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小口川軌道 |
小口川軌道は、富山県富山市水須にあるトロッコ軌道です。常願寺川支流小口川の上流域に、この軌道は存在します。
軌間762mmの特殊狭軌(ナローゲージ)で、軌道延長は1.8kmです。
その用途は、軌道終点にある北陸電力小口川第三発電所及び真立ダムへの資材輸送なのですが、奇妙なことに軌道の起点が発電所に続く山道の途中にあるのです。
つまり小口川第二発電所から第三発電所までに到る陸路のうち、道幅が狭く路肩が崩れやすいなどの事情のために整備も困難な最末端区間を、トロッコ軌道によって輸送しているわけです。
小口川第二発電所からの急な登り道は標高差が約230mほどあります。もちろん自動車や軌道では通れるわけもありませんので、索道が設置されていて、資材を運搬しています。
以前はもっと軌道が長かったことは現地での調査で線路跡があったことから判明していますが、順次山道を整備して軽トラック程度なら走れるようにしていったために、次第に軌道が廃止されていき現在の状況となったと思われます。
各書には、「水口建設資材運搬線」と命名されて紹介されているように、この軌道は水口建設産業(株)が車両を保有し実際の運行を担当していますが、軌道は北陸電力が保有しています。軌道敷地は、国有林となっています。
この小口川軌道の特徴は、自動車改造による手作り的な内燃機関車を動力車として用いていることでしょう。
そもそもこのような森林鉄道自体が今の日本ではほとんど見かけなくなっています。
富山県内には、立山砂防工事専用軌道(千寿ケ原-水谷間18km)がありますが、こちらは軌間が610mmともっと狭いのです。
実際に現地を訪れてみると、軌道はほとんど平坦な山道を真立ダム方面に向かって走っていました。通行自体は第二発電所からの急勾配の山道さえ登りきれば後は特に問題ないのですが、実はここには熊が出ることがあるそうでたいへん危険なのです。
ところがこのときはなんと途中で崖崩れで軌道は不通でした。後日、不通部分の復旧が終わり、軌道は運行を再開したとのことで安心しました。一時は軌道を廃止することも検討されたようでヒヤヒヤものですね。
もしこの軌道が廃止されるとなるとヘリコプターによる資材輸送しか手段がなくなりますが、それはコストがかかりすぎますから。 |
小口川軌道 |
路線距離 |
1.8km |
軌間 |
762mm |
駅数 |
2駅(起終点駅含む) |
複線区間 |
なし(全線単線) |
電化区間 |
なし |
閉塞方式 |
なし ただし、途中に列車交換設備あり |
最高速度 |
不明 |
開業年月日 |
不明 |
使用車両 |
パジェロ号(改) |
列車種別 |
貨物列車のみ |
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小口川軌道起点 |
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パジェロ号(改) |
貨車 |
小口川軌道で使用されている機関車はディーゼル自動車を改造してディーゼル機関車として運用しています。
過去にも多数の車両が投入されていますが、ここで紹介するのは最新鋭のパジェロ号(改)です。
三菱マークがついていますが、元々がディーゼル車だったものをこのように改造したわけです。
前面下部が開いていますが、これはエンジンの冷却用です。
つまり負荷が大きいためにオーバーヒートしがちなのでこのような措置をとっているのでしょう。
しかしこのように巧みに手作り式で改造された機関車を使用しているのは今となってはここしかないのではありますまいか。
森林鉄道はほぼ絶滅してしまいましたし、ナローゲージの貨物用軌道が残っているのは、極めて少ないのです。 |
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