEの要因に起因したものですし,Dの要因はCや Fの要因に起因したものです。」
図4 S 君が作成した特性要因図(一部)
T さん 「確かに,因果関係を見落としたり取り違えたりすると,誤った対応策を導き出すことになる。要因の内容だけでなく,相互の関連を分析しておくことは大切なことだ。今後は,図3,4を基に,営業課と対応策を検討することにしよう。」
j に関する解答群
ア @の要因はAやBの要因 イ Aの要因は@やBの要因
ウ Bの要因は@やAの要因 エ @とAの要因はBの要因
オ @とBの要因はAの要因 カ AとBの要因は@の要因
k 〜 n に関する解答群
ア 医薬品に関する知識が十分でない
イ 医薬品の情報を正確に伝達できていない
ウ 医療全般についての勉強が不足している
エ プレゼンテーション能力が低い