平成13年11月分会員作品

 
今月の内容
平成十三年十一月例会 修選 
十一月寸評 石帆選
神童君の勉強会
 
十一月例会 修選 作品
逆上がり出来て園児に天高し
島影の深くしづめる秋の潮
怠慢を急ぎ立て百舌の高音鳴る
秋光を空へ汲み上げ観覧車
コスモスに潜みし風の花揺らす
みかん摘む風新たなる日の匂い
遠山の薄墨だちて十三夜
天心に月冴えわたり町眠る
舟留りしずかにゆるる後の月
蜜柑摘む夫婦の絆五十年
すぐに逝く秋よ足踏みしていてよ
コスモスや風ほどほどにやわらかく
文化の日肩書きもなく米を研ぐ
名月を拝ませて子を育てけり
風と来て草に止まりし秋の蝶
寺庭の大樹にからむ蔦紅葉
小春日や我が仕事あり着物縫ふ
銀杏の匂いはきつし味はよし
野菊咲き父母のふる里空青し
蜜柑山見たくて車に乗りて待つ
紅葉狩り二人で行ったこと思う
抱いた子の癖毛やさしく秋の風
くすり呑む母に重たき初冬の水
死ぬ時の顔をして見る良夜かな
大胆に洗ふ障子に句書する
雁渡る新造船のドラ高し
石に座す飛び来し目白と目の合ひて
炉開きをためらふ日和続きけり
日の匂ひこもる日傘をしまひけり
かまきりのおどけしままのむくろかな
病夫の手を両手で包む夜寒かな
耐えたえて終わりし母よ後の月
秋雨の傘にもまれる土佐の海
文化祭わが短冊もその中に
招かざる猫来て居眠る菊日和
故郷にどんぐりいっぱいころんでた
庭歩く萩の零に触れながら


 十一月 寸評   石帆選
作 品 作 者 寸 評
逆上がり出来て園児に天高し 木村真由美 得意満面な園児の顔 正に天高し
怠慢を急ぎ立て百舌の高音鳴る 三好 雪 下五を{高音張る}と訂正したい。
秋光を空へ汲み上げ観覧車 菊地芳子 作者は水車を連想している。
風渡りゆく穂薄のある限り 那須陽子 穂薄のある限り)野の広がりが目に見える
死ぬ時の顔をしてみる良夜かな 上甲照子 死ぬ時の顔とはどんな顔であろう。見て見たい。
うたた寝の畳の冷えや秋深し 浅川道子 畳の冷えに晩秋を感じる感覚は鋭い。
病夫の手を両手で包む夜寒かな 松田真佐恵 病夫を看取る明け暮れ 愛情の深さがよくわかる。
観音の沖を見る眼や鳥渡る 三好正子 須崎観音であろう。秋は渡り鳥の大群を見れる。
招かざる猫来て居眠る菊日和 河野ミツエ 中七を(猫来て眠る)と訂正。居は不要
思はざる遠出となりし秋日和 久保田ケイ子 誰もが経験する。


   神童君の勉強会
  作 品     添 削
逆上がり出来て園児に天高し 一人の子になると(出来たる園児天高し)となります。
執刀にまかせし生死や秋深し 切れ字の(や)は不要
薄原いつもどこかで風生きる 生る 生(ま)る生まれる 生れる
※老ひー老い  耐えるー耐へ