E 出力装置
出力装置としては、標準出力装置としてディスプレイ、印字装置としてプリンタがある。ディスプレイによる表示をソフトコピー、プリンタによる印字をハードコピーと呼ぶことがある。また図面出力用としてプロッタがある。
1) ディスプレイの種類
(1) CRTディスプレイ
従来からディスプレイの代表的な装置であり、ブラウン管を持った表示装置のことである。
ブラウン管があることから基本的にはテレビと同様な原理で表示されるが、通常のテレビより解像度が高いのが特徴である。
最近では、サイズが15インチあるいは17インチでさらに複数の走査周波数に対応するマルチスキャンモニタが一般的である。
従来は、デスクトップ型パソコンではCRTディスプレイを使用するのが当然であったが、どうしても奥行きが必要で置き場所を取るので、最近ではデスクトップ型パソコンでも後に述べる液晶ディスプレイを採用したモデルも多い。
(2) 液晶ディスプレイ
従来はノート型パソコンの表示装置として使用されてきた表示装置である。
最近ではブラウン管を持たず、奥行きが必要ないことから置き場所に困らないのでデスクトップ型パソコンでもこれを採用するモデルが増えている。
現在、販売されている液晶ディスプレイは、ほとんどカラー表示可能なモデルである。
従来は、カラー液晶パネルの製造過程での歩留まりが悪く、非常に高価だったが現在では、改良が重ねられ歩留まりも改善されたこともあり、かなり価格が下がっている。
それでもなおCRTディスプレイよりは高価ではあるが、その価格差はかなり小さくなり、現在ではむしろこちらのほうが主流といってもよい状況である。
液晶ディスプレイとCRTとの相違点は、次の通りである。
@)液晶ディスプレイは、消費電力が小さく、奥行きもないので置き場所に有利である。
A)液晶ディスプレイは、カラー表示に関してはCRTディスプレイにはまだ及ばない。
CRTディスプレイでは、1677万色以上が表示できるのに液晶ディスプレイはディザリングで擬似的にフルカラーを表示するものが多い。
B)解像度の点でもCRTディスプレイの方が高解像度が表示できるし、他の解像度に変更しても表示に問題がないのに対し、液晶ディスプレイは、決まった解像度以外に変更するとうまく表示できないケースが多い。
また、輝度の点でもCRTディスプレイの方が優れている。
ただしCRTディスプレイは、にじみやぼけがあるのに対し、液晶ディスプレイにはそれがなく、クリアである。
C)価格の点では、液晶ディスプレイはCRTディスプレイよりも高価である。
D)液晶ディスプレイは、視野角度に制約があり、基本的には正面から見ないとよく見えないのに対し、CRTディスプレイはそのような制約はない。
E)表示速度、表示精度ともCRTディスプレイの方が優れているのでゲームソフト、あるいはCADソフト等を実行するにはCRTディスプレイの方がよい。
3) 液晶ディスプレイの分類
液晶ディスプレイの分類として表示原理による分類及びインタフェースによる分類が考えられる。
次の表は、2種類の分類の一覧である。
@)表示原理による分類
タイプ 特  徴
STN  従来のカラー表示可能な液晶に使用されているが輝度に劣るので現在はほとんど使用されていない。
DSTN STN型を改良したタイプで輝度は、STNに勝るがTFTには劣る。
TFT  現在販売されている液晶パネルはこのタイプである。
性能的には最も優れているが、最も高価である。
 
A)インタフェースによる分類
インタフェース 特  徴
デジタルインタフェース  ノートパソコン用だが、デスクトップ型パソコン用も存在する。
画質は優れているが対応機種が少ない。
アナログインタフェース  通常のパソコンのアナログRGB端子に接続できるが、画質はやや劣る。
最近ではたいていの市販の液晶ディスプレイは、アナログ、デジタル両対応であるので特に問題がない。
パソコン本体側にあるディスプレイコネクタは従来であればアナログRGBであったのでアナログインタフェース対応の液晶ディスプレイしか接続できない理屈になるが、最近のビデオカードではDVI-Iと呼ばれるデジタル、アナログ両対応のインターフェースが多いのでそのようなビデオカードを搭載していればどちらでも接続できることになる。

下記の表は、一般的なディスプレイコネクター規格です。
規格 イメージ
ミニD-SUB15ピン(アナログ)
アナログ信号を接続します。
通常のCRTディスプレイもこのタイプです。
このタイプであれば、問題なくCRTディスプレイから置き換えることができます。
DVI-D(Digital)24ピン
デジタル信号をそのまま接続するので、画像劣化やノイズがほとんどありません。
ただし完全なデジタルインタフェースになるのでパソコン側にDVI端子がないと使用できません。
DVI-I(Integrated)29ピン
デジタル信号をデジタル信号またはアナログ信号で接続できます。
このコネクターを通常のアナログ端子(ミニD-SUB15ピン)に接続するには変換アダプタが必要になります。
DVI-A(Analog)
アナログ信号を接続します。
4) 解像度
ディスプレイの表示は、点の集合で表現している。同じ面積を表示するなら点の数が多い方が細かく表示できることになる。
縦横の点の数は、国際的にある程度規格化がなされている。
液晶ディスプレイは、現在のところ15〜17インチが主流であり、それ以上の高解像度を持つ液晶パネルは急に高価になるので、CRTディスプレイを使った方がコスト的には有利である。
 次の表は、解像度の主な規格の一覧である。
規 格 解像度   備 考
VGA 640×480 従来の表示解像度。
SVGA 800×600〜 複数の解像度をサポートする。
XGA 1024×768 従来からある高解像度規格。
SXGA 1280×1024 高解像度規格。
5) カラー
現在のディスプレイは、CRT、液晶を問わずカラー表示が可能なタイプである。
CRTディスプレイでは、1677万色以上が表示可能であるが、液晶ディスプレイでは、補完機能(ディザリング)により疑似的にフルカラーを表示できるタイプがまだ多く、本当にフルカラーが表示できるタイプはかなり高価になる。
解像度および表示色は、グラフィックチップとビデオメモリに依存する。
しかし最近のパソコンでは、本体側の表示能力は問題がないので、結局は液晶ディスプレイを搭載したときに実際に表示できる色数に制限がある場合が存在するだけである。
 次の表は、可能な表示色の一覧である。
   表示色(色数)  ビット数
 256色   8ビット
 ハイカラー(65000色)  16ビット
 26万色(液晶タイプ)  20ビット
 1677万色  24ビット
 32ビットフルカラー  32ビット
6) ビデオカード(グラフィックボード)
ディスプレイと本体を接続し、表示データを保持するメモリと表示データの処理を行うプロセッサを搭載するグラフィックボードが必要となる。
このグラフィックボードに相当する機能をあらかじめマザーボード上のチップセットに持っているパソコンもあるが(オンボード)、別にグラフィックボードを搭載しているパソコンも多い。
このグラフィックボードは、従来はPCIスロットに装備したが、最近ではグラフィックボード専用のAGPスロットにグラフィックボードを搭載するケースが多くなった。
最新のマザーボードではPCI-Express対応のものも登場していてその場合は、ビデオカードもPCI-Express対応のものになる。
AGPスロットは、グラフィック専用スロットなのでPCIスロットに搭載するボードとの互換性はない。
最近のグラフィックボードは、高性能化が著しく搭載されているメモリの容量も増加しているばかりか、その性能も通常の主メモリよりも優れている。
さらにプロセッサもCPU並の高性能を持つようになっている。
また最近のグラフィックボードは、3D、2D兼用ボードとなっているのが普通である。
次の表は、主なグラフィックボードの一覧である。
  AGPビデオカード

チップ名 スロット メモリ 備 考
GeForce PCX PCI-Express×16 128MBGDDR nVIDIA
GeForce6800 AGP×8 128MBDDR nVIDIA
GeForceFX5900 AGP×8 128MBDDR nVIDIA
GeForceFX5700 AGP×8 256MBDDR nVIDIA
RadeonX800 PCI-Express×16 256MBGDDR3 ATI
Radeon9800XT AGP×8 256MBDDR ATI
Radeon9600 AGP×8  128MBDDR ATI
Radeon9200 AGP ×8 PCI 128MBDDR ATI
※これらのボードは、全て3D,2D兼用ボードである。
最近では、最新チップはたいていAGPボードの形で販売され、PCIボードの形で販売されないチップもある。また販売されてもAGPより高価で販売時期も後になることが多い。
最新チップは、Direct3Dに対応し、それ以外にOpenGL、Glideなどにも対応している。