平成14年2月分会員作品 |
平成十四年二月 例会 照子選 |
白梅を追う紅梅に今朝の鳥 |
木枯しに押され小走るハイヒール |
きらきらと闇の灯台春浅し |
カーテンを引き残したる雪月夜 |
この道に五十五年や鍬始め |
橋の上水仙根ずきて香をはなつ |
冬カモメ頭上をかすめたじろけり |
初場所や横綱またも休むらし |
きさらぎの波が引きゆく砂利の音 |
大試験絵馬に祈りをかけてをり |
誰を待つ少しうつむく水仙花 |
腰痛や夫にわびつつ寝正月 |
冬の朝牛の匂いのみな元気 |
冬かもめ一羽一羽に光もつ |
風花や子規の碑まだらなり |
寒椿一際庭を円くする |
枯野道風が遊んでをりにけり |
待合室夫の身案ずる桃の花 |
初雪に浮かぶカモメの波枕 |
南国の風花土にとどかざる |
白梅と思えどかすかに紅ほのか |
厄落とす思いそれぞれ辻の豆 |
大寒の鉄骨を組む響きかな |
愛犬の死を告げて来る初便り |
寒の入り夕日眺めて露天風呂 |
木枯しの満月鈍くひかりけり |
山門に梅の花散る石畳 |
犬ふぐりひよこに名前付けている |
古里の川ゆったりと猫柳 |
娘と枕並べて旅の冬ぬくし |
福ばかり呼んで豆まく闇の中 |
春の雪落つる所を目で追ひぬ |
町二つ踏まえて輿り時雨虹 |
母と娘の待ち針あつめ針祭る |
作品 | 作者 | 寸評 |
左義長や焦がした餅を妻と分け | 二宮武夫 | *左義長はドンド焼きのこと。よくわかる句 |
大枯野の真ん中をバス突っ走る | 竹崎恵美 | *上五の「の」は不要 |
つまずきし石を見ている寒さかな | 菊地芳子 | *なぜつまずいたのであろう。寒さの故か年齢の故か |
あれも捨てこれも忘れて炬燵かな | 神童 | *やや言葉の遊び的な句ですが、「捨てたり」「忘れたり」する中で人生の生き方がある。 |
送り出す後ろ姿や大試験 | 三好文尾 | *初投句。気づかぬ母の姿が見える |
花売りの藁で束ねる梅の花 | 浅川道子 | *花も野菜も藁で束ねるのが一番よい。 |
寒経の一人の声の甲高き | 河野ミツエ | *一人だけの声が耳について寒さが身にしみる。 |
来月の大会に期待している。 |
※気になったこと |
・文語文と口語文の混用 |
例として失礼ですが 春だなあ木偶の三番曳が舞ひにけり 宮本ミユキ 「春だなあ(口語文)木偶の三番曳が舞ひにけり(文語文)混合です。」 「さんば」と読むより「さんばそう」として「春浅し木偶の(さんばそう)舞ひにけり」としては。 字余りは結構。 |
・古今の名句は平易な文字や言葉で作られています。 |
分かりやすい文字・言葉で俳句を作りましょう |