労働組合Q&A

Q10

会社側の不当労働行為に対して、地方労働委員会に対して不当労働行為救済申立てをしたいのです。
その際、どのような救済が受けられるのですか。

A10
労働委員会の救済命令は、組合および組合員が使用者側から不当労働行為を受けた場合、不当労働行為がなかったと仮定して、その現状を回復させるための措置と考えるべきです。その権限は、かなり広範囲に渡ってはいますが、無制限でもありません。例えば、今回の紛争で精神的打撃を被ったからと、慰謝料を請求しても労働委員会としては、それに関して命令を出せません。これまでの判例から、労働委員会が発することが出来る救済命令としては、次のようなものがあります。
不当労働行為の内容 救済命令の内容
不当な理由で解雇された。 解雇がなかったものとして扱い、現職復帰させる。
またバックペイ(賃金を遡って支払う)を命じる。
不当な配置転換を受けた。 配転命令を撤回し、現職復帰させる。
団体交渉を拒否された。 団体交渉を命じる。
組合活動に不当に介入された。 組合活動に介入することを禁じる。
あらゆる不当労働行為に対して 陳謝文、誓約書の手交を命じる。
あるいは、ポストノーティス(掲示板)を命じる。
不当に賃金カットされた。 差額に対してパックペイを命じる。
会社が偽装倒産して全員が解雇され、新会社が結成されたが組合員だけが再雇用されなかった。 再雇用を命じる。
組合員が不当に昇格させられなかった。 昇格があったものとして扱い、バックペイを命じる。
組合員のみが理由もなく一時金の査定を著しく低く評価された。 組合員に対して一時金の査定を平均まで引き上げたのものとして差額を支払うことを命じる。
会社側が、ガードマンを雇い警備課を新設し、組合活動を規制し暴力事件を引き起こした。 ガードマンを会社内から排除することを命じた。
 
注意事項
救済申立ての際には、必ず求める救済請求を明記しておかなくてはなりません。
原則として、申立人側が求める救済請求以外の救済は行われないと考えるべきです。
また、実現不可能な救済、既に救済利益が失われた場合には、棄却されますので注意が必要です。
また、不当労働行為があったことは認めても、既に不当労働行為が発生してから1年以上が経過すると除斥期間が過ぎたことになって、やはり却下されてしまいます。
また、救済申し立てを行うには、同時に資格審査が必要となります。
これは、労働組合法の規定に基づいた自主的な組合であることを証明するもので、この審査に通らないと、救済申立てが却下されてしまいます。