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「ひゅうが」DDH-181 |
平成30年7月28日~29日に伏木港万葉埠頭に護衛艦「ひゅうが」が来港して、艦内の一般公開が実施されました。
護衛艦「ひゅうが」DDH-181は、海上自衛隊のひゅうが型護衛艦の1番艦で、第3護衛隊群第3護衛隊に所属し、定系港は舞鶴となっています。
基準排水量は、13,950トンと護衛艦としては「いずも」型に次ぐ大きさで、事実上はヘリコプター母艦といえます。
武装は、Mk41VLS 16セル、Mk15高性能20mm機関砲2基、HOS-303 3連装短魚雷発射管 2基、12.7ミリ単装機関銃 7丁となります。
このクラスは、護衛艦としては初めて艦砲を装備していないのですが、VLSには、ESSM 短SAMとVLA SUMを搭載していて、強力な対空、対潜攻撃能力を持っています。この点が最低限の自衛用の近接防空ミサイルや高性能20mm機関砲のみを搭載し、ヘリコプター運用に特化したいずも型DDHと大きく異なることの一つであるといえます。
本艦は、実用艦として初めてFCS-3を搭載しています。このFCS-3は試験艦あすかで試験していた台枠を流用したもので、アクティブアレイの素子は全て新造品に交換されています。
「ひゅうが」型護衛艦は、広大な全通甲板と大きな船体容積によって、多数のヘリコプターを同時運用する能力を備えています。これにより、従来のヘリコプター搭載護衛艦よりも優れたゾーン対潜戦能力を実現するとともに、輸送ヘリコプターや救難ヘリコプターにも対応できることから、災害派遣や国際平和活動など戦争以外の軍事作戦、水陸両用作戦の支援など多彩な任務に対応することが可能となります。
前任のはるな型(43/45DDH)からヘリコプター運用能力、護衛隊群旗艦能力の発展、向上が要求されたことから、基準排水量は歴代自衛艦として当時最大の13,950トンとなった。満載排水量は推定で19,000トンとされ、イタリア海軍の「ジュゼッペ・ガリバルディ」や、スペイン海軍の「プリンシペ・デ・アストゥリアス」、タイ王国海軍の「チャクリ・ナルエベト」などの軽空母と同等か上回っており、イギリス海軍のヘリコプター揚陸艦「オーシャン」よりは小さいといえる。
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昇降機 |
自衛艦としては、ましゅう型(12AOE)もほぼ同等の基準排水量を備えているが、補給艦は搭載量が大きいことから、満載排水量はましゅう型のほうが一回り大きく、全長も24メートル長くなっています。
艦体や上部構造物はステルス性を考慮して側面に傾斜がつけられ、表面は平滑に整形されています。
主船体は7層、艦橋構造物は5層の甲板から構成されている。
艦橋構造物は右舷に寄せられ、長さは70メートル、幅9メートルのいわゆるアイランド方式となっています。
艦橋はアイランドの4層目(03甲板)に位置しており、同レベルの後部には航空管制室が設けられています。このアイランド部を除いて、第1甲板(上甲板)は艦首から艦尾まで平坦な全通甲板構造となっており、全域が飛行甲板とされています。
これにより、艦体の後方3分の1程度が平らなヘリコプター甲板だった従来のヘリコプター搭載護衛艦や、最初に発表された予想図のような艦形では不可能だったヘリコプター複数機の同時発着艦運用を実現し、艦橋が視界を遮ったり気流を乱す事も少なくなり、ヘリコプターの着艦作業も容易になった。ヘリコプター運用の妨げになることから、欧州のSTOVL空母が設置しているようなスキージャンプ勾配は設置していません。水線から飛行甲板までの高さは15メートルに及ぶ。飛行甲板の左舷側にはキャットウォークが設けられています。
艦内には、旗艦としての運用に備えて司令公室、幕僚事務室、司令部要員の居住スペースを備えるほか、緊急の災害対策本部としての使用も可能なように多目的室などの設備もあります。
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SH-60K |
また、戦闘を任務とする海上自衛隊の艦船としては初めて、設計段階から女性自衛官の居住スペースが確保され、女性自衛官は17名が乗艦しています。確かに女性自衛艦が乗艦しているのは、私も確認しています。この点は、けっこうウリになっているようです。
搭載艇としては11メートル作業艇と7.9メートル型内火艇を各1隻備えています。これらの格納スペースは第3甲板レベル両舷にレセス状に設けられており、開口部はレーダー波を透過しないRCSスクリーンで覆うこととされています。
主機関は、おおむねこんごう型(63DDG)の構成を踏襲するゼネラル・エレクトリック LM2500ガスタービンエンジン4基を2基ずつ2軸に配したCOGAG方式となっており、出力も同じ100,000馬力となっています。
こんごう型は基準排水量7,250トンと、本型よりひとまわり小型であることから、これと同出力の主機で速力30ノットを確保するため、船体設計にはかなりの配慮を必要としたものと考えられている・・・とのことですが、満載排水量19000トンの状態で全力航行しても30ノットが出せるのかは正直疑問ですが・・・。
原動機が設置される機械室は第5甲板から艦底までを通じて設けられています。従来のタービン推進艦と同様に機械室はシフト配置を採用しており、前方の第1機械室が左舷軸、補機室を挟んで後方の第2機械室が右舷軸を駆動します。
煙突はアイランドに組み込まれており、一方の吸気室は船体内の第2甲板両舷に配置されています。
排気路・吸気路は、第2-4甲板のエレベーター・格納庫を迂回するかたちで機械室に導かれています。
発電機としては4基のガスタービン発電機を備えており、容量は各2,400キロワット。非常発電機は備えておらず、主発電機の運転区分により対応することとなっています。
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Mk.41 mod.22 VLS |
「ひゅうが」は、中期防衛力整備計画に基づく平成18年度計画13,500トン型ヘリコプター搭載護衛艦2319号艦として、アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド横浜工場で2006年(平成18年)5月11日に起工し、2007年8月23日にアイ・エイチ・アイ
マリンユナイテッド横浜工場で挙行された進水・命名式において、防衛大臣小池百合子により「ひゅうが」と命名され、進水。
艦番号は当初DDH-145、建造番号2405号が与えられていたが、その後艦番号DDH-181、建造番号も2319号に変更された。
2009年(平成21年)3月18日に就役。第1護衛隊群第1護衛隊に編入された。定係港は呉、就役後は同基地を拠点として就役訓練が実施された。
就役目前にして急遽女性の乗組みが決まり、トイレや風呂、更衣室などを含めた居住区画はそのための配慮がなされ、就役時には女性自衛官17名が乗り組んでいます。
2009年9月5日、横浜港にて自治体、警察、消防、陸上自衛隊、海上保安庁のヘリコプターを用いての災害時における医療検証を実施しています。同年10月、海上自衛隊観艦式に受閲艦艇として初参加しました。同年11月10日から11月18日にかけてアメリカ海軍との二国間演習である「Annualex
21G演習」(「平成21年度海上自衛隊演習」)に参加しています。
2010年8月20日から8月23日、「伊勢湾マリンフェスタ2010」に護衛艦「こんごう」、「しらゆき」、掃海母艦「うらが」、砕氷艦「しらせ」とともに参加するため名古屋港に寄港しています。
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20mmCIWS |
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による東日本大震災に対し、「ひゅうが」は被災地への物資輸送および被災者の入浴支援の為、年次検査を切り上げて、16日午後横須賀基地より三陸海岸沖に進出し、SH-60K哨戒ヘリコプター4機による支援活動を行い、ヘリコプターを生かした物資搬送能力は、人道支援にその実力を見せました。
2012年2月10日17時頃、宮古島の北東約110㎞を北西に航行する中国海軍江凱型フリゲート4隻「常州」、「銅陵」、「嘉興」、「連雲港」を発見する。
2013年6月10日から26日まで米国カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトンおよびサンクレメンテ島にて実施される米軍単独であった統合訓練「ドーン・ブリッツ13」に初めて参加しています。他に護衛艦「あたご」、輸送艦「しもきた」が、陸上自衛隊からは西部方面普通科連隊と西部方面航空隊ほか航空自衛隊航空総隊が参加した。「ドーン・ブリッツ13」実施中の6月14日には「ひゅうが」の飛行甲板に米国海兵隊のV-22オスプレイ垂直離着陸輸送機が初めて日本の艦艇に着艦している。
2015年3月25日、編成替えにより第3護衛隊群第3護衛隊に編入され、定係港が舞鶴に転籍しています。
2015年8月18日から9月9日まで米国において実施された統合訓練「ドーン・ブリッツ15」に掃海隊群司令指揮の下、護衛艦「あしがら」、輸送艦「くにさき」とともに参加しました。
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艦橋とマスト |
2016年4月に発生した熊本地震による被災地支援のため、八代海に展開し、物資の集積拠点やヘリの運用拠点としての機能を果たした。4月19日には輸送支援に当たっている在日米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV-22オスプレイが着艦し艦上で水や食料、簡易トイレなどの救援物資を積み込み、南阿蘇村に空輸した。また、オスプレイへの燃料補給も行われています。
オスプレイとは結構縁があるようですね。
2016年6月10日から17日にかけて沖縄東方海域において実施される日米印共同訓練(マラバール2016)に参加し、その後、8月23日までの間、護衛艦「ちょうかい」とともにハワイ及び米国西海岸周辺海空域で実施される米国派遣訓練(RIMPAC
2016)に参加しました。
2017年1月22日及び23日にかけて舞鶴港内及び若狭湾北方海域においてロシア海軍太平洋艦隊所属のミサイル駆逐艦「アドミラル・トリブツ」、補給艦「ボリス・ブトマ」とともに日露捜索・救難共同訓練を実施しています。
2017年6月1日から6月3日にかけて日本海でアメリカ海軍の空母「カール・ヴィンソン」「ロナルド・レーガン」とその護衛艦隊、僚艦「あしがら」及び航空自衛隊F-15と共同訓練を実施しています。
2018年5月8日から5月24日にかけて輸送艦「しもきた」とともに九州西方海域、鹿児島県種子島及び同周辺海域において水陸機動団演習に参加する。陸上自衛隊からは水陸機動団、第1ヘリコプター団、西部方面航空隊等が参加しています。
就役から約1ヶ月後の2009年4月11日には一般公開され、8,200人が訪れています。この際、予定になかった艦載機用エレベーターに見学者を載せて昇降するデモンストレーションも行われた。
艦内には除籍された飛行不能なSH-60Jを1機(通称181号機)搭載していました。この機体は展示及び訓練(甲板上のマーシャリング等)に用いられており、一般公開時には飛行甲板上に展示されることが多いようです。今回の一般公開では格納庫に展示されていました。
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ここから館内に入ります |
格納庫甲板に入りました |
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SH-60Kが展示してあります |
格納庫甲板の後部は灯火管制となっています |
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SH-60Kの後部 |
エレベーターが降下してきました |
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昇降機が格納庫甲板に下りました |
この昇降機は30tまでの荷重に耐えられます |
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格納庫甲板から飛行甲板までの高さはかなりのものです |
昇降機が上り始めます |
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格納庫甲板の面積はかなりのものです |
上甲板にあるアイランド型艦橋が全容を現しました |
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巨大なアイランド型艦橋 |
航空管制室が艦橋後部に設置されています |
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VLS MK41 MOD22が16セルあります |
VLSにはESSMとアスロックが格納されています |
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艦コレですね・・・ |
20mm機関砲ファランクス |
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レドームが多数設置されています |
航空管制室では複数のヘリコプタに対する管制を行う |
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飛行甲板にもSH-60Kが |
艦橋を見上げると |
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ラッパ実演 |
SH-60Kを4機同時に発艦できる |
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マストはステルス性を考慮されている |
後部には航空管制室がある |
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SH-60Kはさほど幅がないですね |
20mm機関砲ファランクス |
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20mmCIWSの説明板 |
艦載救難作業車P-25J |
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車載消火装置を持っています |
捜索用レーダーとしてFCS-3を搭載 |
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艦橋の上部にレーダーが搭載されている |
艦載艇は舷側に搭載されている |
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舷側にHOS-303 3連装短魚雷発射管が |
マストに国際信号旗が |
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この「ひゅうが」はレドームが多いのです |
信号旗は「WELCOME」とあります |
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昇降機が下降し始めました |
昇降機が格納庫甲板に下りてきました |
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格納庫甲板に昇降機が下りた状態 |
昇降機が上がり始めました |
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新旧「ひゅうが」 |
「ひゅうが」歴代艦長 |
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「ひゅうが」の模型 |
ひゅうがの艦首にはCIWSがあります |
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ひゅうがの全景 |
上部構造物はかなり巨大なものです |
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艦載艇が格納されています |
艦尾方向から |
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