護衛艦「おおなみ」来港 平成29年7月29日
護衛艦「おおなみ」
護衛艦「おおなみ」
平成29年7月29日~30日に伏木港万葉埠頭に護衛艦「おおなみ」が来港して、一般公開されました。
「おおなみ」は、たかなみ型護衛艦の2番艦であり、艦名は「大きな波」(大波)に由来し、この名を受け継ぐ日本の艦艇としては、旧海軍夕雲型駆逐艦「大波」、あやなみ型護衛艦「おおなみ」に続き、3代目に当たります。
「おおなみ」は、中期防衛力整備計画に基づく平成10年度計画4,600トン型護衛艦2240号艦として、三菱重工業長崎造船所で2000年5月17日に起工され、2001年9月20日に進水、2003年3月13日に就役し、第1護衛隊群第5護衛隊に編入され横須賀に配備されています。
2004年11月25日、テロ対策特別措置法に基づき、護衛艦「ちょうかい」、補給艦「ましゅう」と共にインド洋に派遣、2005年3月まで任務に従事し、5月10日に帰国しています。
2007年9月4日から同月9日にかけて、インド洋・ベンガル湾にてインド主催による多国間演習である「マラバール2007」に護衛艦「ゆうだち」とともに参加しました。
2008年3月26日、護衛隊改編により第2護衛隊群第6護衛隊に編入されています。
2009年7月6日、日韓救難共同訓練が日本海において実施され、護衛艦「あぶくま」、P-3C哨戒機 3機とともに参加し、韓国海軍駆逐艦「楊万春」(DDH-973)、「王建」(DDH-978)と訓練を実施しています。
2009年12月4日、08:45時ごろ高知県足摺岬沖合南約130kmにおいて海賊対処訓練実施中に護衛艦「さわぎり」と接触する事故を起こしています。双方ともけが人はなく自力航行は可能でした。
哨戒ヘリ「SH-60K」
哨戒ヘリ「SH-60K」
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、地震発生から89分後、災害派遣のため横須賀から緊急出港しました。
2010年1月29日、第4次派遣海賊対処行動水上部隊としてソマリア沖に向けて出航、僚艦となる「さわぎり」とは途中で合流。2月25日から5月31日まで、32回の船団護衛で合計283隻の船舶を警護し、任務終了により7月2日に横須賀に帰港しています。
2011年10月11日、第10次派遣海賊対処行動水上部隊として護衛艦「たかなみ」と共に横須賀基地を出航、ソマリア沖・アデン湾に向かい、翌2012年3月12日に帰国しています。
2012年6月9日、日印国交60周年の記念も兼ねて訪日中のインド海軍艦隊と相模湾にて護衛艦「はたかぜ」と共に共同訓練「JIMEX 12」を実施しました。
2013年2月5日の報道によれば、同年1月19日1700時頃、東シナ海で中国海軍所属の江凱I型フリゲートが本艦が搭載しているヘリコプターに向け火器管制レーダーを照射した疑いがあることを防衛省が明らかにしています。
2014年7月15日、第19次派遣海賊対処行動水上部隊として「たかなみ」と共に横須賀基地からソマリア沖・アデン湾に向け出航しました。 その後ソマリア沖での海賊対処行動を終え帰途につきましたが、両艦が日本に向け東南アジア付近を航行中に、エアアジア8501便墜落事故が発生しています。日本政府は両艦に派遣命令を出し 、1月3日から9日までの間、エア・アジア航空機消息不明事案に関する国際緊急援助活動に従事し、1月24日、横須賀に帰港しました。
SSM-1B
SSM-1B
現在、第2護衛隊群第6護衛隊に所属し、定係港は横須賀です。
本艦が所属する「たかなみ」型護衛艦は、海上自衛隊が運用する汎用護衛艦(DD)の艦級です。計画番号はF121。ネームシップ「たかなみ」の建造単価は644億円となっています。
海上自衛隊の第2世代汎用護衛艦の小改正型として、08・13中期防に基づき、平成10年度から平成13年度にかけて5隻が建造されています。原型にあたるむらさめ型(03〜09DD)および発展型にあたるあきづき型(19〜21DD)とともに、護衛隊群の基準構成艦となっています。
船体線図と機関部の構成は、機関がCOGAG方式、主機としてIHILM2500ガスタービン 2基と川崎スペイSM1Cが 2基という構成でその出力は60,000PS、速力30ktと、むらさめ型(03DD)と同様のスペックであり、遮浪甲板型の船型と艦尾の「ミニオランダ坂」様の造作も同様です。ただし主砲が127mm砲に換装されたことに伴い、弾庫の造作も変更されたことから、弾庫と装薬庫の分離が図られています。
また主船体の主横隔壁に変更はないが、前部VLSの所要容積増加などに伴って、かなりの区画変更がなされています。
艤装面で最大の差異が海曹士の居住区で、むらさめ型では12名程度の小部屋に区分されていた科員寝室は、ダメージコントロールの観点から、30名程度の大部屋に変更されています。天井には手術灯が設置されており、非常時には救護室として使用できるようになっています。一方、先任海曹(CPO)の居住区はグレードアップが図られています。また航空要員の居住区は、むらさめ型では主船体内に配置されていたのに対してMk.48 VLSの撤去跡に移動され、搭乗員待機室と航空事務室も設けられています。通常、看護師資格所有者が2名乗船するが、長期航海時には医師資格所有者も乗船します。
68式3連装短魚雷発射管
68式3連装短魚雷発射管
むらさめ型では2基であったデッキクレーンは1基に統合されています。クレーン長は3メートル延長されて12メートルとなっています。
搭載艇はむらさめ型と同じく内火艇2隻と複合型作業艇1隻であるが、複合型作業艇の搭載位置は第1煙突直後に変更されています。なお、むらさめ型でステルス性を損なっていると評された大型のラティスマストを2本に分散して小型化する案も検討されたが、これは実現しなかった。
むらさめ型と比して、排水量にして100トン程度大型化されていますが、この程度では艦の運動性能にはほとんど影響を与えないことから、機関区画の配置も含めて、主機関は変更されていません。また発電機も同機種・同構成となっています。
装備の点で、外見上もっとも目立つ変更点が主砲の変更で、第1世代DD以来踏襲されてきた62口径76ミリ単装速射砲から、54口径127ミリ単装速射砲に変更されています。これはその名の通り、76mmコンパット砲のスケールアップ・モデルとして、同じくオート・メラーラ社で開発されたものであり、海上自衛隊ではこんごう型で装備化されています。これは対空射撃の威力強化と工作船事案などの多様な事態対処能力の向上、対地・対水上射撃の火力強化の要請に応じたものです。同系列の砲とはいえ、砲塔重量は5倍強に増加し、また76mm砲が完全弾薬筒方式であったのに対して、127mm砲は半固定式となったことから、弾庫と装薬庫に分離されるなど、関連区画は大きく変更されています。
54口径127ミリ単装速射砲
54口径127ミリ単装速射砲
またVLSの統合化も、艦内設計に大きな変更を必要とした。むらさめ型では、艦首甲板に埋め込むかたちで垂直発射型アスロック(VLA)用のMk.41(16セル)を、また第2煙突直前の甲板上にシースパロー用のMk.48(16セル)を設置していたのに対して、本型では、Mk.41を両者兼用として、32セルに増やしている。ただし艦内区画の関係上、主船体内に完全に収容することができずに、1甲板分装備位置を上げることとなっています。
なお、ここから運用される個艦防空ミサイル(短SAM)としては、従来はRIM-7M(PIP)シースパローが用いられていたが、平成26・27年度予算において、「たかなみ型護衛艦の短SAMシステムの能力向上」として、ESSM(発展型シースパロー)運用能力の付与が決定されています。
短SAMと主砲を管制する射撃指揮装置(FCS)としては、03DDの機種に小改正を加えたFCS-2-31Bが搭載されています。むらさめ型と同様に同一機種2基搭載としており、同時2目標対処を可能としています。なお、同時多目標対処可能な新型機であるFCS-3が、早ければ平成12年度前後にも制式化される見通しであったことから、本型の後期建造艦でこれを搭載する案もあったが、形態管理上の観点から見送られています。
艦対艦ミサイルは、むらさめ型と同じく90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)を4連装発射筒2基に収容して搭載していますが、装備位置は、むらさめ型では前部上構の後端であったのに対し、本型では後部上構の前端に変更されています。これにより、ミサイル発射時のデッキクレーンとの干渉が解消され、ブラストガードが不要となっています。
CIWS
CIWS
対潜兵器としては、上記のVLAのほかに、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備していますが、これはむらさめ型と同様の配置となっています。一方、魚雷対策用の曳航式デコイについては、国産の曳航具4型に変更されています。
電子戦装備はむらさめ型と同様で、電子攻撃と電子戦支援を兼用できるNOLQ-3電波探知妨害装置を搭載しているほか、デコイ発射機としては、Mk.137 6連装チャフ・フレア発射機を艦橋構造中段の両舷に2基ずつ設置しています。
戦術情報処理装置については、最初の3隻(10・11DD)ではOYQ-9Cが搭載されています。これはむらさめ型で搭載されていたOYQ-9/9Bとほぼ同構成で、AN/UYK-43電子計算機とAN/UYQ-21(OJ-663)ワークステーションから構成されています。その後、4番艦(12DD)では、電子計算機とワークステーションをともにAN/UYQ-70に更新したOYQ-9Dに発展しています。また戦術データ・リンクとしては、OYQ-9C/Dでは従来通りのリンク 11が用いられていましたが、5番艦(13DD)のOYQ-9Eではリンク 16にも対応しています。
なお戦闘指揮所には、大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面による情報表示プロジェクタが設置されているほか、新造時よりMOFシステムの洋上端末(C2T)を備えています。C2Tの画面はCICと艦橋におかれています。
センサー面ではむらさめ型の構成が踏襲されています。レーダーについては、長距離捜索用としては3次元式のOPS-24B、対水上捜索用(低空警戒兼用)としてはOPS-28Dと、いずれもむらさめ型と同機種です。
またソナーも、艦首装備式のOQS-5-1、曳航式のOQR-2と、03DDに準じた構成となっています。なお艦首装備ソナーについては、開発中であったOQS-XX(後のOQQ-21)が実用化され次第に後日装備する案もあったが、重量容積面の負担が大きいことと形態管理上の観点から見送られています。
搭載機の面では、本型は発着艦支援装置の機体移送軌条を2条としたE-RAST(Expandable RAST)に換装することで、汎用護衛艦として初めてヘリコプター2機を十分運用させるだけの能力が付与されています。ただし、移送用のシャトル(RSD)は1基しか装備されていないほか、ヘリコプター運用定数はこれまでと同じように1機となっています。
また格納庫は、現在使用されている哨戒ヘリコプターSH-60Jよりもやや大型のSH-60Kの運用を前提として開発されたため、むらさめ型より奥行きが拡大されています。またSH-60Kには空対艦ミサイル(ヘルファイア)の搭載能力が付与されているため、弾薬庫もこれにあわせて改設計されています。これは、ヘリコプター搭乗員待機室とともに、むらさめ型でシースパロー対空ミサイル用Mk.48 VLSが装備されていた場所に設けられており、よりヘリコプター格納庫に近い合理的な配置となっています。


90式艦対艦誘導弾 おおなみを前方から見る
90式艦対艦誘導弾 おおなみを前方から見る
接弦している「おおなみ」 艦番号111です
接弦している「おおなみ」 艦番号111です
OPS-24、OPS-20、OPS-28が搭載されている 3連装魚雷発射管がこちらを向いています
OPS-24、OPS-20、OPS-28が搭載されている 3連装魚雷発射管がこちらを向いています
衛星通信空中線装置 艦橋とラティスマスト
衛星通信空中線装置 艦橋とラティスマスト
後部格納庫と哨戒ヘリSH-60K CIWS
後部格納庫と哨戒ヘリSH-60K CIWS
哨戒ヘリSH-60K Mk.41 mod.18 VLS(32セル)がこの上にある
哨戒ヘリSH-60K Mk.41 mod.18 VLS(32セル)がこの上にある
127mm砲弾の薬きょう 艇長席
127mm砲弾の薬きょう 54口径127mm単装速射砲
127mm砲の砲塔は無人です 砲弾を持ってみましょう
127mm砲の砲塔は無人です 砲弾を持ってみましょう
54口径127mm単装速射砲 VLS発射装置は、一段高いところにあります
54口径127mm単装速射砲 VLS発射装置は、一段高いところにあります
Mk.41 mod.18 VLSは32セルあります 54口径127mm単装速射砲の説明書き
Mk.41 mod.18 VLSは32セルあります 54口径127mm単装速射砲の説明書き
国土交通省のボートです CIWSとVLS、さらにレーダー群
国土交通省のボートです CIWSとVLS、さらにレーダー群
VLSとCIWS 127mm砲
VLSとCIWS 127mm砲
90式SSM 4連装発射筒 3連装短魚雷発射管
90式SSM 4連装発射筒 3連装短魚雷発射管
3連装短魚雷発射管 哨戒ヘリ「SH-60K」
3連装短魚雷発射管 哨戒ヘリ「SH-60K」
MAD ヘリ内部のソナー
MAD ヘリ内部のソナー
格納庫内部 SH-60K内部
格納庫内部 SH-60K内部
SH-60Kのローター 格納庫は2機収容できる規模です
SH-60Kのローター 格納庫は2機収容できる規模です
SH-60Kの前部 ローターを固定するためのサポーター
SH-60Kの前部 ローターを固定するためのサポーター
90式艦対艦誘導弾 甲板上に設置されている3連装短魚雷発射管
90式艦対艦誘導弾 甲板上に設置されている3連装短魚雷発射管

護衛艦「おおなみ」型 性能諸元
排水量 基準:4,650トン 満載: 6,300トン
長さ 151m 17.4m
深さ 10.9m 喫水 5.3m
主機械 COGAG方式(最大60,000ps)
LM2500ガスタービンエンジン (16,500PS) 2基
SM1Cガスタービンエンジン (13,500PS) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 30kt
主要
兵装
高性能20ミリ機関砲 2基
54口径127ミリ単装速射砲 1基
Mk.41 mod.18 VLS(32セル) 2基
 ・ESSM対空ミサイル ・アスロックSUM
68式3連装短魚雷発射管 2基
90式SSM4連装発射管 2基
艦載機 SH-60J/K哨戒ヘリコプター 1機
FCS FCS-2-31B 主砲・短SAM用 2基
C4I MOFシステム(OYQ-31 C2T+SUPERBIRD B2)
海軍戦術情報システム
(OYQ-9 CDS+リンク 11/14/16)
OYQ-103 ASWCS
レーダー OPS-24B 3次元式 1基
OPS-28D 対水上捜索用 1基
OPS-20 航海用 1基
ソナー OQS-5 艦首装備式 1基
OQR-2 曳航式 1基
電子戦 NOLQ-3電波探知妨害装置
対抗手段 Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
曳航具4型 (対魚雷デコイ)
 スライドショー
ミサイル艇「うみたか」
スライドショーの使い方

 3つのボタンで画像を移動できます。
 
 最初・・・最初の画面に戻ります。

 戻る・・・一つ前の画像に戻ります。

 次へ・・・次の画像に移動します。
 
 拡大・・・拡大画像を表示します。
               
伏木港 護衛艦「おおなみ」マップ
電子国土ポータルへのリンクです