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巡視船「やひこ」 |
海上保安庁の巡視船PL04「やひこ」が平成25年4年より伏木海上保安部に配属されて富山新港・海王丸パークに係留されています。「やひこ」には海上保安官約30人が乗り込み、潜水士は5人が配属されています。ヘリの発着のため揺れを抑える機能や航空燃料が給油できる装備も備えています。
当船は、昨年度までは新潟海上保安部に所属していました。ヘリで現場に急行し、潜水士が直接降下しなければならないような船の転覆、座礁などの海難事故は、この「やひこ」と、同じく新潟にある第九管区海上保安本部の航空基地から飛び立つヘリとが連携して対応していました。
今回、「やひこ」を伏木海保配属とすることで、富山や石川の海難事故にもよりスピーディーな対応が可能になっています。
この「やひこ」は、おじか型巡視船(JCG PL OJIKA class)は海上保安庁の巡視船。分類上は、Patrol Vessel Largeを略したPL型、公称船型は1000t型。1番船の配置換えに伴いえりも型巡視船に名称が変遷しています。
当船も、以前は鹿児島の第十管区海上保安本部に配属されていて船名も「さつま」だったものが、第九管区海上保安本部に配属替えになり船名も「やひこ」に変更されています。
昭和50年代に開発建造されたしれとこ型巡視船はいわば「多目的型巡視船」でしたが、昭和末期になって「警備型」や「救難型」などに特化した巡視船の整備が検討されました。それを受けて救難型のプロトタイプとして開発されたのが「PL01
のじま」であり、その実績を元に改良されたのが当「おじか」型巡視船です。1989年度予算で開発されています。
スペックデータ |
排水量 |
総トン数: 1,268トン 満載排水量: 2,006トン |
主要寸法 |
91.5mx11.0mx6.4m
(全長、全幅、深さ) |
主機械 |
ディーゼル×2基、2軸推進 |
馬 力 |
7,000PS |
速 力 |
20kt |
航続距離 |
3,044海里 |
兵装 |
エリコンKD 35mm機関砲×1門
JM61 20mm多銃身機関砲×1門 |
特殊装置 |
ヘリコプター甲板および給油設備
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搭載艇 |
7m型高速警備救難艇×1隻
7.5m型潜水支援艇×1隻 |
定 員 |
34名 |
同型船 |
PL02「えりも」 PL03くだか PL05「でじま」
PL06「くりこま」 PL07「さつま」 PL08「とさ」 |
「のじま」から装備されたヘリコプター甲板は船体構造上の強度部材とされ、AS332L1(重量約8.6t)の離着船を可能としています。また横2列の煙突の間に水中カメラ装備の遠隔操作無人探査機(ROV:
Remote Operation Vehicle)格納庫など潜水作業機材の準備室や消火用放水銃を設置しています。「おじか」は後尾に高速警備救難艇のウェルドックを持つが、荒れた海では使用しづらく、使用機会が少なくなるため、「くだか」以降は救難資材倉庫となっています。また1995年の阪神・淡路大震災、1997年のナホトカ号重油流出事故などを契機に、災害や海難に対応して機材の充実が図られており、現在では外洋でも使用可能なフラモ・トランスレック250型油回収装置の運用能力を持っています。
この「おじか」型巡視船の配備は7隻で終了しています。これは度重なる不審船事件や尖閣諸島領土問題の発生を受けて、高速高機能大型巡視船及び「はてるま」型巡視船等の、いわゆる「警備型」巡視船の配備に移行したことによるものです。
5番船の「くりこま」は2011年東北地方太平洋沖地震で発生した大津波により一時座礁したため、函館どつく室蘭製作所で亀裂の入った船底や破損したプロペラ等の修理が行われています。2011年12月に復帰した後は津波による行方不明者の捜索にあたっています。
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巡視船「やひこ」を船尾から |
巡視船「やひこ」の特徴は2本の煙突です |
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巡視船「やひこ」と新湊大橋 |
巡視船「やひこ」をあいの風プロムナードから |
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巡視船「やひこ」のマスト |
巡視船「やひこ」のブリッジ後部と煙突 |
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巡視船「やひこ」のブリッジ前部と機関銃 |
巡視船「やひこ」のブリッジとマスト |
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ブリッジ内のレーダースコープ |
巡視船「やひこ」のブリッジ内 |
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35mm機関砲 |
巡視船「やひこ」の主機操作盤 |
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