国営企業労働関係法 |
(昭和二十三年十二月二十日法律第二百五十七号) |
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第一章 総則 |
(目的及び関係者の義務) |
第一条 この法律は、国営企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的かつ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによつて、国営企業の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し、擁護すること を目的とする。 |
(2)国家の経済と国民の福祉に対する国営企業の重要性にかんがみ、この法律で
定める手続に関与する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、かつ、主張
の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を尽くさなければならな い。 |
(定義) |
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるとこ
ろによる。 |
一 国営企業次に掲げる事業(これに附帯する事業を含む。)を行う国の経営する企業をいう。 |
イ 郵便、郵便貯金、郵便為替、郵便振替及び簡易生命保険の事業(これらの事業を行う官署が行う、日本電信電話株式会社、国際電信電話株式会社及
び日本放送協会から委託された業務、国民貯蓄債券の売りさばき、償還及び買上げ並びにその割増金の支払に関する業務、印紙の売りさばきに関す
る業務、年金及び恩給の支給その他国庫金の受入れ払渡しに関する業務、 国債、地方債又は政府が元本の償還及び利息の支払について保証している
社債その他の債券の募集の取扱い、証券の保護預り及び元利金の支払に関 する業務並びに本邦通貨と外国通貨の両替並びに本邦通貨を対価とする旅
行小切手の受託販売及び買取りに関する業務を含む。) |
ロ 国有林野事業(国有林野事業特別会計において事務を取り扱う治山事業を 含む。) |
ハ 日本銀行券、紙幣、国債、印紙、郵便切手、郵便はがき等の印刷の事業 (これに必要な用紙類の製造並びに官報、法令全書等の編集、製造及び発行の事業を含む。) |
ニ 造幣事業(章はい等の製造の事業を含む。) |
二 職員国営企業に勤務する一般職に属する国家公務員をいう。 |
(労働組合法との関係等) |
第三条 職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定めのないものについては、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号) (第五条第二項第八号、第七条第一号ただし書、第八条、第十八条、第二十七条 第九項中段及び後段、第二十八条、第三十一条並びに第三十二条の規定を除 く。)の定めるところによる。この場合において、同法第六条中「労働組合の代 表者又は労働組合の委任を受けた者」とあり、及び同法第七条第二号中「使用者 が雇用する労働者の代表者」とあるのは「労働組合を代表する交渉委員」と、同 条第四号中「労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の 調整」とあるのは「国営企業労働関係法による紛争の調整」と読み替えるものと する。 |
(2)中央労働委員会(以下「委員会」という。)は、職員に関する労働関係について労働組合法第二十四条第一項に規定する処分をする場合には、会長及び第二十五条の規定に基づき公益を代表する委員のうちから会長があらかじめ指名した四人の委員全員により構成する審査委員会を設けてその処分を行わせ、当該審査委員会のした処分をもつて委員会の処分とすることができる。ただし、事件が重要と認められる場合その他審査委員会が処分することが適当でないと認められる場合は、この限りでない。 |
(3)前項の審査委員会に関する事項その他同項の適用に関し必要な事項は、政令 |
で定める。 |
第二章 労働組合 |
(職員の団結権) |
第四条 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。 |
(2)委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。 |
(3)前項の規定による委員会の事務の処理には、委員会の公益を代表する委員の |
みが参与する。 |
(4)前条第二項及び第三項の規定は、前項に規定する事務の処理について準用す |
る。 |
第五条 削除 |
第六条 削除 |
(組合のための職員の行為の制限) |
第七条 職員は、組合の業務に専ら従事することができない。ただし、国営企業の許可を受けて、組合の役員として専ら従事する場合は、この限りでない。(2)前項ただし書の許可は、国営企業が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、国営企業はその許可の有効期間を定めるものとする。 |
(3)第一項ただし書の規定により組合の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(その職員が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の六第一項ただし書の規定により職員団体の業務に専ら従事したことがある者であるときは、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない。 |
(4)第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が、組合の役員として当該組合の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。 |
(5)第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されないものとする。 |
第三章 団体交渉等 |
(団体交渉の範囲) |
第八条 第十一条及び第十二条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。ただし、国営企業の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。 |
一 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項 |
二 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項 |
三 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項 |
四 前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項 |
(交渉委員等) |
第九条 国営企業の組合との団体交渉は、専ら、国営企業を代表する交渉委員と組合を代表する交渉委員とにより行う。 |
第十条 国営企業を代表する交渉委員は当該国営企業が、組合を代表する交渉委員は当該組合が指名する。 |
(2)国営企業及び組合は、交渉委員を指名したときは、その名簿を相手方に提示しなければならない。 |
第十一条 前二条に定めるもののほか、交渉委員の数、交渉委員の任期その他団体交渉の手続に関し必要な事項は、団体交渉で定める。 |
(苦情処理) |
第十二条 国営企業及び組合は、職員の苦情を適当に解決するため、国営企業を代表する者及び職員を代表する者各同数をもつて構成する苦情処理共同調整会議を設けなければならない。 |
(2)苦情処理共同調整会議の組織その他苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。 |
第十三条 削除 |
第十四条 削除 |
第十五条 削除 |
(資金の追加支出に対する国会の承認の要件) |
第十六条 国営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。また、国会によつて所定の行為がされるまでは、そのような協定に基づいていかなる資金といえども支出してはならない。 |
(2)前項の協定をしたときは、政府は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを国会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、国会が閉会中のときは、国会召集後五日以内に付議しなければならない。国会による承認があつたときは、この協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。 |
第四章 争議行為 |
(争議行為の禁止) |
第十七条職員及び組合は、国営企業に対して同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。 |
(2)国営企業は、作業所閉鎖をしてはならない。 |
(第十七条に違反した職員の身分) |
第十八条 前条の規定に違反する行為をした職員は、解雇されるものとする。 |
(不当労働行為の申立て等) |
第十九条 前条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てがあつた場合において、当該申立てが当該解雇がされた日から二月を経過した後にされたものであるときは、委員会は、同条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない。 |
(2)前条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てを受けたときは、委員会は、当該申立ての日から二月以内に同条第四項の命令を発するようにしなければならない。 |
第五章 削除 |
(削除) |
第二十条 削除 |
(削除) |
第二十一条 削除 |
(削除) |
第二十二条 削除 |
(削除) |
第二十三条 削除 |
(削除) |
第二十四条 削除 |
第六章 あつせん、調停及び仲裁 |
(国営企業担当委員) |
第二十五条 委員会が次条第一項、第二十七条第三号及び第四号並びに第三十三条第四号の委員会の決議、次条第二項及び第二十九条第四項の委員会の同意その他政令で定める委員会の事務を処理する場合には、これらの事務の処理には、公益を代表する委員のうち会長があらかじめ指名する四人の委員及び会長(次条第二項、第二十九条第二項及び第三十四条第二項において「国営企業担当公益委員」という。)、労働組合法第十九条の三第二項に規定する国営企業の推薦に基づき任命された同項に規定する四人の委員(次条第二項及び第二十九条第二項において「国営企業担当使用者委員」という。)並びに同法第十九条の三第二項に規定する国営企業職員が結成し、又は加入する労働組合の推薦に基づき任命された同項に規定する四人の委員(次条第二項及び第二十九条第二項において「国営企業担当労働者委員」という。)のみが参与する。この場合において、委員会の事務の処理に関し必要な事項は、政令で定める。 |
(あつせん) |
第二十六条 委員会は、国営企業とその職員との間に発生した紛争について、関係当事者の双方若しくは一方の申請又は委員会の決議により、あつせんを行うことができる。 |
(2)前項のあつせんは、委員会の会長が国営企業担当公益委員、国営企業担当使用者委員若しくは国営企業担当労働者委員若しくは第二十九条第四項の調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから指名するあつせん員又は委員会の同意を得て委員会の会長が委嘱するあつせん員によつて行う。 |
(3)労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において中央労働委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず、同条第一項に規定する地方調整委員のうちから、あつせん員を指名する。ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちからあつせん員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。 |
(4)あつせん員(委員会の委員又は労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方調整委員である者を除く。次項において同じ。)は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。 |
(5)あつせん員又はあつせん員であつた者は、その職務に関して知ることができた秘密を漏らしてはならない。 |
(6)労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)第十三条及び第十四条の規定は、第一項のあつせんについて準用する。 |
(調停の開始) |
第二十七条 委員会は、次の場合に調停を行う。 |
一 関係当事者の双方が委員会に調停の申請をしたとき。 |
二 関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に調停の申請をしたとき。 |
三 関係当事者の一方の申請により、委員会が調停を行う必要があると決議したとき。 |
四 委員会が職権に基き、調停を行う必要があると決議したとき。 |
五 主務大臣が委員会に調停の請求をしたとき。 |
(委員会による調停) |
第二十八条 委員会による調停は、当該事件について設ける調停委員会によつて行う。 |
(調停委員会) |
第二十九条 調停委員会は、公益を代表する調停委員、国営企業を代表する調停委員及び職員を代表する調停委員各三人以内で組織する。ただし、国営企業を代表する調停委員と職員を代表する調停委員とは、同数でなければならない。 |
(2)公益を代表する調停委員は国営企業担当公益委員のうちから、国営企業を代表する調停委員は国営企業担当使用者委員のうちから、職員を代表する調停委員は国営企業担当労働者委員のうちから、委員会の会長が指名する |
(3)労働組合法第十九条の十第一項に規定する地方において中央労働委員会が処理すべき事件として政令で定めるものについては、委員会の会長は、前項の規定にかかわらず、同条第一項に規定する地方調整委員のうちから、調停委員を指名する。ただし、委員会の会長が当該地方調整委員のうちから調停委員を指名することが適当でないと認める場合は、この限りでない。 |
(4)委員会の会長は、必要があると認めるときは、前二項の規定にかかわらず、労働大臣があらかじめ委員会の同意を得て作成した調停委員候補者名簿に記載されている者のうちから、調停委員を委嘱することができる。 |
(5)前項の規定による調停委員は、政令で定めるところにより、報酬及びその職務を行うために要する費用の弁償を受けることができる。 |
(削除) |
第三十条 削除 |
(報告及び指示) |
第三十一条 委員会は、調停委員会に、その行う事務に関し報告をさせ、又は必要な指示をすることができる。 |
(調停に関する準用規定) |
第三十二条 労働関係調整法第二十二条から第二十五条まで、第二十六条第一項から第三項まで及び第四十三条の規定は、調停委員会及び調停について準用する。 |
(仲裁の開始) |
第三十三条 委員会は、次の場合に仲裁を行う。 |
一 関係当事者の双方が委員会に仲裁の申請をしたとき。 |
二 関係当事者の一方が労働協約の定に基いて委員会に仲裁の申請をしたとき。 |
三 委員会があつせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお紛争が解決しない場合において、関係当事者の一方が委員会に仲裁の申請をしたとき。 |
四 委員会が、あつせん又は調停を行つている事件について、仲裁を行う必要があると決議したとき。 |
五 主務大臣が委員会に仲裁の請求をしたとき。 |
(仲裁委員会) |
第三十四条 委員会による仲裁は、当該事件について設ける仲裁委員会によつて行う。 |
(2)仲裁委員会は、国営企業担当公益委員の全員をもつて充てる仲裁委員又は委員会の会長が国営企業担当公益委員のうちから指名する三人の仲裁委員で組織する。 |
(3)労働関係調整法第三十一条の三から第三十四条まで及び第四十三条の規定は、仲裁委員会、仲裁及び裁定について準用する。この場合において、第三十一条の四中「仲裁委員二人以上」とあるのは「仲裁委員の過半数」と、第三十一条の五中「委員又は特別調整委員」とあるのは「委員」と読み替えるものとする。 |
(委員会の裁定) |
第三十五条 委員会の裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならず、また、政府は、当該裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、国営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする裁定については、第十六条の定めるところによる。 |
第三十六条 削除 |
第三十七条 削除 |
第七章 雑則 |
(行政権限) |
第三十八条 この法律に特別の定のあるものを除き、この法律の運用及び施行は、労働省がつかさどるものとする。 |
(2)労働大臣は、この法律の規定によりその権限に属する事務(調停及び仲裁に係るものを除く。)であつて一都道府県に係るものの一部を当該都道府県の都道府県知事に行わせることができる。 |
第三十九条 第二十七条第五号及び第三十三条第五号に規定する主務大臣は、労働大臣並びに郵政大臣(第二条第一号イの企業に関するものに限る。)、農林水産大臣(同号ロの企業に関するものに限る。)及び大蔵大臣(同号ハ及びニの企業に関するものに限る。)とする。 |
(他の法律の適用除外) |
第四十条 次に掲げる法律の規定は、職員については、適用しない。 |
一 国家公務員法第三条第二項から第四項まで、第十七条、第十九条、第二十条、第二十二条、第二十三条、第七十一条、第七十三条、第七十七条、第八十四条第二項、第八十六条から第八十八条まで、第九十六条第二項、第九十八条第二項及び第三項、第百条第四項、第百八条の二から第百八条の七まで並びに附則第十六条の規定 |
二 国家公務員法の一部を改正する法律(昭和二十三年法律第二百二十二号)附則第三条の規定 |
(2)前項の規定は、職員に関し、その職務と責任の特殊性に基づいて、国家公務員法附則第十三条に定める同法の特例を定めたものである。 |
(3)国営企業及び職員に係る処分であつて第三条第一項の規定により読み替えられた労働組合法第七条各号に該当するものについては、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。 |
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