JR九州・長崎駅
長崎(ながさき)
西九州新幹線 諫早 長崎
長崎本線    浦上
長崎電気軌道本線   八千代町 →  長崎
駅前
五島町
長崎電気軌道桜町支線       桜町
所在地 長崎県長崎市尾上町1-89
所属事業者 九州旅客鉄道(JR九州)
長崎電気軌道
駅構造  高架駅(JR九州)
地上駅(長崎電気軌道)
ホーム  2面4線(新幹線)
2面5線(在来線)
2面2線(長崎電気軌道)
乗車人員  7,853人/日(2022年・JR九州)
乗降人員  7,160人/日(2019年・長崎電気軌道) 
開業年月日  1905年(明治38年)4月5日(JR九州)
1915年(大正4年)11月16日(長崎電気軌道)
駅種別  直営駅 みどりの窓口
所属路線 西九州新幹線
キロ程 69.6km(長崎起点)
所属路線 長崎本線 
キロ程 125.3km(鳥栖起点) 
所属路線 長崎電気軌道本線(1号系統・2号系統) 
駅番号 27
キロ程 4.9km(住吉起点) 
所属路線 長崎電気軌道桜町支線(3号系統) 
キロ程 0.0km(長崎駅前起点) 
長崎駅
長崎駅
N700S系「かもめ」
N700S系「かもめ」
長崎駅(ながさきえき)は、長崎県長崎市尾上町にある九州旅客鉄道(JR九州)の駅である。
長崎県の県庁所在地長崎市の中心駅であり、西九州新幹線および長崎本線の終着駅である。
長崎県内で最も利用者が多い。新幹線「かもめ」や長崎都市圏及び佐世保市など県北地域を結ぶ快速「シーサイドライナー」、普通列車が発着する。
当駅の所属は長崎本線であるが、大村線の大半の列車が当駅まで乗り入れを行っている。
かつては本州方面への優等列車が多数運転されていたが、2008年に寝台特急「あかつき」が廃止されて以降は、発着する全ての列車が九州内のみの運転となっている。
2013年10月15日より、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」が当駅へ乗り入れるようになった。しかし、西九州新幹線が開業してからは乗り入れ先を佐世保駅に変更した。
駅前の長崎電気軌道の停留所からは路面電車が浜町・銅座などの中心市街地や市内の観光地などを結んでいる。
当駅は長崎県主体のJR長崎本線連続立体交差及び西九州新幹線建設事業を経て、2020年3月28日より新駅舎へ移転・高架化された。
2022年9月23日に西九州新幹線が開業し、日本最西端の新幹線停車駅となった。

N700S系新幹線「かもめ」 新幹線ホーム
N700S系新幹線「かもめ」 新幹線ホーム


駅構造

JR九州

  • 新幹線は島式ホーム2面4線、在来線は島式ホーム2面5線を有する高架駅。車止め側から見て左側が1番のりばである。4番のりばは5番のりばの浦上寄りを切り欠いた先にあり、他のホームより短い。
  • 在来線ホームの有効長は1,2番線は4両、3番線は6両、4番線は2両、5番線は8両以上である。新幹線ホームの有効長は6両で、可動式安全柵が設置されている。
  • 直営駅でみどりの窓口が設置されており、SUGOCAにも対応している。新幹線、在来線とも終着駅ではあるが、浦上駅などからの新幹線利用客を考慮して、乗換改札口が設置されている。有効な特急券などを所持していれば当駅を経由しない乗車券であっても乗換改札口を通過して新幹線諫早駅方面へ向かうことができる。
  • 地上駅時代のプラットホームは、頭端式ホーム3面5線で跨線橋や構内踏切等の設備はなく、改札口から全てのホームへ平面移動が可能であった。
  • 平成に入り設置された0番のりばを除き有効長が長く取られていたが、これはかつて当駅から本州方面への長距離優等列車(寝台特急「さくら」・「みずほ」・「あかつき」など)が走っていた名残である。2番のりばと3番のりばとの間に中線が1本あり、1982年(昭和57年)頃まで長崎港駅へと通じていた。1・2番のりばの上屋は木製であり、このホームの端(浦上方)に運転取り扱いの建物があった。0番のりばが設置される前は、当駅は島式ホーム2面4線で、1・2番のりばは駅舎と直結し、長崎港駅(1982年廃止)につながる線路に面した3・4番のりばと駅舎は跨線橋で接続されていた。1993年(平成5年)頃にホームを頭端式に変更し、ほどなく跨線橋が廃止され、同時期に0番のりばが増設された。従来線路が延びていた敷地は屋外駐車場へと転用され、のち2000年(平成12年)にアミュプラザ長崎が建設された。
  • 高架化前のホーム西側には複数の側線が引かれ、旅客列車の留置線として使用されていた。2014年(平成26年)3月までは隣接地に長崎車両センターが存在していた。
  • アミュプラザ前の広場(かもめ広場)はオープンスペースとなっており、各種イベントが行われていた。また長崎ランタンフェスティバル期間中は天井に竜のオブジェ「アミュゴン」が飾られており、さまざまな装飾が施されていた。広場の天井近くには三菱電機製の大型モニター(オーロラビジョン)も設置されていて、JR九州関連のPR映像などが流れていた。
キハ47形気動車 JR九州885系電車
キハ47形気動車 JR九州885系電車

のりば

のりば 路線 行先 備考
1-5 長崎本線 諫早・湯江・肥前浜方面 大村線直通列車の設定あり
大村線 大村・ハウステンボス・佐世保方面
11-14 西九州新幹線 佐賀・新鳥栖・博多方面 武雄温泉駅で博多行き特急と接続

長崎電気軌道

  • 長崎駅前に広がる高架広場の先に停留場がある。停留場は併用軌道区間にあり、ホームは道路上に置かれ、2面のホームが長崎駅に並行して伸びる2本の線路を挟んで向かい合う(相対式ホーム)。駅側にあるのが赤迫方面行きのホーム、反対側にあるのが崇福寺・蛍茶屋方面行きのホーム。ホーム長は40メートル余りで、2015年に赤迫停留場のホームが延長されるまでは長崎電鉄で一番長いホームだった]。
  • 利用者が多いため、崇福寺・蛍茶屋方面行きのホームは乗車位置が分かれていて、ホーム先端寄りの停止線に3号系統蛍茶屋行き、ホーム中央の停止線に1号系統崇福寺行きが停車する。同ホームでは日本語と英語の自動放送が流れ、この自動放送では長崎西洋館や平和公園など、反対方向の赤迫方面の案内も放送されている。ホームの両端には横断歩道橋が接続し、出入りにはこれを使用する。もともと停留場につながるのはこの歩道橋のみであり、高齢者や大きな荷物を抱える旅行者にとっては使いにくいとされていたが、電停赤迫方面側に新たにバリアフリー対応のエレベーターが建設され、2022年9月20日より使用が開始された。
  • ホーム中央付近に上り線から下り線への片渡り線があり、市中心部でのイベント開催時など、当停留場始発の臨時便が運転される際に使われる。本線と桜町支線の分岐部は停留場の南にあり、大波止方面に向かう本線が右へ、桜町支線が左へ分岐する2方分岐。戦前は桜町支線と本線大波止方面の間も結ばれ、3方分岐のデルタ線を形成していた。これを利用して1934年から1937年(昭和9年から昭和12年)までは市中心部を環状運転する循環系統が設定されたこともある。循環系統については2000年10月にも試験的に運行され、この時はデルタ線がない代わりに当停留場の片渡り線を使用したが、利用者がそれほど多くなかったため、定着には至っていない。
  • 4号系統の大幅減便による利便性低下を緩和させる事を目的として、2022年9月1日からICカード利用者のみ本停留場での乗り換えが可能となっている。
のりば
上り 1号系統 (上り) 住吉・赤迫方面
3号系統
下り前 3号系統 (下り) 市民会館・蛍茶屋方面
下り後 1号系統 (下り) 大波止・新地中華街方面

駅舎

  • JR線の駅舎3代目は、2018年8月より東口(永昌東町)と西口(永昌町)を結ぶ自由通路と接続した橋上駅舎となっている。駅舎にはJR線専用の改札口や待合室、みどりの窓口、自動券売機が設置され、JR線の各ホームとは階段とエレベーターとで接続されている。
  • 東口側は諌早市が駅周辺再開発整備の一環で整備した「再開発ビル1棟」と接続しており、島原鉄道線の駅舎(改札口・乗り場)の出入口が設けられている。島原鉄道は改札の分離に併せて駅員が配置されるようになり、自動券売機も1台設置されている。
  • 先代の2代目駅舎は有明線が開通した1934年(昭和9年)竣工の木造2階建て(一部)で、外観は2か所の出入り口部のみ上った上屋軒先に、駅舎内も構成的な意匠が施された柱や梁、折り上げ天井の待合室など、洋館風のモダンなものであった。
  • 1990年代末期に外観の塗色が従来の緑色から茶色に塗り替えられたがそのほかの大きな変化はなかった。駅舎は駅の東側に位置しており、西側とは地下道で結ばれていたが、自由通路の供用開始により閉鎖された。
改札口 キハ66系気動車
改札口 キハ66系気動車

歴史

1897年(明治30年)、九州鉄道が長崎市内への路線を開通させた際に、「長崎駅」として開設されたのは現在の在来線の隣駅である浦上駅であった。その後、より市街地に近い大黒町への新駅設置と路線延伸が検討され、1905年に路線が市中心部側へ延伸されて現長崎駅が開業し、それまでの長崎駅は浦上駅へと改称された。
大正時代に2代目の駅舎としてドイツ風建築の木造駅舎が建てられた。1915年には長崎電気軌道の開業に伴い、長崎駅前停留場が開設される。 1945年8月の原爆投下により駅舎は焼失し、1949年にステンドグラスを備えた三角屋根が特徴の3代目駅舎が建てられた。1988年には大規模な改装工事が行われたが、老朽化と新駅舎建設のため1999年に取り壊された。
4代目駅舎は2000年に建てられたもので、旧駅舎の三角屋根に代わりドーム状の屋根と多目的広場「かもめ広場」が設けられ、それに併設する形で複合商業ビル「アミュプラザ長崎」「JR九州ホテル長崎」が開業した。高架化前の長い間旅客ホームの線路はすべて車止めが設けられ行き止まりとなっていたが、1930年から1982年までは、当駅から南へ約1.1kmの地点に長崎港駅(ながさきみなとえき)が存在した(通称臨港線)。戦前・戦時中は長崎港へ寄港する日華連絡船へ接続する旅客列車(ボート・トレイン)が乗り入れ、戦後の航路廃止後は貨物列車のみが運行されていたが、1982年に廃止された。
2020年3月27日をもって駅全体が高架化され4代目駅舎は供用を終了し、5代目駅舎の併用を開始した。

明治・大正時代

  • 1904年(明治37年)11月16日:長崎港の埋め立て工事(第2期港湾改良工事)が完成し、台場町など24町が新設される。
  • 1905年(明治38年)
  • 2月:浦上から台場町まで1マイルの臨港路線が延長され、その終点に仮駅舎が設置される。
    埋め立て工事の完成と日露戦争勃発による軍事物資の輸送の必要性が生じたため。
  • 4月5日:九州鉄道の駅として開業。台場町の仮駅舎が「長崎駅」となり、浦上にあった従来の長崎駅が浦上駅に改称。
  • 1907年(明治40年)7月1日:九州鉄道の国有化により帝国鉄道庁(九州帝国鉄道)の駅となる。
  • 1911年(大正元年)10月21日:2代目の駅舎が完成。駅舎はコテージ式2階建てで、2階は貴賓室にあてられた。
  • 1915年(大正4年)11月16日:長崎電気軌道が病院下 - 築町間で開通、長崎駅前停留場開業。
  • 1919年(大正8年)12月25日:当停留場から桜町までの区間が開通。
  • 1922年(大正11年)11月1日:一等駅に昇格。

昭和時代

  • 1930年(昭和5年)
    • 3月19日:長崎駅 - 長崎港駅間が開通。
    • 10月1日:長崎線に準特急が導入され、東京・長崎間が21時間に短縮される。
  • 1931年(昭和6年):駅舎2階の貴賓室を廃止し、食堂を開業。
  • 1942年(昭和17年)
    • 9月12日:鉄道局長崎管理部が発足。
    • 11月15日:関門トンネルが開通し、特急「富士」が長崎に乗り入れる(長崎 - 東京間の直通列車)。
  • 1945年(昭和20年)
    • 4月26日:午前11時、空襲により長崎駅2番ホームに停車中の列車に直撃弾命中、死者90名。駅本屋半壊被災。
    • 8月9日:原子爆弾投下により、駅本屋残部分全焼。爆心地に近い大橋鉄橋から長崎駅の間の路線が不通となる。
    • 8月10日:復旧工事を開始。
    • 8月11日:復旧工事が完成。午後10時15分長崎駅発の終列車から運行を再開。
  • 1949年(昭和24年)5月25日:3代目駅舎完成。
  • 1950年(昭和25年)
    • 6月:駅前広場の拡張により、長崎駅前停留場が東へ36メートル移設。
    • 7月31日:機構改革により、国鉄長崎管理部が廃止される。
  • 1958年(昭和33年)8月1日:長崎 - 博多間日帰りディーゼル・カーの運転が開始される。
  • 1959年(昭和34年)
    • 7月21日:特急「さくら」が長崎に乗り入れを開始し、長崎 - 東京間を20時間で結ぶ。
    • 8月:2階建ての団体待合室(500名収容可能)が完成。
  • 1960年(昭和35年)8月1日:国鉄西部支社長崎出張所が設置される。
  • 1961年(昭和36年)10月1日:長崎 - 京都間に特急「かもめ」、長崎 - 熊本間に準急「ちくご」が乗り入れを開始。
  • 1963年(昭和38年)12月22日:長崎駅前に長崎県交通局本局庁舎及びバスターミナル(長崎交通産業会館ビル)が完成。
  • 1966年(昭和41年)2月7日:交通ラッシュ解決のため、県下で初めての横断歩道橋が長崎駅前に完成。
  • 1967年(昭和42年)12月19日:長崎駅前に2つ目の横断歩道橋が完成。
  • 1969年(昭和44年)
    • 4月:長崎駅前停留場を再度移設。
    • 6月:全国で初めて駅前高架広場が完成。
  • 1982年(昭和57年)
    • 7月23日から24日:長崎大水害で駅舎が浸水する。
    • 11月14日:長崎駅 - 長崎港駅間がこの日限りで廃止。
  • 1985年(昭和60年)3月14日:鮮魚貨物列車「ぎんりん」、コンテナ化。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化に伴い、九州旅客鉄道(JR九州)と日本貨物鉄道(JR貨物)の駅となる。
  • 1988年(昭和63年)11月:駅新装開業。

平成・令和時代

  • 1998年(平成10年)
    • 4月1日:鮮魚コンテナ貨物列車廃止。
    • 5月15日:駅舎改築のため、仮駅舎に移転。
  • 1999年(平成11年)
    • 3月30日:長崎駅前停留場を改築。
    • 7月1日:貨物列車発着廃止、トラック便運転開始。
    • 2000年(平成12年)9月21日:4代目駅舎完成。
    • 2001年(平成13年)9月1日:長崎駅前停留場に行先案内放送装置を設置。
    • 2002年(平成14年)10月:JR九州が長崎県内の駅で初となる自動改札機を導入。
    • 2006年(平成18年)4月1日:長崎オフレールステーション開設。
    • 2012年(平成24年)12月1日:当駅を含む長崎地区19駅にSUGOCAを導入。
    • 2013年(平成25年)10月15日:豪華寝台特急列車「ななつ星 in 九州」乗り入れ開始。
    • 2014年(平成26年)3月15日:当駅西側の長崎車両センター(車両基地)が、在来線高架化及び新幹線用地のため佐世保線早岐駅構内へ移転。
    • 2016年(平成28年)3月26日:当駅構内幸町踏切から浦上駅間の上下線が、連続立体交差事業により仮線路へ切り替え。
    • 2020年(令和2年)3月28日:JRの駅が高架化される。
    • 2022年(令和4年)
      • 3月18日:高架下商業施設「長崎街道かもめ市場」が開業。
      • 9月20日:長崎駅前停留場にエレベーターを設置。
      • 9月23日:西九州新幹線が開業し、長濱ねるが一日駅長に就任。JR貨物の駅が廃止され、鉄道駅での貨物取扱が終了(オフレールステーションは存続)。

長崎本線連続立体交差事業

  • 長崎市内の踏切による慢性的な渋滞や東西市街地の分断を解消するため、長崎本線の松山町付近から長崎駅までの約2.4 kmの区間の線路を高架化する事業である。幸町・宝町・梁川橋・竹岩橋の4箇所に設置されている踏切が撤去される。
  • 2001年に着工準備が決定したが、新駅舎予定地に存在した長崎車両センターの移転協議が難航した。2007年8月に同センターを早岐駅に隣接するかつての早岐客貨車区の敷地内へ移転させることで決着し、2008年12月に都市計画決定、2010年2月に国の事業認可を受けた。2014年3月15日より車両センターが移転し、車両基地設備や転車台などは2016年までに撤去され、転車台の部品は天竜浜名湖鉄道に譲渡された。長崎本線の線路は2016年3月までに事業区間の全線が仮線路へ切り替えが実施されている。
  • 2020年3月28日に在来線の高架化が行われ、駅は旧駅舎より西側へ150メートル程移転した。新駅舎は1階にコンコース、2階に2面5線のホームをもつ高架駅となった。今後は、2022年度に西九州新幹線の長崎駅舎(2面4線)が併設される。また、現在の幸町踏切付近には10線程度の高架留置線が整備される。事業全体での概算事業費は約430億円。

新駅ビルについて

  • 新駅舎と現駅ビルの間のJR敷地内に地上13階建て(高さ60メートル)の商業・オフィス・駐車場・ホテルを含む新駅ビルが建設される。現駅ビルは存続され、新駅舎の高架下部分にも商業施設が整備される。
  • 新駅ビルに併設するホテルはマリオット・インターナショナルのブランドの一つであるマリオットを冠した「長崎マリオットホテル」で、JR九州グループとしては初のインターナショナルブランドのホテル運営となる。 現駅ビル以上の開発となり国際観光都市長崎の新しいランドマークとして博多駅に次ぐ規模となる。
  • 2022年度の新幹線開業と同時に高架下商業施設を開業し、2023年春に新駅ビルの部分開業(商業の一部・駐車場の一部・オフィス)を目指している。2025年度に全体のグランドオープンを予定する。