平成12年10月分 |
平成十二年十月例会 三瓶俳句会
作 品 | 作 者 |
涼新た枕につめし檜の香 | 井上明子 |
そよそよと紅をこぼすやしだれ萩 | 上甲照子 |
柿の木の先に島あり葉月潮 | 宮本ミユキ |
常緑樹多き城山秋日和 | 西村さつき |
地下足袋の太き足跡大根蒔く | 菊池芳子 |
子を下ろし芒の川に濯ぎもの | 竹崎恵美 |
天高し猫と生まれて働かず | 出井道好 |
流れゆく雲に道あり鰯雲 | 山本志津 |
秋出水行方不明も死者のうち | 宇都宮石帆 |
稲架陰に農夫莨の火をわかつ | 浅川光春 |
敬老会金婚の賞妻に謝す | 二宮武夫 |
蟋蟀の鳴く一軒屋明り点く | 宇都宮澄男 |
つばめ去にとりのこされし二人かな | 松田真佐恵 |
過疎進む町に秋風しのび寄る | 河野ミツエ |
雨待てど降らぬ今宵も月冴か | 宇都宮政子 |
秋刀魚焼くおろし大根たっぷりと | 山本真津子 |
人住まぬ庭の白萩みだれ咲き | 三好正子 |
種を蒔く虫と一人の溝を切る | 大塚チヤ子 |
栗おこわ甘い匂いに蒸しあがる | 三好千栄子 |
ずいき剥く痒さに母をしのびをり | 宮本ミユキ |
祖国背に闘志火と燃え鶏頭花 | 三好雪 |
糸瓜忌や見事な富有柿二つ買ふ | 宇都宮喜代 |
草刈りつ思へることのまとまらず | 井上修 |
山裾に火の帯と咲く曼珠沙華 | 浅川道子 |
風寄せて畦に燃え立つ曼珠沙華 | 井上定男 |
虫の鳴くことなど夫の気にとめず | 久保田ケイ子 |
夏病みの癒えて虎でも狩るここち | 菊池妙 |
六十路なほおしゃれ心のさわやかに | 那須陽子 |
児のもの干されておりし秋うらら | 清家幸子 |
手の掌の萩花吹くや峠茶屋 | 井上雅代 |
青空に煌めく自由草のわた | 富吉秋窓 |
秋夜長リフォームでいす作りをり | 稲垣千代子 |
愛されぬ子の猫じゃらし撫でてをり | 宇都宮伝 |
九月席題互選成績表(秋風・鶏頭)
評 点 | 作 品 | 作 者 |
九点 | 鶏頭やいっぷくりんを通し老ゆ | 伝 |
六点 | 民宿も人影絶えし秋の風 | 武 夫 |
五点 | ひしひしとわが身の老や秋の風 | 石 帆 |
鶏頭や女の意気地貫らぬきぬ | 幸 子 | |
丸髷のごと鶏頭の重さうに | 恵 美 | |
四点 | 対岸の灯の流れ来る秋の風 | 照 子 |
三点 | 漣のごとき葉擦や秋の風 | さつき |
香ぐはしき秋風なりし米どころ | さつき | |
父母逝きて故郷遠し秋の風 | 志 津 | |
鶏頭の焔となりて見頃なり | 芳 子 | |
鶏頭のひだに蓄ふ子だくさん | 雅 代 | |
日を追うて覚める五感や秋の風 | 雪 | |
二点 | 網を縫ふ背中ばかりや秋の風 | 伝 |
絵手紙の赤の滲みし鶏頭花 | 照 子 | |
鶏頭の赤極めて詩碑の辺に | さつき | |
鶏頭の種を孕みて尚燃える | ミツエ | |
今梳きし子の髪乱る秋の風 | ミツエ | |
バス停に古椅子二つ秋の風 | 正 子 | |
観音の鐘の音遠し秋の風 | 澄 男 | |
秋風や夫の背のやや細りたる | ケイ子 | |
山住みの暮らしはつまし秋の風 | 妙 | |
一点 | 終電を下りて男に秋の風 | 伝 |
秋風や砂浜波の音ばかり | 武 夫 | |
秋風や空に一条の雲流れ | 武 夫 | |
肉厚き鶏頭に種ぎっしりと | 石 帆 | |
カルストは早や秋の風生まれをり | 幸 子 | |
顎紐の弛みし帽子秋の風 | 恵 美 | |
秋風や石に日ざしの照り返す | 志 津 | |
鶏頭の丈のまちまち夕日差す | 志 津 | |
一本の煙草墓前に秋の風 | 芳 子 | |
秋風に笑ふみどり児抱きしめる | 雅 代 | |
鶏頭の群がり燃えて病舎跡 | ミツエ | |
真民碑めぐる鶏頭色あせず | 正 子 | |
友逝きし道に鶏頭黙し生け | 澄 男 | |
雑草の中に鶏頭のこほれ種 | ケイ子 | |
鶏頭は燃え実はほろほろと黒く落ち | 喜 代 | |
鶏頭や雨にぬれゐて色変り | 千代子 | |
盲導犬別れの時や秋の風 | 千代子 | |
緑先に爪切ってをり鶏頭花 | 真佐恵 | |
秋風やいくとせ介護の日を重ね | 真佐恵 | |
父を焼く煙いづくえ秋の風 | 真佐恵 | |
破風板の反りを吹きぬく秋の風 | ミユキ | |
蜘蛛の囲の破れ初めたる秋の風 | ミユキ | |
鶏頭を数えてをりし水子像 | 真津子 | |
竹林の梢を渡る秋の風 | 真津子 |
井 上 明 子 | 三 好 正 子 |
上 甲 照 子 | 大 塚 チ ヤ 子 |
宮 本 し づ 子 | 三 好 千 栄 子 |
西 村 さ つ き | 宮 本 ミ ユ キ |
菊 池 芳 子 | 三 好 雪 |
菊 池 芳 子 | 宇 都 宮 喜 代 |
竹 崎 恵 美 | 井 上 修 |
出 井 道 好 | 浅 川 道 子 |
山 本 志 津 | 井 上 定 男 |
宇 都 宮 石 帆 | 久 保 田 ケ イ 子 |
浅 川 光 春 | 菊 池 妙 |
二 宮 武 夫 | 那 須 陽 子 |
宇 都 宮 澄 男 | 清 家 幸 子 |
松 田 真 佐 恵 | 井 上 雅 代 |
河 野 ミ ツ エ | 富 吉 秋 窓 |
宇 都 宮 政 子 | 稲 垣 千 代 子 |
山 本 真 津 子 | 宇 都 宮 伝 |
投 句 | 作 者 |
一つ二つ禍根の名残り秋の雲 | 芦部友信 |