海上自衛隊 護衛艦「いなづま」の主な装備
護衛艦「いなづま」
護衛艦「いなづま」DD105
この写真は、2002年3月17日富山新港に寄港した護衛艦「いなづま」に搭乗した際に撮影したものです。
護衛艦「いなづま」は、「むらさめ」型の5番艦で最新鋭汎用護衛艦です。
「むらさめ」型は第2世代のDDとして開発され、従来の汎用護衛艦に比べると、船体も大型となり、「はるな」型と同等となっている。
また航走雑音の低減を考慮して、船型は細長くなっており、これにより凌波性・砕波性は優れたものとなっている。またレーダー反射断面積(RCS)低減のため、船体・上部構造物ともに傾斜が付されており、船体舷側は外側に、上部構造物や煙突壁面は内側にそれぞれ7度傾けられているほか、壁面の合わせ目は鋭いエッジとしている。また大型のラティスマストにも電波吸収体が貼り付けられている。
主機方式は、COGAG方式が踏襲され、ガスタービン機関が2機種2基ずつとなっている。巡航機はロールス・ロイス社製のスペイSM1C(1基あたり13,500馬力)、高速機はゼネラル・エレクトリック社製のLM2500(1基あたり16,500馬力)である。
また主発電機としては、川崎重工業M1A-25ガスタービンエンジン(出力1,500 kW)を原動機とした発電機3基が搭載されている。
艦の指揮中枢となる戦闘指揮所(CIC)は船体内の第2甲板に設置されており、戦闘システムの中核となる戦術情報処理装置は新世代のOYQ-9である。OYQ-9は新世代の電子計算機であるUYK-43 1基とUYK-44 1基を中核として、ワークステーションとしてAN/UYQ-21が配置されているほか、CICにはイージス・ディスプレイ・システム(ADS Mk.2)に類似した大画面液晶ディスプレイ(LCD)2面構成の情報表示プロジェクタが設置され、戦術情報の表示を効率化している。
また本型では、OYQ-9とのインターフェースを取って、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASWCS)が搭載されており、これによって全武器システムとのデジタル連接が実現された。データリンクとしてはリンク 11およびリンク 14、また、哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)との連接用にORQ-1 TACLINKを装備している。
個艦防空ミサイル(短SAM)の垂直発射機(VLS)としては、発展型シースパロー(ESSM)を搭載した16セルのMk.48が艦の中央部の煙突間に配置されている。主砲としては76ミリ単装速射砲を艦首甲板に1基装備している。また近接防空用については、高性能20mm機関砲2基を搭載している。
射撃指揮装置(FCS)としては、砲・短SAMの双方を管制できる改良型であるFCS-2-31を2基搭載することで、同時2目標対処が可能となっている。なお、対空捜索用のレーダーとしては、アクティブ・フェーズドアレイ(AESA)アンテナを用いた3次元レーダーであるOPS-24Bを搭載した。
対艦兵器としては、90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)4連装発射管2基を搭載している。
対潜兵器は、アスロック発射機として、垂直発射式のMk.41 mod.9 VLS(16セル)が搭載された。搭載位置は艦橋構造物前方で、甲板内に収容されている。Mk.48を含め、これらの垂直発射装置は、汎用護衛艦としては初めての搭載例である。
魚雷発射管としては、68式3連装短魚雷発射管HOS-302を艦中部両舷に装備している。
しかし対潜戦での最大の変更点は、OYQ-103 対潜情報処理装置(ASW Control System: ASWCS)によるシステム化の導入であろう。
本型のOYQ-103は、OYQ-9と連接されるとともに、水測予察器やソナー、曳航ソナー(TASS)、ソノブイ信号処理装置(SDPS)などのセンサー、VLSや魚雷発射管などの対潜兵器、更にはヘリコプター・データリンク(TACLINK)を介して哨戒ヘリコプターのヘリコプター戦術情報処理装置(HCDS)とも連接されている。
いずれも従来の汎用護衛艦とは一線を画した新機軸が盛り込まれているといえよう。

62口径76㎜速射砲 VLS発射装置
62口径76㎜速射砲 Mk41 MOD9 VLS 16セル
「あぶくま」及び「いなづま」に搭載しています。
対空・対艦用艦砲です。砲塔内は無人ですが下部には砲弾を装填する人員が3名必要です。
アスロックの発射機として前甲板に16セルが配置されている。後部の16セルには、ESSM対空ミサイルが装填されている。
90式艦対艦誘導弾発射管 チャフ発射装置
90式艦対艦誘導弾発射管 チャフ発射装置
90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)は1号型ミサイル艇で装備化された国産の艦対艦ミサイルで、従来使用されてきたハープーンよりも優れた精度と対妨害性を備えていて、射程も長いと言われている。 アルミ箔を詰めたロケットを発射して、対艦ミサイルを欺瞞する防御的兵器です。チャフは艦の周囲をアルミ箔の雲で覆い、レーダー波を攪乱します。
68式3連装短魚雷発射管 CIWS
68式3連装短魚雷発射管 20㎜CIWS
対潜魚雷を3連装で発射します。 対艦ミサイルを水際で撃墜するための、近接兵器です。
SH-60Jシーホーク 76mm砲弾
SH-60Jシーホーク 7676mm砲弾
いわゆる対潜ヘリコプターです。海上自衛隊の八八艦隊の後の八は、対潜ヘリ8機を意味します。
8隻の護衛艦に8機の対潜ヘリで1護衛隊群を構成します。
62口径76mm砲で使用する砲弾です。これを砲塔下部の艦内でマガジンに人力で装填する仕組みになっています。マガジンには80発を装填できるようになっています。

護衛艦「いなづま」 主要性能要目
排水量 基準:4,550トン 満載: 6,100トン
長さ 151m 17.4m
深さ 10.9m 喫水 5.2m
主機械 COGAG方式(最大60,000ps)
LM2500ガスタービンエンジン (16,500PS) 2基
SM1Cガスタービンエンジン (13,500PS) 2基
スクリュープロペラ 2軸
速力 30kt
主要
兵装
高性能20ミリ機関砲 2基
62口径76ミリ速射砲 1基
VLS装置(16セル+16セル) 2基
 ・ESSM対空ミサイル ・アスロックSUM
68式3連装短魚雷発射管 2基
90式SSM4連装発射管 2基
艦載機 SH-60J/K哨戒ヘリコプター 1機
FCS FCS-2-31 主砲・短SAM用 2基
C4I SUPERBIRD B2衛星通信装置
海軍戦術情報システム
(OYQ-9 CDS+リンク 11/14)
OYQ-103 ASWCS
レーダー OPS-24B 3次元式 1基
OPS-28D 対水上捜索用 1基
OPS-20 航海用 1基
ソナー OQS-5 艦首装備式 1基
OQR-2 曳航式 1基
電子戦 NOLQ-3電波探知妨害装置
対抗手段 Mk.137 6連装デコイ発射機 4基
AN/SLQ-25 対魚雷デコイ装置
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富山新港 護衛艦「いなづま」碇泊地点マップ
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