護衛艦「ちくま」来港 平成25年8月4日
「ちくま」DE-233」(手前)とPG-828
「ちくま」DE-233」
平成25年8月3日~4日に伏木港万葉埠頭に護衛艦「ちくま」が来港して、体験航海及び艦内が一般公開されました。
護衛艦「ちくま」DE-233は、海上自衛隊のあぶくま型護衛艦の5番艦で、護衛艦隊第15護衛隊に所属し、定系港は大湊となっています。基準排水量は、2000トンと護衛艦としてはもっとも小型といえ、乙型護衛艦(DE)と呼ばれています。DEは米海軍であれば、護衛駆逐艦に相当しますし、国際的にはフリゲートに区分されます。
武装は、62口径76mm単装速射砲1基、ハープーンSSM4連装発射筒2基、アスロック1基、20mmファランクス1基、3連装短魚雷2基搭載となります。
これは3000トン級のはつゆき型に比べると対空ミサイル「シースパロー」を搭載していないことを除けば同等の装備です。
これまでの乙型護衛艦(DE)とは異なり対潜、対水上打撃力に優れたバランスの取れた艦型と言えます。逆に対空装備は、76mm砲と20mmファランクスしかないので弱いですが、2000トン級護衛艦にこれ以上を求めるのは無理な話でしょう。76ミリ砲と艦橋の間にRAM近接防空ミサイルの搭載スペースが用意されていますが、RAM装備の改装は現在のところ予定にはなく、空地となっているのはご愛敬としておきましょう。
62口径76mm単装砲は、おなじみイタリアのOTTメララ社製の砲を基に国産されたものです。しかし何でイタリア製なんでしょうね。
この手の砲は、砲塔の中も無人になっていて遠隔操作により砲を発射するのが当然となっています。
「いしかり」及びゆうばり型では重量軽減のため採用されなかったアスロック対潜ミサイルを搭載し、さらにちくご型には採用できなかったハープーン艦対艦ミサイルを装備していることで、DEとしては初めてバランスの取れた対潜・対水上能力を備えています。
また、DEとしては初めて戦術データ・リンクに対応して海軍戦術情報システムに完全対応したほか、ECM機能をもつ電子戦装置を搭載するなど、電子兵装に関しても、当時の護衛艦隊所属艦と遜色のないレベルまで強化されていると言えます。
このあぶくま型護衛艦は、主機がガスタービン機関が1基、ディーゼル機関2基とCODOG方式となっています。これは最近では珍しいパターンでしょうね。このCODOG(Combined Diesel Or Gas turbine、コンバインド・ディーゼル・オア・ガスタービン)方式とは、ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンを組み合わせた推進方式です。
低速・巡航時はディーゼルエンジンにより航行を行い、高速航行時にはガスタービンエンジンに切替える方式です。これにより、航続距離と加速/高速性との両立を図ります。低速・巡航時にはガスタービンエンジンが、高速走行時にはディーゼルエンジンがデッドウェイトになってしまうデメリットがあるが、その反面ギアボックスの設計がCODAGより容易というメリットがあります。ディーゼルエンジンとガスタービンエンジンは回転特性が違い過ぎるため、CODAGの場合ギアボックスの製造が難しいのです。
このあぶくま型は、最大速力が27ノットと最新の護衛艦の30ノットに比べるとやや低速です。
艦のスペースが小さいために対潜作戦に重要な対潜ヘリコプターの搭載能力はないものの、後部甲板にヴァートレップ(VERTREP: ヘリコプターによる補給)に対応できるアプローチスペースが備えられています。

「ちくま」DE-233 艦橋上部の81式射撃指揮装置
「ちくま」DE-233 艦橋上部の81式射撃指揮装置
「ちくま」とタグボートが接舷作業中 マスト上部にはOPS-28、下部にはOPS-14
「ちくま」とタグボートが接舷作業中 マスト上部にはOPS-28、下部にはOPS-14
62口径76mm単装砲 74式アスロックSUM8連装発射機
62口径76mm単装砲 74式アスロックSUM8連装発射機
HOS-301 3連装短魚雷発射管 62口径76mm単装砲
HOS-301 3連装短魚雷発射管 62口径76mm単装砲
後方から見たアスロックと煙突、マスト ファランクス20mm機関砲(CIWS)
後方から見たアスロックと煙突、マスト ファランクス20mm機関砲(CIWS)
ファランクス20mm機関砲(CIWS) 74式アスロックSUM8連装発射機
ファランクス20mm機関砲(CIWS) 74式アスロックSUM8連装発射機
ハープーンSSM4連装発射筒 ハープーンSSM4連装発射筒と短魚雷発射管
ハープーンSSM4連装発射筒 ハープーンSSM4連装発射筒と短魚雷発射管
62口径76mm単装砲 ちくまを前方から
62口径76mm単装砲 ちくまを前方から
ハープーンSSM4連装発射筒 ファランクス20mm機関砲(CIWS
ハープーンSSM4連装発射筒 ファランクス20mm機関砲(CIWS
MOFシステム 後方から見たファランクス、ハーブーンアスロック
MOFシステム 後方から見たファランクス、ハーブーンアスロック

護衛艦「ちくま」 性能諸元
基準排水量 2,000トン
満載排水量 2,500トン
全長 109m
全幅 13.4m
深さ 7.8m
吃水 3.8m
機関 CODOG方式 (最大 27,000ps)
川崎/ロールス・ロイススペイSM1A
ガスタービンエンジン(13,500ps)
2基
三菱 S12U-MTK
ディーゼルエンジン(4,650PS)
2基
推進器(260rpm) 2軸
速力 最大27ノット
航続距離 5,624海里 (18ノット巡航時)
定員 120名
武装 ハープーンSSM4連装発射筒 2基
62口径76ミリ単装速射砲 1基
74式アスロックSUM8連装発射機 1基
20mmファランクスCIWS 1基
68式324mm3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 VERTREP・HIFR可能
C4I MOFシステム+リンク 11
OYQ-7 戦術情報処理装置
81式射撃指揮装置2型22E 砲FCS 1基
レーダー OPS-14C対空レーダー 1基
OPS-20航海レーダー 1基
OPS-28C 低空警戒/対水上 1基
ソナー OQS-8 1基
電子戦 NOLR-6B ESM+OLR-3 ジャミング
対抗手段 Mk.137チャフ発射機 2基
 スライドショー
護衛艦
スライドショーの使い方

 3つのボタンで画像を移動できます。
 
 最初・・・最初の画面に戻ります。

 戻る・・・一つ前の画像に戻ります。

 次へ・・・次の画像に移動します。
 
 拡大・・・拡大画像を表示します。
               
伏木港万葉埠頭 護衛艦「ちくま」・マップ
電子国土ポータルへのリンクです