第1章 総 則 |
第1条(目的)この法律は、短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性にかんがみ、短時間労働者について、その適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善に関する措置、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図ることを目的とする。 |
第2条(定義) この法律において「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(当該事業所に雇用される通常の労働者と同種の業務に従事する当該事業所に雇用される労働者にあつては、厚生労働省令で定める場合を除き、当該労働者と同種の業務に従事する当該通常の労働者)の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。 |
第3条(事業主等の責務) 事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び教育訓練の実施、福利厚生の充実その他の雇用管理の改善(以下「雇用管理の改善等」という。)を図るために必要な措置を講ずることにより、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする。 |
2 事業主の団体は、その構成員である事業主の雇用する短時間労働者の雇用管理の改善等に関し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めるものとする。 |
第4条(国及び地方公共団体の責務) 国は、短時間労働者の雇用管理の改善等について事業主その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつその実情に応じてこれらの者に対し必要な指導、援助等を行うとともに、短時間労働者の能力の有効な発揮を妨げている諸要因の解消を図るために必要な広報その他の啓発活動を行うほか、その職業能力の開発及び向上等を図る等、短時間労働者の雇用管理の改善等の促進その他その福祉の増進を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めるものとする。 |
2 地方公共団体は、前項の国の施策と相まって、短時間労働者の福祉の増進を図るために必要な施策を推進するように努めるものとする。 |
第2章 短時間労働者対策基本方針 |
第5条 厚生労働大臣は、短時間労働者の福祉の増進を図るため、短時間労働者の雇用管理の改善等の促進、職業能力の開発及び向上等に関する施策の基本となるべき方針(以下この条において「短時間労働者対策基本方針」という。)を定めるものとする。 |
2 短時間労働者対策基本方針に定める事項は、次のとおりとする。
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3 短時間労働者対策基本方針は、短時間労働者の労働条件、意識及び就業の実態等を考慮して定められなければならない。 |
4 厚生労働大臣は、短時間労働者対策基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。 |
5 厚生労働大臣は、短時間労働者対策基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。 |
6 前2項の規定は、短時間労働者対策基本方針の変更について準用する。 |
第3章 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等 |
第1節 雇用管理の改善等に関する措置 |
第6条(労働条件に関する文書の交付) 事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、当該短時間労働者に対して、労働時間その他の労働条件に関する事項(労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項に規定する命令で定める事項を除く。)を明らかにした文書を交付するように努めるものとする。 |
第7条(就業規則の作成の手続) 事業主は、短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする。 |
第8条(指針) 厚生労働大臣は、前2条に定めるもののほか、第3条第1項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(以下この節において「指針」という。)を定めるものとする。 |
2 第5条第3項から第5項までの規定は指針の策定について、同条第4項及び第5項の規定は指針の変更について準用する。 |
第9条(短時間雇用管理者) 事業主は、常時厚生労働省令で定める数以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、指針に定める事項その他の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項を管理させるため、短時間雇用管理者を選任するように努めるものとする。 |
第10条(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告) 厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等を図るため必要があると認めるときは、短時間労働者を雇用する事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。 |
第2節 職業能力の開発及び向上等に関する措置 |
第11条(職業訓練の実施等) 国、都道府県及び雇用・能力開発機構は、短時間労働者及び短時間労働者になろうとする者がその職業能力の開発及び向上を図ることを促進するため、短時間労働者、短時間労働者になろうとする者その他関係者に対して職業能力の開発及び向上に関する啓もう宣伝を行うように努めるとともに、職業訓練の実施について特別の配慮をするものとする。 |
第12条(職業紹介の充実等) 国は、短時間労働者になろうとする者がその適性、能力、経験、技能の程度等にふさわしい職業を選択し、及び職業に適応することを容易にするため、雇用情報の提供、職業指導及び職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めるものとする。 |
第4章 短時間労働援助センター |
第13条(指定等) 厚生労働大臣は、短時間労働者の雇用管理の改善等の援助を行うことその他短時間労働者の福祉の増進を図ることを目的として設立された民法(明治29年法律第89号)第34条の法人であつて、第15条に規定する業務に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限つて、同条に規定する業務を行う者として指定することができる。
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2 厚生労働大臣は、前項の規定による指定をしたときは、同項の規定による指定を受けた者(以下「短時間労働援助センター」という。)の名称及び住所並びに事務所の所在地を公示しなければならない。 |
3 短時間労働援助センターは、その名称及び住所並びに事務所の所在地を変更しようとするときは、あらかじめ、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。 |
4 厚生労働大臣は、前項の規定による届出があつたときは、当該届出に係る事項を公示しなければならない。 |
第14条(指定の条件) 前条第1項の規定による指定には、条件を付け、及びこれを変更することができる。 |
2 前項の条件は、当該指定に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該指定を受ける者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。 |
第15条(業務) 短時間労働援助センターは、次に掲げる業務を行うものとする。
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第16条(短時間労働援助センターによる短時間労働者福祉事業関係業務の実施) 厚生労働大臣は、短時間労働援助センターを指定したときは、短時間労働援助センターに労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)第29条の労働福祉事業又は雇用保険法(昭和49年法律第116号)第64条の雇用福祉事業のうち次の各号のいずれかに該当するものに係る業務の全部又は一部を行わせるものとする。
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2 前項第1号の給付金に該当する労働者災害補償保険法第29条又は雇用保険法第64条の規定に基づく給付金の支給要件及び支給額は、厚生労働省令で定めなければならない。 |
3 短時間労働援助センターは、第1項に規定する業務(以下「短時間労働者福祉事業関係業務」という。)の全部又は一部を開始する際、当該業務の種類ごとに、当該業務を開始する日及び当該業務を行う事務所の所在地を厚生労働大臣に届け出なければならない。短時間労働援助センターが当該業務を行う事務所の所在地を変更しようとするときも、同様とする。 |
4 厚生労働大臣は、第1項の規定により短時間労働援助センターに行わせる短時間労働者福祉事業関係業務の種類及び前項の規定による届出に係る事項を公示しなければならない。 |
第17条(業務規程の認可) 短時間労働援助センターは、短時間労働者福祉事業関係業務を行うときは、当該業務の開始前に、当該業務の実施に関する規程(以下「業務規程」という。)を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 |
2 厚生労働大臣は、前項の認可をした業務規程が短時間労働者福祉事業関係業務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、その業務規程を変更すべきことを命ずることができる。 |
3 業務規程に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。 |
第18条(短時間労働者福祉事業関係給付金の支給に係る厚生労働大臣の認可) 短時間労働援助センターは、短時間労働者福祉事業関係業務のうち第16条第1項第1号に係る業務(次条及び第25条において「給付金業務」という。)を行う場合において、自ら第16条第2項に規定する労働者災害補償保険法第23条又は雇用保険法第64条の規定に基づく給付金の支給を受けようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 |
第19条(報告) 短時間労働援助センターは、給付金業務を行う場合において当該業務に関し必要があると認めるときは、事業主に対し、必要な事項について報告を求めることができる。 |
第20条(事業計画等) 短時間労働援助センターは、毎事業年度、厚生労働省令で定めるところにより、事業計画書及び収支予算事を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。 |
2 短時間労働援助センターは、厚生労働省令で定めるところにより、毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。 |
第21条(区分経理) 短時間労働援助センターは、短時間労働者福祉事業関係業務を行う場合には、短時間労働者福祉事業関係業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して整理しなければならない。 |
第22条(交付金) 国は、予算の範囲内において、短時間労働援助センターに対し、短時間労働者福祉事業関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができる。 |
第23条(厚生労働省令への委任) この章に定めるもののほか、短時間労働援助センターが短時間労働者福祉事業関係業務を行う場合における短時間労働援助センターの財務及び会計に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。 |
第24条(役員の選任及び解任) 短時間労働援助センターの役員の選任及び解任は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。 |
2 短時間労働援助センターの役員が、この章の規定(当該規定に基づく命令及び処分を含む。)若しくは第17条第1項の規定により認可を受けた業務規程に違反する行為をしたとき、又は第15条に規定する業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、厚生労働大臣は、短時間労働援助センターに対し、その役員を解任すべきことを命ずることができる。 |
第25条(役員及び職員の公務員たる性質) 給付金業務に従事する短時間労働援助センターの役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。 |
第26条(報告及び検査) 厚生労働大臣は、第15条に規定する業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、短時間労働援助センターに対し、同条に規定する業務若しくは資産の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、短時間労働援助センターの事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。 |
2 前項の規定による立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。 |
3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。 |
第27条(監督命令) 厚生労働大臣は、この章の規定を施行するために必要な限度において、短時間労働援助センターに対し、第15条に規定する業務に関し監督上必要な命令をすることができる。 |
第28条(指定の取消し等) 厚生労働大臣は、短時間労働援助センターが次の各号のいずれかに該当するときは、第13条第1項の規定による指定(以下「指定」という。)を取り消し、又は期間を定めて第15条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
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2 厚生労働大臣は、前項の規定により、指定を取り消し、又は第15条に規定する業務の全部若しくは一部の停止を命じたときは、その旨を公示しなければならない。 |
第29条(厚生労働大臣による短時間労働者福祉事業関係業務の実施) 厚生労働大臣は、前条第1項の規定により、指定を取り消し、若しくは短時間労働者福祉事業関係業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は短時間労働援助センターが短時間労働者福祉事業関係業務を行うことが困難となつた場合において必要があると認めるときは、当該短時間労働者福祉事業関係業務を自ら行うものとする。 |
2 厚生労働大臣は、前項の規定により短時間労働者福祉事業関係業務を行うものとし、又は同項の規定により行っている短時間労働者福祉事業関係業務を行わないものとするときは、あらかじめ、その旨を公示しなければならない。 |
3 厚生労働大臣が、第1項の規定により短時間労働者福祉事業関係業務を行うものとし、又は同項の規定により行っている短時間労働者福祉事業関係業務を行わないものとする場合における当該短時間労働者福祉事業関係業務の引継ぎその他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。 |
第30条 削除 |
第5章 雑 則 |