Q1.銀河系内にある星雲・星団にはどんな種類のものがありますか |
A1.銀河系内にある星団・星雲には次の種類のものがあります。
@ 散開星団
A 球状星団
B 散光星雲
C 惑星状星雲 の4種類です。
このうち、主に恒星で構成されているのが@の散開星団とAの球状星団です。
Bの散光星雲とCの惑星状星雲は、主にガスで構成されていますが、恒星も含まれています。
ただし、単一の星団ではなく、散開星団が散光星雲をともなうようなケースもあります。
それぞれの星雲・星団に関する詳細は、それぞれの項目を参照してください。 |
Q2.散開星団とは、どんな星団ですか。 |
A2.散開星団とは、比較的新しい恒星が密集した星団です。
星数、密集度とも球状星団よりははるかに小さいのが特徴です。
球状星団は、1万個以上の恒星で構成されているのに対して、散開星団は、数十個から数百個程度です。
現在、400個程度の散開星団が知られています。
右の写真のように、M45プレアデス星団などは、肉眼でもはっきりと確認できる美しい星団です。
小望遠鏡でも、十分に対象になる明るい星団も多く、楽しめます。
小望遠鏡で観望する場合は、あまり倍率を上げない方がいいでしょう。
M45の中には、散光星雲もありますが、これはガス星雲が近くの恒星の光を受けて、光っているのであって自分で光っているわけではありません。
下表は、主な散開星団を一覧にしたものです。
分類は、cが最もまばらで、gが最も密集したものとなります。
散開星団名 |
所属 |
光度 |
星数 |
分類 |
M44プレセペ |
かに座 |
3.7 |
75 |
d |
M45プレアデス星団 |
おうし座 |
1.4 |
130 |
e |
M67 |
かに座 |
6.1 |
65 |
f |
NGC2264 |
いっかくじゅう座 |
4.7 |
20 |
c |
二重星団h−χ |
ペルセウス座 |
4.4 |
350 |
f |
M7 |
さそり座 |
3.2 |
50 |
e |
M34 |
ペルセウス座 |
5.5 |
60 |
d |
M35 |
ふたご座 |
5.3 |
120 |
e |
M41 |
おおいぬ座 |
4.6 |
50 |
e |
M46 |
とも座 |
6.0 |
150 |
f |
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M45プレアデス星団 |
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Q3.球状星団とは、どんな星団ですか。 |
A3.球状星団とは、非常に多数の恒星が球状に密集した星団です。
球状星団は、銀河中心の周辺に分布していて、たいへん古い恒星だけで構成されています。
どうして球状星団ができたのかは、よくわかっていません。
しかしアンドロメダ大星雲にも同様に観測されているので、特に珍しい天体ではなく普遍的に存在する星団です。
中には、比較的まばらで一見散開星団に見えるものもありますが、球状星団は高銀緯にあることと、星団型変光星を含むことから区別できます。
球状星団までの距離は、その中に含まれる星団型変光星の変光周期と見かけの光度を観測することで決定できます。
下の表は、主な球状星団の一覧です。
分類は、Tが最も密集し、XUが最も密集度が低い。
球状星団名 |
所属 |
眼視等級 |
視直径 |
分類 |
M3 |
りょうけん座 |
6.4 |
19.0 |
Y |
M4 |
さそり座 |
6.4 |
23.0 |
\ |
M10 |
へびつかい座 |
6.7 |
8.2 |
Z |
M12 |
へびつかい座 |
6.6 |
9.3 |
\ |
M15 |
ペガスス座 |
6.0 |
12.0 |
W |
M22 |
いて座 |
5.9 |
17.3 |
Z |
ω星団 |
ケンタウルス座 |
3.7 |
65.0 |
[ |
M5 |
へび座 |
6.2 |
20.0 |
X |
M13 |
ヘルクレス座 |
5.7 |
23.0 |
X |
NGC6397 |
さいだん座 |
6.9 |
19.0 |
V |
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球状星団M3 |
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Q4.散光星雲とは、どんな星雲ですか。 |
A4.散光星雲とは、星間雲がある程度濃くなった領域で、近くにある恒星に照らされて、光を出している星雲である。
代表的な散光星雲が、有名なオリオン大星雲である。
これらの星雲は、ちょうど恒星が誕生してくる領域と一致する場合が多く、新しい恒星が生まれる場所となると考えてよい。
また既に恒星が生まれていても、M45のように散光星雲をともなう散開星団もある。
なかには、可視光線を出さないので眼視では確認できないが、写真で撮影するときれいに映るというHU領域の散光星雲も存在する。
有名なところでは、やはりオリオン座にあるバーナードループである。
また、いわゆる暗黒星雲も存在するが、これは散光星雲と基本的には同じ星間雲ではあるが自分では光らないので、暗黒星雲になるわけです。
しかし散光星雲に暗黒星雲をともなう場合は暗黒星雲の存在が確認できるわけです。
実例としては、いて座の三裂星雲やオリオン座の馬頭星雲など、散光星雲の手前に暗黒星雲があるので、暗黒星雲が観測できるわけです。
暗黒星雲は、銀河でも多数観測できます。
オリオン座は、HU領域のガス星雲におおわれていて、あちこちに散光星雲が存在します。
散光星雲は、双眼鏡で観望するか、写真撮影するのがいいでしょう。
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M42オリオン大星雲 |
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オリオン大星雲は、星雲・星団の中でも最も美しいものであり、東の横綱です。内部には、トラペジウムの4重星があり、これがこの星雲を照らしているのです。双眼鏡で低倍率で観望してみてください。 鏡 |
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散光星雲名 |
所属 |
視直径 |
スペクトル |
肉眼 |
M8ラグーン星雲 |
いて座 |
60×35 |
e |
○ |
M16 |
へび座 |
35×28 |
e |
○ |
M17オメガ星雲 |
いて座 |
46×37 |
e |
○ |
M20三裂星雲 |
いて座 |
29×27 |
e |
○ |
M42オリオン大星雲 |
オリオン座 |
66×60 |
ce |
○ |
バラ星雲 |
いっかくじゅう座 |
64×61 |
e |
○ |
馬頭星雲 |
オリオン座 |
60×10 |
ce |
○ |
北アメリカ星雲 |
はくちょう座 |
120×100 |
ce |
○ |
網状星雲 |
はくちょう座 |
78×8 |
e |
× |
バーナードループ |
オリオン座 |
540×60 |
e |
× |
ペリカン星雲 |
はくちょう座 |
85×75 |
ce |
× |
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Q5.惑星状星雲とはどんな星雲ですか。 |
A5.惑星状星雲は、恒星の進化が最終段階に達して赤色超巨星となり、爆発して超新星となりガスを拡散する、あるいは赤色巨星となり爆発せずにそのままガスを拡散して白色矮星を残すかした形跡です。
散光星雲が、恒星の誕生する前段階なのに対して、惑星状星雲は恒星の最期の姿なのです。
超新星となって爆発したものの代表がM1かに星雲です。
また赤色巨星となりガスを拡散したものの代表がM57リング星雲です。
かに星雲のように超新星となって爆発したものは、中心部に中性子星を持ち、一定の周期で電波を放射することがあり、これをパルサーと呼びます。かに星雲のなかからも、電波が放射されています。
M57の場合は、ガス雲がリング状に拡散している姿が小望遠鏡でもはっきり確認できます。
この手の惑星状星雲は、中心部に白色矮星を持っているのですが、白色矮星は暗いので小口径では観測できません。
あと、有名なところではこぎつね座のM27亜鈴状星雲などが小口径でも楽しめる対象です。
小望遠鏡で観測する場合は、倍率を上げた方が楽しめます。
惑星状星雲名 |
所属 |
視直径 |
光度 |
M1かに星雲 |
おうし座 |
360×240 |
8.4 |
M27亜鈴状星雲 |
こぎつね座 |
480×240 |
7.6 |
M57リング星雲 |
こと座 |
83×59 |
9.3 |
NGC6781 |
わし座 |
200×200 |
11.6 |
NGC7293 |
みずがめ座 |
990×720 |
6.5 |
木星状星雲 |
うみへび座 |
40×35 |
9.0 |
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M1かに星雲 |
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Q6.最近誕生した惑星状星雲があるというのは本当ですか? |
A6.本当です。輝きだしてから20年に満たない誕生直後の惑星状星雲スティングレー星雲のことです。 |
さいだん座にあるスティングレー星雲は、地球から1万8千光年の距離にあります。
アカエイに似ているのでこの名がついたスティングレー星雲は、誕生したばかりなので標準的な惑星状星雲の10分の1の大きさしかありません。
今回のスティングレー星雲は、実は20年前にはまだガスが発光するほどには熱くなかったのですが、急激に広がり光を放ちだしたわけです。
従来の理論では惑星状星雲の発達はもっとゆっくりしたもので、中心の白色矮星がこれほど急激に高温になるということは、これまで予想されていなかったのです。
このように予想外に惑星状星雲が急激に進化するものであれば、今までに発見された惑星状星雲の中で生まれたてのものがほとんど無かったことも説明ができるというわけです。つまり宇宙の長い歴史の中でほんの20年程度で惑星状星雲が誕生してしまうという事は、一瞬で変身するようなものなので、めったに目撃できないということです。
今回の観測で、白色矮星からの恒星風のジェットや、星を取り巻くリングなどの詳細な構造が分かり、惑星状星雲の進化の過程をより緻密に解明できるでしょう。
特に惑星状星雲特有の気泡のような構造のガスがどのようにしてできるかに天文学者たちは興味を注いでいます。 |
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NASA提供 |
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