神童君の句集
「母」

エレペーター開くとそこは雛の国
春愁や母の知らざる傷をもち
野を焼きて小年に髭生えはじむ

花束のごとく汗の児抱きにけり
母は諭し吾は棒もて蛇去らす
蚊を打ちて生命線を汚しけり
                           
灯を消して満月を抱く隠居かな
コスモスや小船のように乳母車
蟷螂の鉄にすがりて枯れゆくよ

柏手に音のせぬ児の初詣で
結び目に母の癖あり干し大根
毛糸編むテレビ見もせず消しもせず

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