海上自衛隊 護衛艦「あぶくま」の主な装備
護衛艦「あぶくま」DE229
護衛艦「あぶくま」DE229
この写真は、2001年8月5日伏木港に寄港した護衛艦「あぶくま」に搭乗した際に撮影したものです。
護衛艦「あぶくま」は、「あぶくま」型のネームシップです。あぶくま型護衛艦(DE)は、地方隊の中核を担うべく計画され、2008年3月の海上自衛隊部隊組織改編に伴って地方隊が廃止された後は、護衛艦隊の2桁番号護衛隊所属となり現在も第一線で活躍している。
船型は全体的にあさぎり型に類似しており、遮浪甲板型に近い、全通上甲板を有する長船首楼型の採用やクリッパー型の艦首形状も同様である。ただし本型では、上部構造は従来通りの形状であるものの、船体の外舷には約7度の傾斜がかけられており、海上自衛隊の護衛艦としては初めて、ステルス性を意識した設計が行われている。
対潜戦に重要な哨戒ヘリコプターの搭載能力はないものの、後部甲板は、HIFR(飛行中のヘリコプターに対する給油)やVERTREP(ヘリコプターによる補給)に対応できるアプローチスペースが備えられており、後檣には進入角水平指示灯を装備したほか、船体安定化のためフィンスタビライザー1組を装備している。
主機としては、「いしかり」型以来のCODOG方式が採用されたものの、従来のDEでは1組のCODOG機関の出力を減速機を介して両舷2軸に分配する方式であったのに対し、本型においては左右2軸に1組ずつを配する方式とされた。
また機種も刷新されており、高速機としては、あさぎり型と同じくロールス・ロイス・川崎 スペイSM1Aガスタービンエンジン(13,500ps)2基が搭載された。
一方、巡航機としては、三菱S12U-MTK 4サイクル直列12気筒ディーゼルエンジン(5,000ps)2基が搭載された。機関配置もあさぎり型と同様で、前部の第1機械室に左舷軸機を、後部の第2機械室に右舷軸機を収容している。ただしDDと異なり、中間区画は設定されておらず、抗堪性は最低限のものとなっている。電源としては、出力1,000 kWのガスタービン主発電機1基、500 kWのディーゼル主発電機2基、300 kWのディーゼル非常発電機1基を搭載していて、総発電力は2,300kwとなる。
「あぶくま」型では、これまで「ゆうばり」「いしかり」型DEには搭載できなかったアスロック対潜ミサイルを搭載し、さらに当然ながらハープーン艦対艦ミサイルを装備していて、DEとしては初めてバランスの取れた対潜・対水上能力を備えた。また、やはりDEとして初めて電子攻撃機能を付与されている。
ただし戦闘指揮所は戦術情報処理装置をもたない在来型であり、搭載武器システムの全能発揮上の制約となっているのは残念なところか。
また「ちくご」型と同様、アスロックの予備弾は搭載されていないので、搭載弾は、8連装発射機に装填された即応弾8発のみとなる。なおソナーとしては、アメリカ・レイセオン社の中周波ソナーであるDE-1167のライセンス生産によるOQS-8を船首装備として搭載している。
対空兵装は、前甲板の76ミリ速射砲と後甲板の高性能20mm機関砲(CIWS)のみであり、対空戦闘能力は弱いのも致し方ないところか。
76ミリ砲と艦橋の間にRAM近接防空ミサイルの搭載スペースが用意されているが、RAM装備の改装は現在のところ予定にはなく、空地となっている。
また同様に、簡易型の戦術情報処理装置や曳航ソナーも後日装備予定であるが、具体的な計画には至っていない。
魚雷発射管としては、3連装短魚雷発射管HOS-301を艦中後部両舷に装備している。
「あぶくま」型は、DE型護衛艦の最終型として、今後はDE型護衛艦が建造される予定がないが、26中期防において多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立させ、護衛艦隊直轄護衛隊の本型及び旧型DD全て、並びに ミサイル艇の後継、さらには掃海艇をも肩代わりする構想の多機能護衛艦(DEX)の建造が予定されているという。
ううむ、しかしそれは・・・あまりにも欲張りすぎの計画なのでは・・・。いくら何でも掃海艇の肩代わりはどうなのか、正直言って困難なのではないかと。計画では3,000トン級の艦になるので、これまでの護衛艦で言えば「はつゆき」型クラスの排水量となります。
62口径76㎜速射砲 アスロック・ランチャー
62口径76㎜速射砲 アスロック・ランチャー
対空・対艦用艦砲です。砲塔内は無人ですが下部には砲弾を装填する人員が3名必要です。 アスロック対潜ミサイルの8連装発射機として艦中央部に設置されている。
ハープーン対艦ミサイル発射管 チャフ発射装置
ハープーン対艦ミサイル発射管 チャフ発射装置
ハープーンSSMは、アメリカ・マクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイルで、慣性誘導およびアクティブレーダーホーミングにより誘導される。 アルミ箔を詰めたロケットを発射して、対艦ミサイルを欺瞞する防御的兵器です。
68式3連装短魚雷発射管 CIWS
68式3連装短魚雷発射管 20㎜CIWS
対潜魚雷を3連装で発射します。アスロックに比べると、比較的近距離攻撃用となります。 対艦ミサイルを水際で撃墜するための、近接兵器です。
1分間に3500発を発射できます。
SH-60Jシーホーク 76mm砲弾
レーダー群 7676mm砲弾
マスト前部に搭載しているのはOPS-14C対空捜索用レーダです。艦橋上部に搭載しているのは、FCS-2-21B射撃指揮装置です。マスト上部に搭載しているのは、OPS-28C対水上捜索用レーダです。 62口径76mm砲で使用する砲弾です。これを砲塔下部の艦内でマガジンに人力で装填する仕組みになっています。マガジンには80発を装填できるようになっています。実は80発は、本気で発射すれば1分で撃ち尽くす弾数です。
護衛艦「あぶくま」 性能諸元
基準排水量 2,000トン
満載排水量 2,500トン
全長 109m
全幅 13.4m
深さ 7.8m
吃水 3.8m
機関 CODOG方式 (最大 27,000ps)
川崎/ロールス・ロイススペイSM1A
ガスタービンエンジン(13,500ps)
2基
三菱 S12U-MTK
ディーゼルエンジン(4,650PS)
2基
推進器(260rpm) 2軸
速力 最大27ノット
航続距離 5,624海里 (18ノット巡航時)
定員 120名
武装 ハープーンSSM4連装発射筒 2基
62口径76ミリ単装速射砲 1基
74式アスロックSUM8連装発射機 1基
20mmファランクスCIWS 1基
68式324mm3連装短魚雷発射管 2基
艦載機 VERTREP・HIFR可能
C4I MOFシステム+リンク 11
OYQ-7 戦術情報処理装置
81式射撃指揮装置2型22E 砲FCS 1基
レーダー OPS-14C対空レーダー 1基
OPS-20航海レーダー 1基
OPS-28C 低空警戒/対水上 1基
ソナー OQS-8 1基
電子戦 NOLR-6B ESM+OLR-3 ジャミング
対抗手段 Mk.137チャフ発射機 2基
 
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護衛艦あぷくま
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伏木港 護衛艦「あぶくま」碇泊地点マップ
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