補給艦「とわだ」来港 平成30年6月16日
補給艦「とわだ」
補給艦「とわだ」」
平成30年6月16日~17日に伏木港万葉埠頭に補給艦「とわだ」が来港して、一般公開されました。
本艦は、とわだ型補給艦の1番艦であり、ネームシップとなっています。
「とわだ」は、中期業務見積もりに基づく昭和59年度計画8,100トン型補給艦4012号艦として、日立造船舞鶴工場で1985年4月17日に起工され、1986年3月26日に進水、1987年3月24日に就役し、自衛艦隊に直轄艦として編入され呉に配備されています。
1990年4月6日、護衛艦「はるな」、「さわかぜ」、「みねゆき」、「あさゆき」、「しまゆき」、「はまゆき」、「いそゆき」、「しまかぜ」、潜水艦「もちしお」とともにハワイ、サンディエゴ方面に派遣され、4月26日から6月2日まで、環太平洋合同演習(リムパック90)に参加しています。
1992年2月24日~2月29日、鹿児島南方海域で実施された第76次対潜特別訓練ASWEXに護衛艦「くらま」、「たちかぜ」、「さわかぜ」、「まつゆき」、潜水艦、航空機若干とともに参加しています。
1994年6月24日、護衛艦隊に直轄艦として編入されました。
2006年4月3日、護衛艦隊隷下に第1海上補給隊が新編され編入されています。
2007年7月、永久保存されるはずの航泊日誌2003年7月~11月分を破棄してしまい、同年10月16日に防衛省は艦長や船務長などの処分を発表しています。
1992年、自衛隊カンボジア派遣のためにカンボジア派遣海上輸送補給部隊を編成、9月に出港し途中で輸送艦「みうら」・「おじか」と合流し、10月2日にカンボジアのシハヌークヴィル港に入港しています。12月25日に呉に帰港。
「とわだ」を艦尾から
「とわだ」を艦尾から
1999年11月7日、横須賀周辺および相模湾にて在外邦人等輸送訓練を行っています。
この訓練では他に「しらね(DDH-143)」、「むらさめ(DD-101)」、「あまぎり(DD-154)」、「うらが(MST-463)」の艦艇、陸上自衛隊からは第1空挺団で編成された誘導隊が参加しています。テロ対策特別措置法及び新テロ特措法に基づくインド洋給油活動にこれまで7回参加しています。派遣実績及び同時派遣された艦艇は次のとおりです。

 1. 2001年11月25日-2002年4月25日:護衛艦「さわぎり」
 2. 2002年7月24日-2003年1月3日:護衛艦「ゆうだち」
 3. 2003年7月15日-11月19日:護衛艦「はるな」・「あさぎり」
 4. 2004年3月14日-9月19日:護衛艦「こんごう」・護衛艦「ありあけ」
 5. 2005年3月31日-9月8日:護衛艦「しまかぜ」・護衛艦「ゆうだち」
 6. 2006年11月12日-2007年4月26日:護衛艦「まきなみ」
 7. 2008年11月10日-2009年4月27日:護衛艦「ありあけ」

2013年11月17日、台風30号によって甚大な被害を受けたフィリピンを救援するために呉基地を出港。本艦は輸送艦「おおすみ」と護衛艦「いせ」への給油などを担当し、途中で後発の「おおすみ」「いせ」と合流した後、11月22日、レイテ湾に到着、救援物資輸送や医療、防疫活動を実施し、12月20日帰国しています。
後甲板にはヘリコプタが発着できるスペースが
後甲板にはヘリコプタが発着できるスペースが
現在は、護衛艦隊第1海上補給隊に所属し、定係港は呉とされています。
とわだ型補給艦の基本的な能力は、先代の5,000トン型補給艦「さがみ」と同様ですが、その実績を踏まえて大幅な改良が加えられています。この結果、基準排水量も8,100トンまで大型化しています。
本型での設計面で重視されたのが耐候性の向上といえます。
「さがみ」では、先行する2,900トン級給油艦「はまな」よりも高速化されていますが、この結果として補給甲板が波浪の影響を受けることが多く、作業に支障をきたすことにもなりました。このことから本型では、補給甲板を一層上げて第1甲板を全通させるとともに、船体内の第2甲板両舷に広い運搬通路を設けて、これも艦尾の曝露甲板まで通しています。このように高乾舷の遮浪甲板船型を採用したことで、洋上補給作業時の波浪の影響が軽減されています。乾舷が高いのは、現物を見ると実感できるでしょう。
また昭和62年度計画艦(「ときわ」「はまな」)では、排水量が更に50トン増加していますが、これは同時期の護衛艦などと歩調を合わせて、居住区のベッドを従来の3段から2段とするなど居住性の向上を図った結果です。
船楼甲板レベルの後端部にはヘリコプター甲板が設定されています。「さがみ」ではHSS-2ヘリコプターの発着に対応していたが、本型では、更に大型のMH-53Eにも対応しています。ただし、ヘリコプター格納庫は設置されていないので、常時ヘリコプタを運用するようにはなっていません。なお航空運用能力の向上を含めた船体安定化のため、「さがみ」にはなかったフィンスタビライザーが装備されています。
艦載艇
艦載艇
主機関は、三井造船の16V42M-A型V型16気筒ディーゼル機関を2基搭載しています。これは昭和54年度計画以降で建造された機雷戦艦艇・両用戦艦艇・補助艦艇において、標準的な大出力ディーゼルエンジンとして採用されていたものです。なお機械室内は無人化されており、主機関の制御は全て機関操縦室内で操作しています。
本型の洋上移送装置は「さがみ」を踏襲していて、その中核となるのが、船楼後端から艦橋構造物までのあいだの主甲板に設けられた3基の補給用門型ポストです。
各ポストの左右両舷が補給ステーションとなっています。右舷側最前部のものが1番補給ステーションとされ、その左舷側が2番、以後後方に向かって順番に番号が振られています。
1・2番および5・6番ステーションは液体貨物用であり、短いブームが外舷上方に張り出しています。給油速度は片舷あたり1分間に約11キロリットルとなっています。
一方、3・4番ステーションは、物品(ドライ・カーゴ)の輸送用のハイライン・ステーションとされています。補給方式は、アメリカ海軍ではFAST(Fast Automatic Shuttle Transfer)と呼称されており、主としてスライディング・ブロック、トロリー、トラベリング・サーフによって構成されます。
物資格納に関して「さがみ」型からの変更点としては、貨油タンクと兼用とされていたバラストタンクについて専用のものが追加されたことがあげられます。「さがみ」では、バラストタンクを貨油タンクとして使用したあとは油水分離機を使って海水と油が混じったバラスト水を排出するという作業が必要でしたが、本型ではこの作業が不要となり、作業効率は大幅に向上した一方で、このために船体の大型化の割に貨油搭載量の増加は乏しいと言えます。なお搭載量は合計5,700トンと推測されています。なお「さがみ」の船用燃料(軽油)が約4,500キロリットル、航空燃料(JP-5)が約220キロリットルとされています。
補給用門型ポストと補給ステーション
補給用門型ポストと補給ステーション
また、ドライカーゴの格納・艦内移送手法も大幅に改善し、工数削減を図っています。艦内移送手法は、「さがみ」では天井クレーン方式であったのに対し、本型ではサイドフォークトロリー方式に変更されています。これは、運搬通路に転倒防止用のレールを埋設し、これを掴みながら走行する電動式フォークリフトであります。両舷に2台ずつが配置されています。
格納方式も変更されており、弾薬については、柱状のピラーとラックを使用したコンテナ格納方式であるダネージ方式となっています。
これは床面のデッドスペースがなく、単位床面積あたりの搭載数が大きいという特長があります。弾薬庫内の移送は専用のフォークリフトで行われ、出口で上記のサイドフォークに受け渡すことになります。
また糧食については、糧食ダンボールを大型パレットに格納したままで冷蔵庫に保管し、洋上補給時にはこれをフォークトロリーで運搬する大型パレット方式に変更されています。
冷蔵庫内部には、パレットを収容するための回転ラックが設置されています。これは床面と天井面に長円形のレールを配置して、その間にラックを保持しておくもので、レール上をエンドレスで動くことができる。これにより、庫内の物資移送は完全に自動化されています。
なおラック上には最大500 kgの食糧を収容することができます。
旗甲板には、高性能20mm機関砲(CIWS)およびMk.137 6連装デコイ発射機の装備が考慮されています。
就役後、デコイ発射機が搭載されていて、またCIWSの搭載に備えた改造も実施されていますが、CIWSの装備は、現在までのところ実現していません。
また、銃座が左右両舷に装備されており、必要に応じて12.7mm機関銃M2を装着します。同機関銃は、普段は艦内に格納されており、分類上は武装ではなく小火器の扱いを受けます。

とわだの旗が 後甲板はかなりの広さです
とわだの旗が 後甲板はかなりの広さです
優秀艦として表彰されています 盾がならんでいますね
優秀艦として表彰されています 盾がならんでいますね
12.7mm機銃の銃座 Mk.137 6連装デコイ発射機
12.7mm機銃の銃座 Mk.137 6連装デコイ発射機
方位環 探照灯と測距儀
方位環 探照灯と測距儀
哨戒ヘリSH-60K ブリッジ内部の様子
ブリッジの艦長席 ブリッジ内部の様子
信号用旗りゅう レーダーと海図表示装置
信号用旗りゅう レーダーと海図表示装置
電子海図表示装置 副長席
電子海図表示装置 副長席
ブリッジから見た補給ステーション 操舵装置
ブリッジから見た補給ステーション 操舵装置
主機関はこれで操作します モニターには外の様子が映っています
主機関はこれで操作します モニターには外の様子が映っています
分電盤 探照灯
分電盤 探照灯
通路 補給ステーション
通路 補給ステーション
補給ステーションの各設備 給油設備
補給ステーションの各設備 給油設備
SH-60Kのローター 格納庫は2機収容できる規模です
SH-60Kのローター 格納庫は2機収容できる規模です
補給用門型ポスト ウインチが多数あります
補給用門型ポスト ウインチが多数あります
艦首方向 甲板上に設置されている給油装置
艦首方向 甲板上に設置されている給油装置

補給艦「とわだ」型 性能諸元
排水量 基準:8,100トン 満載: 12,100トン
長さ 167m 22.0m
深さ 15.9m 喫水 8.1m
主機械 ディーゼル最大26,000ps
三井16V42M-Aディーゼル (13,000PS) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力  22kt 
主要兵装  12.7mm機関銃M2  2挺
艦載機 ヘリコプター甲板あり 格納庫なし
レーダー OPS-18-1 対水上捜索用 1基
OPS-20 航海用 1基
対抗手段 Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
 スライドショー
ミサイル艇「うみたか」
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伏木港 補給艦「とわだ」マップ
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