A4.天王星の衛星は全部で27個存在します。
このうち五つは比較的大きく,地球からの観測でも発見されていました。
残りの衛星は,ボイジャー探査機の接近によってはじめてみつかった,半径20〜80キロ程度の小さな衛星です。
これらの衛星の中でとくに話題を集めたのは,5大衛星のうち最も内側をまわるミランダです。
右の写真でもわかるように、半径わずか250キロ程度のこの小さな衛星ミランダの表面に,まるで何かでひっかいたような巨大な地形や,深さ20キロに達する溝がみつかりました。
このような地形は,過去にミランダが破壊されたあと再度集積するという過程を,何度かくりかえした跡だという説もあるが,まだその原因はわかっていません。
ほかの5大衛星はいずれも表面がクレーターにおおわれた氷衛星で,マイナス200℃の凍りついた死の世界のように思われます。
しかし,直径が約1600キロと天王星の衛星中最大のティタニアの表面にはクレーターが比較的少なく,地質学的に比較的最近何かの活動があったのではないかと考えられます。それを裏づけるかのように,東西に走る長さ1500キロ以上の断層谷が発見されました。
しかしティタニアがどのような歴史をたどってきたのか,そしてほかの衛星がどのように進化してきたのか,ボイジャー探査機の調査によってもまだほんとうの素性は解明されていません。
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天王星の衛星ミランダ |
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天王星の衛星の基本データ
衛星名 |
直径
(km) |
質量
(kg) |
平均軌道半径
(km) |
公転周期
(日) |
発見者 |
発見年 |
コーディリア |
40±6 |
4.5×1016 |
49,770 |
0.335034 |
ボイジャー2号 |
1986 |
オフィーリア |
43±8 |
5.4×1016 |
53,790 |
0.3764 |
ボイジャー2号 |
1986 |
ビアンカ |
51±4 |
9.3×1016 |
59,170 |
0.434579 |
ボイジャー2号 |
1986 |
クレシダ |
80±4 |
3.43×1017 |
61,780 |
0.46357 |
ボイジャー2号 |
1986 |
デスデモナ |
64±8 |
1.78×1017 |
62,680 |
0.47365 |
ボイジャー2号 |
1986 |
ジュリエット |
94±8 |
5.57×1017 |
64,350 |
0.493065 |
ボイジャー2号 |
1986 |
ポーシャ |
135±8 |
1.68×1018 |
66,090 |
0.513196 |
ボイジャー2号 |
1986 |
ロザリンド |
72±12 |
2.54×1017 |
69,940 |
0.55846 |
ボイジャー2号 |
1986 |
キューピッド |
<17.8 |
3.8×1015 |
74,800 |
0.618 |
ハッブル宇宙望遠鏡 |
2003 |
ベリンダ |
81±16 |
3.57×1017 |
75,260 |
0.623527 |
ボイジャー2号 |
1986 |
ペルディータ |
<26.6 |
1.3×1016 |
76,420 |
0.638 |
Karkoschka |
1999 |
パック |
162±4 |
2.89×1018 |
86,010 |
0.761833 |
ボイジャー2号 |
1985 |
マブ |
<24.8 |
1.0×1016 |
97,734 |
0.923 |
ハッブル宇宙望遠鏡 |
2003 |
ミランダ |
471.6±1.4 |
(6.6±0.7)×1019 |
129,390 |
1.413479 |
カイパー |
1948 |
アリエル |
1157.8±1.2 |
(1.35±0.12)×1021 |
191,020 |
2.520379 |
ラッセル |
1851 |
ウンブリエル |
1169.4±5.6 |
(1.17±0.13)×1021 |
266,300 |
4.144177 |
ラッセル |
1851 |
チタニア |
1577.8±3.6 |
(3.53±0.09)×1021 |
435,910 |
8.705872 |
ハーシェル |
1787 |
オベロン |
1522.8±5.2 |
(3.01±0.07)×1021 |
583,520 |
13.463239 |
ハーシェル |
1787 |
フランシスコ |
<12 |
1.3×1015 |
4,276,000 |
-266.6 |
カベラーズ・グラッドマン |
2001 |
キャリバン |
<98 |
7.3×1017 |
7,231,000 |
-579.7 |
グラッドマン |
1997 |
ステファノー |
<20 |
6×1015 |
8,004,000 |
-677.4 |
カベラーズ |
1999 |
トリンキュロー |
<10 |
7.5×1014 |
8,504,000 |
-759 |
ホルマン |
2001 |
シコラクス |
<190 |
5.4×1018 |
12,179,000 |
-1288.3 |
ニコルソン |
1997 |
マーガレット |
<11 |
1.3×1015 |
14,345,000 |
1694.8 |
シェパード |
2003 |
プロスペロー |
<30 |
2.1×1016 |
16,256,000 |
-1977.3 |
グラッドマン |
1999 |
セティボス |
<30 |
2.1×1016 |
17,418,000 |
-2234.8 |
カベラーズ |
1999 |
ファーディナンド |
<12 |
1.3×1015 |
20,901,000 |
-2823.4 |
ホルマン |
2001 |
注 公転周期が負の値の衛星は、逆行衛星である
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